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ユーロポールとトラフィック、環境犯罪と闘うため手を結ぶ

2017年02月02日
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左:Steven Broad(トラフィック)
右:Rob Wainwright(ユーロポール)

【オランダ、ハーグ発 2017年2月2日】

 ユーロポール(欧州刑事警察機構)の局長Rob Wainwright氏は、2016年にトラフィックとの間で結ばれた覚書(MoU)をうけ、環境犯罪に対抗するためのさらなる協議を目的に、トラフィックの事務局長スティーブン・ブロード(Steven Broad)とユーロポールの所在地であるハーグで会談した。

 この覚書は、環境犯罪、特に絶滅のおそれのある動植物の違法取引に対抗する両機関の連携を強化するだけでなく、情報交換や相互支援を円滑にすることを目標としている。

 ユーロポールの局長Rob Wainwright氏は「ユーロポールは、私たちの環境と経済を守る手段として、今回のように協力体制を拡大できたことを嬉しく思っている。環境犯罪に対抗することは汚職、資金洗浄、偽造、詐欺、時にはテロリズムや薬物違法取引といった他の犯罪と闘うための広範囲な取組を支援することにもなる」と強調した。

 トラフィックの事務局長スティーブン・ブロードは「野生生物の違法取引は世界的な問題となっており、国際的な協力による取り組みをしていく必要がある。トラフィックはEU(欧州連合)加盟国に戦略的評価と運用支援を提供することで、ユーロポールが野生生物犯罪と闘うための一助をなることを望んでいる」と述べた。

 環境犯罪は他の犯罪に比べ摘発が難しく、また制裁が軽いため、特に組織化された犯罪集団にとって非常に実入りの良い儲かる事業となっている。環境犯罪の越境性という特質は、法執行機関と非政府組織の間のより強い協力を必要とし、絶滅のおそれのある動植物の違法取引に対抗する上で戦略的合意を必要不可欠なものとしている。

 これに加え、EUは野生生物の違法取引が行われる際、特にアフリカとアジアを結ぶ中継点として重要な位置づけとなっている。トラフィックが五大陸に拠点を置いていることから、覚書は、ユーロポールがこの新たな危機に対して立場を強化することを可能とする。

 このイニシアチブは、ユーロポールが重要な役割を担い野生生物の違法取引と闘うことを目的としたEU行動計画(EU Action Plan)とも意を共にしている。


ユーロポール(欧州刑事警察機構):

ユーロポールはEU(欧州連合)の法執行機関である。オランダのハーグに拠点をおき、深刻な国際犯罪やテロリズムに対抗する欧州加盟28カ国を支援している。

2017年02月02日
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