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大手輸送関連企業の代表たちが歴史的な宣言に調印、野生生物の違法取引ルート断絶に立ち上がる

2017年05月31日
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© Purple Lorikeet / Creative Commons Licence CC BY-SA 2.0
新たな宣言により、大手輸送関連企業の代表たちが
野生生物の違法取引に立ち向かうべく
大きく踏み出すことを誓った

【英国 ロンドン発 2016年3月15日】

 野生生物の違法取引に立ち向かうための大きな一歩となる新たな宣言へ、大手輸送関連企業の代表たちが調印した。ウィリアム王子により「野生生物の絶滅を阻止する闘いの流れを変えるものだ」として、歓迎された。

 バッキンガム宮殿でおこなわれた式典の中で、航空業界、船舶業界、港湾管理、税関当局、政府間組織およびトラフィックを含む保全団体の企業の代表者と幹部たち40名が、「United for Wildlife(野生生物連合)・違法な野生生物製品の輸送に関する国際的タスクホース」宣言発足の創生・署名者となった。

 バッキンガム宮殿宣言(The Buckingham Palace Declaration)は、「United for Wildlife Transport Taskforce(野生生物連合・輸送に関するタスクホース)」による1年にわたる数々の会合、調査および協調体制構築の成果であり、ウィリアム王子が召集し、英国元外務大臣ウィリアム・ヘーグ卿(Lord Hague)が議長を務めた。タスクホースにおける輸送関連の代表には、中国、デンマーク、ケニア、アラブ首長国連邦、英国および米国に拠点を置く企業や組織が名を連ねている。

 この宣言により、署名者は、密売者が密猟の現場から市場へ製品を運ぶ際に、弱点につけ入ることを阻止するために、輸送業界全体の基準を引き上げる11項目を誓約している。これらの誓約は、世界中の企業や組織との情報の共有、トレーニング、技術向上およびリソースの共有に重点を置いている。また、専門知識や新システムを必要としている貧困度の高い国々を支援する世界の大手輸送企業の参加も見込んでいる。

 バッキンガム宮殿宣言には以下の誓約が含まれる:
・輸送業界がリスクの高い経路や輸送の手段に関して、信頼できる情報を受け取れるような情報共有システムの開発
・違法な野生生物取引が疑われる事案に関する情報を輸送セクターから関連する税関や法執行機関に渡すための安全なシステムのサポート
・違法な野生生物およびその製品が含まれる疑いのある貨物を関連する法執行機関へ通知し、可能な場合は受け入れ・入港を拒否する

 United for Wildlife Transport Taskforceの活動は、輸送セクターだけでなく、世界税関機構(WTO)、国連開発計画(UNDP)、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約:CITES)といった複数の政府間機関から強い支持を受けている。

 ウィリアム王子は「密猟による危機は多くの脆弱な地域社会に暴力・死・腐敗をもたらしています。野生生物の観光事業が地元経済の中心となっているような地域で、将来の世代の人々から生計の手段を奪いかねないのです」と語った。

 「しかし、この危機は止めることができます。私たちは守るべき動物たちの居場所を知っています。野生生物製品市場がどこにあり、意識、教育、法執行の改善が必要な場所も把握しています。この宣言が調印されたことで、世界的輸送業界の代表者たちは、野生生物製品が密猟現場から市場へ運ばれる様々な手段について知っていると、言っているのです」。

 「署名者たちが誓約を実行することにより、野生生物の絶滅を阻止する闘いの流れを一変させることができます。彼らの誓約に感謝し、業界内の他の企業に対してもこの宣言に調印し、密猟による危機に対抗する一翼を担うよう求めていきます」。

 2015年10月、陸・海・空経由での野生生物の違法取引縮小を目指す取り組みにおいて輸送セクターを支援する5年計画の共同実施活動ROUTES (絶滅のおそれのある種の違法な輸送削減に関する取り組み:Reducing Opportunities for Unlawful Transport of Endangered Species)パートナーシップが確立された。ROUTESは、USAID(米国国際開発庁:United States Agency for International Development)による資金提供およびトラフィック主導の下、政府機関、輸送・物流業界代表者、国際保全団体および支援者の協力体制を構築した。

 「トラフィックは、この宣言に調印することができ喜ばしく思っている。ROUTESパートナーシップを通じて、輸送セクターとともに誓約や約束を果たしていく。これは野生生物の違法取引の危機に対する真の世界的、国際的対応である」と、トラフィック代表スティーブン・ブロード(Steven Broad)は述べた。

ROUTES:http://www.routespartnership.org/
政府機関、輸送・物流業界の代表者、国際保全団体および支援者から成る。法的な輸送供給網の利用を縮小させ、野生生物の違法取引を阻止することが狙い。

【取り組み内容】
●証拠に基づいた行動をとるため、乗客と貨物を介した輸送手段を利用した野生生物の違法取引に関するデータと分析の改善
●協力して企業のリーダーシップを発揮すること
●法執行機関を支援する運輸業界内での人材の能力向上
●野生生物の違法取引に関する業界の基準と手続きの統合
●野生生物の違法取引に対する乗客と顧客の意識向上


バッキンガム宮殿宣言:
http://www.traffic.org/storage/Buckingham-Palace-Delaration.pdf

バッキンガム宮殿宣言への署名団体:
http://www.traffic.org/storage/Declaration-signatories.pdf

2017年05月31日
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© Martin Harvey / WWF-Canon

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