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マダガスカル:インドネシアに向かう途中の「世界的に希少な」リクガメを国境警察が押収

2011年08月23日
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110727ploughshare_tortoises_chris-shepherd_traffic.jpg 推定440~770頭のヘサキリクガメが野生に生息している。
しかしこの週はじめに、インドネシアに密輸されるところだった26頭が、マダガスカルで押収された。
©Chris R Shepherd / TRAFFIC Southeast Asia

【マダガスカル、アンタナナリボ発 2011年7月27日】  
2011年7月25日にマダガスカル当局は2人の男を逮捕し、世界的にみても希少なリクガメ200頭近くを押収した。2人はアンタナナリボのイヴァト空港からこれらのカメをインドネシア、ジャカルタに密輸しようとしていた。

 箱ひとつと3つの大きな袋の中からヘサキリクガメAstrochelys yniphora 26頭、ホウシャガメAstrochelys radiata 169頭、クモノスガメPyxis arachnoides 1頭が、国境警察によって発見された。それらはセキュリティーチェックのための検査を通ることなく、直接飛行機に向かうところだった、と地元メディアは報じている。

 バッグを検査したところ、中に隠されたカメを当局が発見し、マダガスカル国籍とインド国籍を持つ2人の逮捕に至った。うちひとりは、すでに飛行機に搭乗していた。

 地元メディアは、ブルネル・ラザフィンツィアンドラオファ(Brunel Razafintsiandraofa)国境警察本部長のコメントを報じている。「密輸者は、ナイロビやドバイを経由し、インドネシアを最終目的地としていた。」彼はまた報道関係者に対して、マダガスカルから密輸された野生生物の主要な目的地は東南アジアだと語った。

 今回大量に発見されたヘサキリクガメは野生には数百頭しかいないといわれ、世界的にみてももっとも希少なリクガメ種のひとつとされている。

 押収された3種はすべて、野生において絶滅のおそれが極めて高いと考えられている、IUCNレッドリストの近絶滅種(CR)に分類されており、マダガスカルの法律で全面的に保護されている。3種すべての自然生息地はマダガスカルだけである。

 3種の国際的な商業取引は、ワシントン条約の下で禁止されている。しかしこれらの種は、頻繁に押収され、東南アジアの市場で販売されている。

 この6月に、トラフィックはタイでの調査結果を発表したが、その調査では100頭を越えるホウシャガメ、クモノスガメ数十頭、ヘサキリクガメ3頭がみつかっている。

 今年2月にバンコクの当局は、バッグに7頭のホウシャガメと1頭のヘサキリクガメを隠していたインドネシア国籍の人物をスワンナブーム国際空港で逮捕した。

 2010年8月には、トラフィックはジャカルタの展示会でこれらの種が販売されていることを確認している。こうしたカメの大規模な押収事例は、2010年にマレーシアタイでも起きている。その多くは、空港を通じて荷物に詰め込んで隠していたのを発見されている。

 昨年発表されたWWFの調査によると、およそ100頭ずつカメを載せた10以上の牛車が毎週南マダガスカルのマハファリー高原(Mahafaly Plateau)を通過していることを明らかにした。そしてまた、クモノスガメやホウシャガメの違法採集が大幅に増加した要因として政治不安についても指摘している。

 「イヴァトでこうした犯罪者たちを取り押さえた人々は称賛されるべき」とトラフィックサウスイーストアジアのクリス・R.・シェファード地域事務局長代理は言う。

 「マダガスカルだけの責任ではなく、輸入国にもその責任はある。インドネシアや東南アジアのその他の地域の当局は、こうした種を取引する人々に対してただちに断固とした行動を起こし、この違法取引を終わらせるべきだ。」

 報道発表によれば、押収されたカメは水・森林局(Water and Forest Services)に引き渡された。

2011年08月23日
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