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メバチの管理措置が失敗していることに懸念

2009年12月08日
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メバチ資源を守る措置は失敗している。c WWF / Lorraine Hitch
メバチ資源を守る措置は失敗している。
© WWF / Lorraine Hitch

【英国、ケンブリッジ】
 トラフィックとWWFは、中西部太平洋まぐろ類委員会(Western Central Pacific Fisheries Commission (WCPFC))の管轄下にある、メバチを含む水産資源の管理不備について懸念を高めている。

 2009年12月7日~11日に第6回WCPFC年次会合が、タヒチにて開催されている。

 「トラフィックとWWFは、WCPFCの委員会によると、太平洋のメバチ資源量の保護を目的とした漁獲量を減らすWCPFCの取り組みが失敗しているということについて、特に憂慮している」とトラフィックの海洋プログラムのリーダーであるグレン・サントは言う。

 「加盟国は、科学委員会の勧告に耳を傾ける必要がある。メバチの漁獲死亡率をただちに43%減らすための実効性のある対策をとることがなによりも重要である」と彼は言う。

 マグロ類数種の世界的な資源量は、非常に過剰な漁獲がおこなわれている結果、大西洋クロマグロとミナミマグロは危険なレベルにまで獲り尽くされている。ミナミマグロの産卵親魚の資源量は以前の3%の低さにまでなっている。さらに、最近ではインド洋のキハダの資源についても懸念が表明されている。

 「私達は、世界のマグロ資源の健全性に対して、必死の努力が必要な時代に生きているのだ」とサントは言う。

 トラフィックとWWFは、2007年に出版したレポート『With an eye to the future: Addressing failure in the global management of Bigeye Tuna』の中で、世界中のメバチ資源にはよりよい管理措置が必要であることを指摘した。

 「昨年、WCPFCは太平洋のメバチの過剰漁獲に取り組もうとした。しかし、WCPFCの管理措置がうまく機能しているとはいえない。もしメバチが、過剰漁獲で獲り尽くされているほかのマグロ類のように扱われなければ、一刻の猶予もならない。

 マグロ漁業の中で捕獲されるサメ種の保護は、トラフィックとWWFが年次会合において警告しているもうひとつの問題である。

 トラフィックとWWFは、サメの水揚げが、ヒレがついたままでされるべきであり、すべてのサメ製品は最終消費地までトレーサビリティのためのタグをつけることが必要であると考えている。

 2009年12月7日~11日にタヒチにて開催される第6回WCPFC年次会合に先駆けてトラフィックとWWFが準備した ブリーフィング(英語:[PDF, 200 KB]) および ポジションペーパー(英語:[PDF, 200 KB])はこちらからダウンロードできます。

2009年12月08日
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関連キーワード サメ マグロ レポート 漁業管理

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