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【英国、ロンドン発 2012年7月5日】
パッカハーブス(Pukka Herbs)は10周年を記念して、オーガニックのペパーミントとフェアワイルド認証を取得した甘草(リコリス)を配合した新しいお茶を発表した。
甘草はカザフスタン産のもので、持続可能性とフェアな取引のためのフェアワイルド基準を満たしているものが、特別に選ばれた。
フェアワイルド基準は、トラフィック、WWFとその他フェアワイルド・ファウンデーションのパートナーによってつくられたもので、野生植物原料の採集者が、製品を持続可能な形で収穫し、その努力に対してプレミアム価格を受け取ることを保証する。
英国の消費者が、フェアワイルドのロゴを配した製品を買うことができるようになるのは、はじめてのことである。
英国はヨーロッパで、薬用・アロマティック植物の3番目に大きな輸入国で(ヨーロッパ全体の輸入額の8.5%を占める)その多くが野生採取されている。英国の必要量の90%は海外から仕入れている。市場に供給されるものが持続可能な原料であることを保証することは、保全活動にも、その産業に係わる何千もの人々にも不可欠である。
「ハーブティーのマーケット・リーダーであるパッカハーブスが、野生から採集された植物原料の持続可能性の証としてフェアワイルド基準を採用したことを、嬉しく思う」と、トラフィックの薬用植物専門家であるアナスタシア・ティモシャイナは言う。
「消費者は、野生植物の採集者と生産者が彼らの生産に対して公正な対価を受け取っていると知ることでフェアワイルド認証を取得した原料を含んだ製品を、自信をもって買うことができる」。
さらなる特別手当として、パッカハーブスは世界中の野生植物保全プロジェクトを支援するため、WWF英国に20ペンス(およそ25円)を1箱毎に寄付している。このパートナーシップでは、50,000ポンド(およそ600万円)以上を集めることを目標としている。
このパートナーシップに対するコメントとして、WWF のレイチェル・ブラッドワースは「パッカハーブスの10周年に、一緒に活動することを喜ばしく思う。自然環境を支援し、美しい世界をつくるためのパッカハーブスの献身は、わたしたちの目標とまさに合致している」と言う。
「過去50年以上にわたって、WWFは、マウンテンゴリラやジャイアントパンダといった現存する種の保存から、地球の保護のための国際的な合意の構築の支援まで、数多くの成功をおさめているが、これらのどれも、献身的な個人やパッカハーブスのような企業のたまわぬ支援なしには成し遂げられなかった」。
植物の力と人々を結びつけるという発想に感化されて、ティム・ウェストウェル氏(クリエイティブ・アントレプレナー)とセバスチャン・ポール氏(ハーバリスト、アーユルヴェーダ療法士)がパッカハーブス(Pukka Herbs)を創設し、2002年に3種のオーガニックハーブティーを発表した。
10年後には、パッカハーブスは賞を受賞した25種類のお茶、スキンケア商品、食品サプリメントを世界中の40ヶ国で販売するまでになった。
「2002年にパッカハーブスを始めたとき、わたしたちは、人々に、より健康的で、より持続可能な生活をしたいと思わせるような、完全にオーガニックなビジネスをつくりたいと考えた。WWFと協力し、わたしたちが共有する保全の重要性を推進することは、すばらしい次のステップのように見えた」と、パッカハーブスの創設者でありダイレクターであるセバスチャン・ポール氏は言う。
「わたしたちの新しいペパーミントと甘草のお茶は、天然のノンカフェインで、消化を助ける爽快なペパーミントと、天然の甘味を含み、鎮静と滋養のためのフェアワイルド認証を取得した甘草を使用した美味しいブランドティーである。
「消費者も、自分自身に気を配ることと同様に、より美しい世界をつくるためにほんの少し自分が役立っているのだと知ることで、良い気分になれると思う」。
フェアワイルド基準は、WWFとトラフィックを含む数多くの組織の参画による複数のステークホルダーとのコンサルテーションを通じて開発された。現在は、2008年に設立されたフェアワイルド・ファウンデーションより維持されており、さらなる開発と、基準の原則の導入を推進している。
詳細はこちら:www.fairwild.org
今年のはじめに、甘草がドイツで「2012年の薬用植物」に選ばれた。それは、甘草が世界中の人々の生活にとってもっとも重要な植物だからである。甘草は、地中海から東アジア、アメリカ大陸とオーストラリア大陸に自生する低木である。甘草は根のみが利用され、この根からは、現在までに400もの多様な成分が単離されている。もっとも重要な成分は、サトウキビの50倍近くの甘味を持つグリシルリジンである。今日、甘草は中国では重要な原料"gan cao"として中国伝統薬で使われ、またヨーロッパの主要な薬用植物の消費・取引国であるドイツでは、毎年約500tの甘草が輸入され、うち100tは薬用のお茶として国内で消費されている。その根は、製菓用や多くのハーブリキュールとしても利用される。日本では、主に薬に使われているが、化粧品の原料としても利用される。
パッカハーブスは現在、幅広い種類のハーブ治療薬、生物栄養剤、健康油、食品サプリメントに加え、「賢く生きていく術」という古代インドのアーユルヴェーダの哲学にインスピレーションをうけた23種類のお茶を販売している。『ペパーミント&(フェアワイルド認証を取得した)甘草』を含む、これらのお茶は、英国の主要な小売店、健康関連のお店で取り扱われているほか、全種はオンライン ww.pukkaherbs.com でも入手可能である。
詳細に関するお問い合わせはこちら
Richard Thomas, richard.thomas@traffic.org
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