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【カタール、ドーハ、2010年3月22日】
象牙の在庫の一回限りの販売(one-off sale)を実施したいというザンビアとタンザニアの要求は通らなかった。
ワシントン条約締約国会議に参加している各国政府は、国際取引禁止というもっとも厳しい規制レベルである附属書Iから附属書IIに移行させることでタンザニアとザンビアのゾウの個体群に対する取引規制を緩くしようという、タンザニアとザンビアの提案を否決した。
タンザニアとザンビアは、ダウンリスティング提案に加えて、2国の象牙在庫の一回限りの販売(one-off sale)を実施できるようにすることも当初求めていた。
この2国のゾウを附属書 I に残したままでは商業的な象牙の取引は認められない。しかし附属書 II に掲載されれば、規制された商業的な国際取引ができる。
しかし、この段階で2国の象牙を販売することも、2国のゾウ個体群への取引規制を緩和することも認められなかった。
各国政府はタンザニアのダウンリスティングおよび象牙販売の要求も否決した。各国政府はザンビアのゾウ個体群を附属書Iからはずすことに対しても反対の票を投じた。ザンビアの最初の提案から象牙の在庫の一回限りの販売の要求を削除したザンビアによる修正にもかかわらずだ。
「販売の実施が認められるべきか、否かという問題は、ここカタールでの議論の多くを占めているものの、WWFとトラフィックは、象牙の密輸が続いている背景の主要な誘因となる力は、アフリカやアジアの一部にわたって、国内の違法な象牙市場が存在し続けていることだと考えている」とスティーブン・ブロードは言う。
ゾウ取引情報システム(ETIS)の分析結果はまた、公式に会議の代表者に提出された。
2004年以降増加している象牙の違法な取引は2009年に急激に上昇し、依然としてアジアやアフリカの大規模な国内象牙市場と貧弱な法執行に重大な相関関係がある。それは、違法な象牙取引の流れが、通常は法執行が弱く、規制という障害がほとんどない市場機能を持つ場所へのルートに沿っていることを示唆している。
アフリカ西部や中央部での密猟や違法な象牙市場は、さらなる象牙の販売がおこなわれる前に効果的に抑えられなければならない」とWWFインターナショナルの種プログラムのマネージャー、エリザベス・マクレランは言う。
ワシントン条約の下でおこなわれている2つの監視システムのひとつであり、トラフィックが管理しているETISは、最大のゾウ製品の押収記録の収集を誇っている。最新の分析は、1989年以来の85の国と地域からの14,364のゾウ製品の押収記録にもとづいている。
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