ホーム野生生物ニュース水産物ニュース>トラフィックと企業間電子商取引サイトが協力 フィリピン産ウナギ稚魚の違法な輸出を防ぐ

野生生物ニュース

トラフィックと企業間電子商取引サイトが協力 フィリピン産ウナギ稚魚の違法な輸出を防ぐ

2012年11月20日
ソーシャルブックマーク はてなブックマーク yahooブックマーク livedoor del buzzurl
ツイート ツィート
Buzz GoogleBuzz
印刷 印刷
 
121026www.usasianpost.com.jpg フィリピン産のウナギの押収を報じた記事

【中国、北京発 2012年10月26日】

 野生生物の取引監視ネットワークであるトラフィックと、世界規模のオンライン企業間取引(B2B)の電子商取引サイト"アリババ・ドットコム(Alibaba.com)"は、過剰な漁獲によりフィリピンの野生ウナギ資源が脅かされているとの懸念から、同国からの幼体のウナギの違法な輸出に対抗するため協力して戦っている。

  ウナギ資源の過剰な利用が後をたたないため、2012年5月にフィリピン政府はウナギの稚魚の商業目的での輸出禁止を導入した。

  近年の日本と台湾でのニホンウナギAnguilla japonicaの漁獲の大幅な減少とヨーロッパウナギA. anguillaの取引制限の結果、アジアの養殖場に供給する幼体のウナギ「養殖用の稚魚うなぎ」の新しい供給源への需要は高まっている。

  2007年、過剰利用から保護するため、ヨーロッパウナギはワシントン条約の附属書Ⅱに掲載された。また2010年、EUは全てのヨーロッパウナギ製品の輸出入を一時停止した。

  それを受けて、需要を満たすため東アジアの主要なウナギ消費市場は他の地域に目を向け始めており、ニホンウナギとルソン島北部海域のみで知られる新種のアンギラ・ルゾネンシスAnguilla luzonensisの重要な新しい供給源として、フィリピンが急浮上した。

  フィリピン政府による輸出禁止後も、幼体のウナギは同国から引き続き違法で取引されている。2012年9月、ニノイ・アキノ国際空港で台湾向け養殖用の稚魚ウナギ13箱が差し押さえられ、7月には香港行きの航空便で949gの密輸が見つかった。

  7月のトラフィックの調査では、B2B電子商取引サイト"アリババ・ドットコム"で50件ものフィリピン産の販売用の稚魚ウナギ/シラスウナギの掲載が見つかった。複数種で数百キロのシラスウナギを毎月供給できる業者もいくつか報告された。

  トラフィックが"アリババ・ドットコム"に違法な輸出の疑いを伝えた後、同社は不正な業者をウエブサイトから削除し、今後フィリピンからの稚魚ウナギの取引が載らないようにすることに同意した。

  「ワシントン条約や地域の法律や規制で保護される全ての動物やその一部を"アリババ・ドットコム"で販売用に掲載することは、社の掲載基準で厳重に禁止されている」とアリババグループの国際業務部門(International Corporate Affairs)副社長のJohn Spelich氏 は言う。

  「サイトの利用者やトラフィックのようなグループが、当サイト上の疑わしい製品の情報を我々に知らせてくれることに感謝する」

  フィリピンでウナギの密輸で有罪になったものは、懲役最長8年と商品の押収または非常に重い罰金などの制裁措置を受けることになる。

  「絶滅のおそれのある固有の野生生物を保護するための努力において、フィリピン捜査当局の助けとなる"アリババ・ドットコム"の協力を、トラフィックは温かく歓迎する」とトラフィックのプログラムオフィサー、ビッキー・クルーク は言う。

  この30年間で世界中の野生のウナギ(ウナギ属)資源は、商業取引のための過剰な漁獲を含む様々な要因により大幅に減少している。多くの野生のウナギの稚魚が漁獲され、養殖用の"種苗"として利用されている。ウナギの商業的生産量の90%以上に寄与しているウナギ養殖では、まだウナギの人工生産が限定的な成功であるため、野生で捕獲される幼体のウナギに依存している。

  1990年以前は、ウナギ養殖はほぼ排他的にその地域の種を利用して行われていた。ヨーロッパウナギはヨーロッパで生産され、ニホンウナギはアジアで生産されていた。しかし、アジアでのウナギ資源の減少と比較的豊富で安いヨーロッパウナギの供給により、1990年代の終わりに多くのアジアのウナギ養殖場が供給元を変更した。

  養殖のために利用されるウナギの稚魚は、「養殖用の稚魚うなぎ(live eel fry)」と呼ばれる。養殖用稚魚は初期の"シラスウナギ"から"クロコ"までのいくつかの成長段階のものを含んでいる。

  アジアとヨーロッパのウナギの供給の縮小とともに、すでに、北米やマダガスカルなどからアジアへのウナギの輸出が報告されている。

  「同じことが繰り返されている。ひとつのウナギ資源が枯渇すると、市場は他所に目を向ける。持続可能な漁業規制がされなければ、世界中のウナギ資源が危機を迎えるのは遠くないだろう」とクルークは言う。


関連ニュース
■水産資源の持続可能な利用とトレーサビリティの確保にむけて:国際動向と日本の取り組み
■電子商取引企業がオンライン上の違法な野生生物取引に対していかなる違反もゆるさないと宣言

2012年11月20日
ソーシャルブックマーク はてなブックマーク yahooブックマーク livedoor del buzzurl
ツイート ツィート
Buzz GoogleBuzz
印刷 印刷

関連ニュース

20160315Global transport leaders sign historic declaration.jpg

大手輸送関連企業の代表たちが歴史的な宣言に調印、野生生物の違法取引ルート断絶に立ち上がる

2017年05月31日

2017年5月、海外で日本人が野生生物の密輸容疑で逮捕される事件が2件起こった。いずれも日本へ向けた飛行機に乗り込む前に空港で発覚し、スーツケースの詰め込まれた動物たちは救出された。密猟の現場から需要のある市場への輸送は、野生生物犯罪に不可欠なプロセスである。この違法取引ルートを絶つべく輸送セクターの企業が動きだした。

© Purple Lorikeet / Creative Commons Licence CC BY-SA 2.0

161108report.jpg

ヒレはお金についていく:新たな調査結果、
サメ取引におけるより良いトレーサビリティと全体像把握の必要性

2016年11月18日

新たなトラフィックの報告書によって、東アジアにおけるフカヒレの取引は、どこでどのように利益が得られるかによって急速に変化しており、より良いトレーサビリティと市場の世界的な全体像の把握が必要であることが浮き彫りになった。

161004CoP17.jpg

【CITES-CoP17】閉幕:野生の動植物保全における多くの進捗、懸念される違法取引の増大
-更なる取り組みの必要性

2016年10月05日

第17回ワシントン条約締約国会議が、10月4日に終了した。野生動植物の取引規制に関する各国間の2週間に亘る協議では、国際社会が協調して、違法取引の根絶と持続可能な利用を確かなものにするための大きな前進があった。多岐に亘る野生生物に関する課題に重要な前進が見られ、数々の新しい決議が採択された。

©TRAFFIC

161004Silky-Shark.jpg

【CITES-CoP17】トレーサビリティがサメの掲載施行成功のカギに

2016年10月04日

第17回ワシントン条約締約国会議において、4種のサメと9種のエイを附属書 II に掲載することが合意された。また、海産製品のトレーサビリティ措置の改善支援を促す文書も承認された。トレーサビリティは、サメとエイ類製品の持続可能で合法的な取引の仕組みを強化する上での鍵となるものである。

©Joi Ito / Creative Commons (CC-BY-2.0)

関連出版物

17_SBT_Market_in_China.jpg

The Southern Bluefin Tuna Market in China

発行:TRAFFIC Hong Kong【2017年6月】 著者:Joyce Wu【英語】50pp

17_The_Shark_and_Ray_Trade_in_Singapore.jpg

The Shark and Ray Trade in Singapore

発行:TRAFFIC,Malaysia【2017年5月】 著者:Boon Pei Ya【英語】59pp

pagetop