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タンザニアでママ・ミシトゥ(森を守る女性たち)・キャンペーン開始

2008年04月18日
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080410Pro_Maathai.jpg 反汚職のMama Misituキャンペーンの立ち上げに際し、タンザニアの伐採に関するトラフィックのレポートを贈られるノーベル賞受賞者ワンガリ・マータイ博士。(左は Ministry of Natural Resource and Tourismの事務次官Blandina Nyoni氏。)© Mwanzo Millinga

【タンザニア、ダルエスサラーム 2008年4月10日】

 17の非政府組織(NGO)が4月10日、タンザニアの森林領域の管理不行き届きと汚職に対抗することを目的としたママ・ミシトゥ・キャンペーンを立ち上げるための画期的な協定に署名をおこなった。

 持続可能な開発、民主主義、平和に対する貢献に対し2004年のノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイ博士は、正式にダルエスサラームでキャンペーンを立ち上げた。

 トラフィックは先月、タンザニアの森林領域に関して、将来的に大きな影響力を持つであろうレポートを発表した。ママ・ミシトゥ・キャンペーンはこのレポートの発表に続いて着手された。このレポートによって、違法伐採と脆弱な森林管理で毎年何十億シリングもの歳入の損失が出たことや、同時にタンザニアの固有の生物多様性を脅かしている証拠が提供された。

 2005年だけでも、5,800万米ドルにも上る損失が推定され、それは1,933校の小学校の建設費に相当する。そして、自然資源のセクターを苦しめてきた汚職の文化は、関連の法的、政策的手段の多くの段階における感心の低さによって悪化している。

 「トラフィックはママ・ミシトゥ・キャンペーンに参加できることを嬉しく思っている。このキャンペーンによって、森林領域におけるよりよい透明性と管理と、持続可能な伐採がもたらす利益をより公平な共有につながる、市民社会やそのほかから一致団結した活動をもたらすことに自信を持っている」とトラフィックイースト/サザンアフリカの事務局長代行でレポート『Forestry, governance and national development: Lessons learned from a logging boom in southern Tanzania』の主執筆者でもあるサイモン・ミレッジは言う。 「トラフィックのレポートで森林管理の問題が強調され、それにもとづいて行動されるのは心強い。」

 ママ・ミシトゥ・キャンペーンは、現在の利益と将来の世代のために森林が持続可能な状態で管理されることを確保するため、社会のあらゆる階層の人々と一緒に働くことになる。

 「今こそ行動を起こす時だ」とTanzania Natural Resources ForumのCassian Siangaは宣言した。 「私たちには情報があり、われわれが何をすべきかわかっている。ママ・ミシトゥ・キャンペーンを通じてタンザニアの森林の管理方法を本当に変えていくつもりだ。」

 「従来のビジネスはもう受け入れられない。それは、のどから手が出るほど必要な資源を私たちの国から奪っていることなのだ」とTanzania Natural Resources ForumのCassina Siangaは言う。

 ママ・ミシトゥ・キャンペーンでは、地域社会、政府役人、私的領域に対し、タンザニアのまたは国際的な政策に準じた、望ましい森林管理に関する情報を提供する。キャンペーンでは木材採取や森林管理への村の参加に関連する問題に焦点をあて、コースト、モロゴロ、リンディ、タンガ、ルヴマ、ムトワラ地域を含み違法伐採がもっとも破壊的におこなわれている地域に焦点をあてる。

 ママ・ミシトゥはスワヒリ語で、文字通りに訳すと「森を守る女性たち」という意味である。この名前は命を支える森林の役割と、将来世代の利益のためにみんなで森林を育てる役割を担う必要があることを反映している。

  Mama Misituのプロジェクトパートナーは、Africare, CARE-Tanzania, Farm Africa, Femina HIP, JET, IUCN(国際自然保護連合), LEAT, Mpingo Conservation Project, Policy Forum, Tanzania Association of Foresters, Tanzania Forest Conservation Group, Tanzania Natural Resources Forum, TRAFFIC, Wildlife Conservation Society, Wildlife Conservation Society of Tanzania, World Agroforestry (ICRAF), WWF Tanzania Programme Officeである。この試みは、Tanzania Natural Resources Forumの助力と、フィンランド政府による資金的な支援を受けている。

*レポート『Forestry, governance and national development: Lessons learned from a logging boom in southern Tanzania』(英語:全文)のダウンロードはこちらから

*レポートサマリー(日本語)はこちら

 

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