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【セミナーの開催報告】水産資源の持続可能な利用とトレーサビリティの確保にむけて:国際動向と日本の取り組み

2011年03月03日
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110303seminar_Q&A.jpg セミナーの様子 ©TRAFFIC East Asia-Japan
 
110303seminar_JW.jpg 中国の状況について話をするトラフィック台北のジョイス・ウー。
©TRAFFIC
 
110303seminar_salmon.jpg ©Michel Roggo / WWF-Canon
 
110303seminar_RP.jpg 英国環境食糧農林省のリチャード・パーソンズ氏
©TRAFFIC East Asia-Japan
 
110303seminar.jpg セミナーには多くの関係者が出席 ©TRAFFIC East Asia-Japan
 
110303seminar_MPB.jpg ナミビア漁業海洋資源省のメルコム・ポール・ブロック氏
©TRAFFIC East Asia-Japan
 
110303seminar_NN.jpg 鰻ト商店の中村宣之氏 ©TRAFFIC East Asia-Japan
 
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 トラフィック イーストアジア ジャパンは、2011年2月16日に東京都にある京都大学 東京オフィスで、トラフィック・セミナー「水産資源の持続可能な利用とトレーサビリティの確保にむけて:国際動向と日本の取り組み」を開催した。当日は、水産庁や水産系企業、小売・流通販売関係者、認証機関、研究機関などから約80人がセミナーに参加した。さらにインターネットによるライブ中継も多くの方に視聴いただいた。


IUU(違法、無報告、無規制)漁業とトレーサビリティの可能性

 近年、クロマグロをはじめとするマグロ類やサケ、サメなどの水産資源をめぐるIUU(違法・無報告・無規制)漁業の存在が、深刻な問題として国際的な関心を集めている。しかし、現在の日本の仕組みでは、水産物のトレーサビリティは法律で義務付けられていないため、私達の食卓の水産物が合法的に生産されたものかを確かめることはできない。水産資源の持続可能な利用を実現させるためにも、世界有数の消費国である日本には、合法的に漁獲されていない水産物を輸入させない仕組み作りに早急に取り組む責務がある。

 このような背景から、セミナーでは、水産物サプライチェーンに関係する行政や企業、認証機関などを対象に、すでに水産物の漁獲証明制度とトレーサビリティを義務化しているEUのIUU漁業規制などの海外の事例と国内の自主的な取り組みを示しながら、今後、トレーサビリティの確保に向けて、日本の行政や企業はどのように取り組むべきなのかを議論した。

 海外からはIUU漁業対策について国際的に活躍される英国環境食糧農林省 (Defra)のリチャード・パーソンズ氏、ナミビア漁業海洋資源省のメルコム・ポール・ブロック氏、国内の取組みとして生産情報公表養殖魚JAS規格を第一号として取得されたウナギ養殖生産者である有限会社 鰻ト商店の中村宣之氏をお招きし、ご講演いただいた。また、日本の状況についてWWFジャパンから、中国の水産物加工の現状と貿易規制についてトラフィック台北からそれぞれ報告された。EU、アフリカ、中国、そして日本という水産物をめぐるグローバルな市場を代表する様々な地域から、政策の施行状況や動向が具体的に報告された。


日本が担っている役割とは何か

 討論では、水産物サプライチェーンの様々な角度から、大変多くの質問が寄せられた。その中で、IUU漁業由来の水産物を流通させないために日本が担っている役割として、英国環境食糧農林省のリチャード氏は、「IUU漁業操業者にとって主要な市場であったEUと米国において、IUU漁業に対する施策が講じられた。しかし、世界的なシステムとして対応しなければ、その市場が抜け穴となるだろう」と警告した。また、ナミビア漁業海洋資源省のメルコム氏は、「日本は、自国の船がどこにて、何をして、何をとっているか、不法なことをおこなっていないかなど監視を強化し、旗国としての責務を果たすべきだ」と、消費国としてだけではなく、漁業国としての日本の役割についても指摘した。

 そして、国内のウナギ養殖生産者である(有)鰻ト商店の中村氏は「正当なものが正当に売れてほしい」と訴えた。このような生産現場の声に対して、討論では、トレーサビリティによって水産物の生産・加工履歴を明らかにし、合法性を証明することは、商品の価値付けとして評価されるものであり、そして、合法的に生産している生産者の生計を守ることにもつながることが確認された。セミナー終了後には、参加者からIUU漁業由来のものを日本国内へ流通させないために、各々の業界が担っている役割について再認識することができたという感想が多く寄せられた。

 このように講演者と参加者の意義ある討論によって、日本がグローバル市場の抜け穴とならぬよう、IUU漁業に対して早急に取り組む必要があること、そして、そのためには水産物の由来を明らかにするトレーサビリティの確保が、「食の安全性」の確保だけではなく、IUU漁業に立ち向かう対策のひとつに成りうるという認識を広めることができた。

 トラフィックは、今後も、海洋生態系の保全と持続可能な漁業を確保するために、行政、漁業生産者、水産物サプライチェーンの様々な関係者へ働きかけをおこない、漁業管理や国際取引について監視を続けていく。

 


■講演者の発表資料(PDF)はこちらからご覧いただけます。(講演者発表順)

「なぜ今、水産物のトレーサビリティが必要なのか:トレーサビリティ関連法とその課題」
  高橋そよ
  トラフィックイーストアジアジャパン 水産プログラムオフィサー

「中国の水産貿易とトレーサビリティ」
  ジョイス・ウー
  トラフィックイーストアジア台北 プログラムオフィサー

「英国からみたEU のIUU漁業規則」
  リチャード・パーソンズ氏 
  英国環境・食糧・農林開発省 (Defra) 国際サステナブル海洋・水産チーム チームリーダー

「ナミビアにおけるEUのIUU漁業規則とトレーサビリティの施行」
  メルコム・ポール・ブロック氏
  ナミビア漁業・水産資源省 管理漁業監督官

「食卓から船まで-WWFが水産物トレーサビリティに期待する役割-」
  山内愛子
  WWFジャパン海洋プログラム 水産担当

「ウナギ養殖とトレーサビリティ:生産情報公表JAS(養殖)認定取得事例」
  中村宣之氏
  有限会社鰻ト商店 専務取締役


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