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混獲削減のための作業部会がオーストラリアで開催

2010年06月22日
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100622_hummerheadshark.jpg アカシュモクザメSphyrna lewini
©Brian J. Skerry / National Geographic Stock / WWF

【トラフィックイーストアジアジャパン発】
 2010年6月23日から2日間、オーストラリアのブリスベンで5つのまぐろ類地域漁業管理機関(RFMO)が 合同で協議する混獲合同作業部会(Kobe II Bycatch Workshop)が開催される。これは、マグロ漁業における海鳥やウミガメ、サメ類、海洋性哺乳類などの混獲削減にむけた取り組みについて議論することを目的とするものである。各RFMOの加盟国だけではなく、オブザーバーとして国際連合食糧農業機関(FAO)といった関連する国際機関やトラフィックなどNGOが出席する。

 マグロ漁業によって混獲される生物のうちサメ類について、トラフィックは、2009年にレポート『Trends in Global Shark Catch and Recent Developments in Management(サメ類の国際的な漁獲動向と管理措置をめぐる最近の進展)』を発表し、サメ類の漁獲動向とFAOが2000年に策定したサメの保護および管理に関する国際行動計画(IPOA-Sharks)にもとづく国内行動計画(NPOA)や各RFMOなどの管理措置について分析をおこなった。FAOに漁獲量データが十分に報告されていないだけではなく、種別の漁獲量データが不足していること、漁獲後に投棄されたサメが含まれずに保持された重量のみが報告されていることなどを明らかにし、サメ類の持続可能な利用にとって、現在の施策とモニタリングには改善が必要であることを指摘した。漁業がどのようにサメ資源に影響を与えているのかを分析するためには、このような状況を改善することは重要である。これまで、トラフィックは、種を識別するためヒレがついた状態で水揚げすることを求め、さらにすべてのサメ製品は最終消費地までトレーサビリティのためのタグをつけることが必要であるとRFMOに対して主張してきた(2009年12月7日野生生物ニュース「メバチの管理措置が失敗していることに懸念」)。

 
100622shark_landed.jpg 水揚げされたヨシキリザメ
©TRAFFIC East Asia-Japan

 今年3月に、カタールのドーハで開催された第15回ワシントン条約締約国会議では、8種のサメが附属書 II への掲載を提案された。漁業国は、水産資源はワシントン条約ではなくRFMOによって管理されるべきと主張し、議論の末、附属書 II 掲載の提案はすべて否決された。今月末に始まるまぐろ類地域漁業管理機関合同会合の混獲作業部会で、漁業国がワシントン条約締約国会議の場でRFMOが管理すべきとした自らの主張に対してどのような答えを導き出すのか、トラフィックは注目している。

 レポートの日本語版は、こちらからダウンロードできます。
サメ類の国際的な漁獲動向と管理措置をめぐる最近の進展(Trends in Global Shark Catch and Recent Developments in Management)

2010年06月22日
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関連キーワード サメ マグロ 漁業管理

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