ホーム野生生物ニュース動物ニュース>タンザニア、ザンビアの象牙販売の要求は退けられた

野生生物ニュース

タンザニア、ザンビアの象牙販売の要求は退けられた

2010年03月26日
ソーシャルブックマーク はてなブックマーク yahooブックマーク livedoor del buzzurl
ツイート ツィート
Buzz GoogleBuzz
印刷 印刷
 
100322_ivorystock.jpgタンザニアもザンビアも在庫象牙を販売したいという要求は認められなかった。
©WWF-Canon / Folke Wulf

【カタール、ドーハ、2010年3月22日】

 象牙の在庫の一回限りの販売(one-off sale)を実施したいというザンビアとタンザニアの要求は通らなかった。

 ワシントン条約締約国会議に参加している各国政府は、国際取引禁止というもっとも厳しい規制レベルである附属書Iから附属書IIに移行させることでタンザニアとザンビアのゾウの個体群に対する取引規制を緩くしようという、タンザニアとザンビアの提案を否決した。

 タンザニアとザンビアは、ダウンリスティング提案に加えて、2国の象牙在庫の一回限りの販売(one-off sale)を実施できるようにすることも当初求めていた。

 この2国のゾウを附属書 I に残したままでは商業的な象牙の取引は認められない。しかし附属書 II に掲載されれば、規制された商業的な国際取引ができる。

 しかし、この段階で2国の象牙を販売することも、2国のゾウ個体群への取引規制を緩和することも認められなかった。

 各国政府はタンザニアのダウンリスティングおよび象牙販売の要求も否決した。各国政府はザンビアのゾウ個体群を附属書Iからはずすことに対しても反対の票を投じた。ザンビアの最初の提案から象牙の在庫の一回限りの販売の要求を削除したザンビアによる修正にもかかわらずだ。

 「販売の実施が認められるべきか、否かという問題は、ここカタールでの議論の多くを占めているものの、WWFとトラフィックは、象牙の密輸が続いている背景の主要な誘因となる力は、アフリカやアジアの一部にわたって、国内の違法な象牙市場が存在し続けていることだと考えている」とスティーブン・ブロードは言う。

 ゾウ取引情報システム(ETIS)の分析結果はまた、公式に会議の代表者に提出された。

  2004年以降増加している象牙の違法な取引は2009年に急激に上昇し、依然としてアジアやアフリカの大規模な国内象牙市場と貧弱な法執行に重大な相関関係がある。それは、違法な象牙取引の流れが、通常は法執行が弱く、規制という障害がほとんどない市場機能を持つ場所へのルートに沿っていることを示唆している。

 アフリカ西部や中央部での密猟や違法な象牙市場は、さらなる象牙の販売がおこなわれる前に効果的に抑えられなければならない」とWWFインターナショナルの種プログラムのマネージャー、エリザベス・マクレランは言う。

 ワシントン条約の下でおこなわれている2つの監視システムのひとつであり、トラフィックが管理しているETISは、最大のゾウ製品の押収記録の収集を誇っている。最新の分析は、1989年以来の85の国と地域からの14,364のゾウ製品の押収記録にもとづいている。

2010年03月26日
ソーシャルブックマーク はてなブックマーク yahooブックマーク livedoor del buzzurl
ツイート ツィート
Buzz GoogleBuzz
印刷 印刷

関連ニュース

20170909_event_2.jpg

【セミナー開催報告】ペット取引される爬虫類
-上野動物園×WWF・トラフィクセミナー-

2017年09月25日

2017年9月9日、トラフィックは、上野動物園にて「ペット取引される爬虫類」についてのセミナーを開催しました。生息地の開発や、ペットにするための捕獲、密輸により、絶滅の危機に瀕しているカメやトカゲなどの爬虫類。これらの動物は、密輸される途中で保護されても、多くは生息地に帰ることができません。なぜでしょうか?こうした日本のペットショップで販売される爬虫類の取引の現状と問題について、専門家が解説。参加者の疑問に答えました。

©トラフィック

170830ivory.jpg

国内での象牙取引で違法事例再び
古物商ら12人が書類送検されるも不起訴に

2017年08月30日

2017年8月25日に象牙9本を違法に取引した容疑で、東京都内の古物商と従業員、その顧客ら12人が書類送検されるという事件が報道された。これは、6月20日に同じく18本の象牙を違法に取引した業者が書類送検された事件に続き、2017年で2件目の摘発となる。さらに29日には、不起訴処分となったことが明らかになった。世界では、ゾウの密猟と象牙の違法取引に歯止めをかけるため関係国が抜本的な対策に着手する中、日本国内で相次ぐ違法な象牙の取引。国内市場管理の問題点があらためて浮き彫りになっている。

©Martin Harvey / WWF

170909event.jpg

【セミナー開催のご案内】上野動物園×WWF・トラフィックセミナー
-ペット取引される爬虫類-

2017年08月23日

2017年9月9日、トラフィックは、上野動物園にて「ペット取引される爬虫類」についてのセミナーを開催します。動物園で飼育されている爬虫類の生態やペット人気の陰で絶滅の危機に瀕している種を守るための取り組みと、日本のペットショップで販売されている爬虫類の取引を巡る課題などを専門家が分かりやくお話しします。

© Michel Terrettaz / WWF

170808elephant.jpg

日本におけるインターネットでの象牙取引、最新報告書発表

2017年08月08日

2017年8月8日、トラフィックは、日本の主要eコマースサイトでの象牙取引を調査した報告書を発表した。調査の結果、オンライン店舗のほか、ネットオークションや個人向けフリマサイトでも活発な取引が行なわれる中、現状の規制に大きな課題があることが明らかになった。今回の調査で、これまで不明瞭だった、特にインターネットを通じた象牙取引の一端が明らかになったことから、日本政府にはあらためて、違法取引を許さない包括的な規制措置を求めていく。

©Martin Harvey / WWF

関連出版物

17_Online_Ivory_Trade_in_Japan_JP.jpg

日本におけるインターネットでの象牙取引 アップデート

発効:トラフィック【2017年8月】 著者:北出智美【日本語】Briefing Paper

17_Briefing_CHI-World_Rhino_Day.jpg

Chi Initiative BRIEFING PAPER World Rhino Day 2017

発行:Chi Initiative【2017年9月】 著者:TRAFFIC【英語】24pp