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スーツケースから希少なリクガメ300頭が発見される

2010年07月01日
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100614RadiatedTortoises-C-R-Shepherd-TSA.jpg ホウシャガメ © Chris Shepherd / TRAFFIC

【2010年6月14日 マレーシア、クアラルンプール発】
 マレーシアのクアラルンプール国際空港で、マダガスカルから到着したスーツケースから300頭のリクガメが、法執行官によって発見された。動けないようにした状態のリクガメが入れられた2つのスーツケースには薬物も入っていた。

 バッグには、285頭のホウシャガメAstrochelys radiata、14頭のクノモスガメPyxis arachnoides と、世界でももっとも希少なリクガメのひとつであるヘサキリクガメAstrochelys yniphora が1頭入っていた。

 リクガメと薬物の詰まったスーツケースは6月1日にモーリシャス航空の飛行機で到着し、空港にて税関職員が発見した。

 報道によれば、リクガメはまだすべて生きていて、野生生物・国立公園局(the Department of Wildlife and National Parks (Perhilitan))に引き渡されマダガスカルへの返還の手続きがおこなわれているという。

 マダガスカルの爬虫類は世界的に広く取引されている。飼育繁殖事業の成功例はわずかで、これらを組み合わせても報告されている頭数では、取引されている個体数の多さを説明できない。これらの爬虫類の大部分は野生から違法に捕獲された可能性がある。

 これら3種のリクガメはすべてワシントン条約の附属書 I に掲載されており、ヘサキリクガメはIUCNのレッドリストでもっとも絶滅のおそれの高い近絶滅種(CR)に分類され、野生の個体数は100~400頭、生息域はわずか1,500km2、と推定されている。

 「トラフィックは、この事件に関わった法執行担当者の努力は称賛する、しかしこの悪質な犯罪の犯人が処罰されることなくそのまま逃走したようだと聞いて、憂慮している」とトラフィックの東南アジア地域の事務局長であるWilliam Schaedla博士は言う。

 「私たちは、さらなる捜査をおこなうようPerhilitanおよび税関当局に求めている。」

 Perhilitanはまた、この1ヵ月の間に全国でおこなわれた一連の強制捜査の中で、4人を逮捕し、様々な野生生物やその部分を押収した。押収品には、キタカササギサイチョウAnthracoreros albirostris が2羽、ニシキヘビ類やコブラ類、ニシキヘビ類の胆嚢、何種類かの野生生物の肉、スマトラカモシカCapricornis sumatraensis の頭や皮などが含まれていた。

2010年07月01日
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