
ホーム>野生生物ニュース>違法事例・法執行ニュース>マレーシア:数百頭のマダガスカルのリクガメが押収
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【マレーシア、クアラルンプール発 2010年7月16日】7月14日に、マダガスカルのリクガメ数百頭をバッグに入れマレーシアに密輸しようとしているところをマレーシア税関局の職員が差し止め、女性二人を逮捕した。これらリクガメは近絶滅種(CR)に分類されている。
このマダガスカル人の女性のバッグには、369頭のホウシャガメAstrochelys radiata と5頭のヘサキリクガメAstrochelys yniphora が入っていた。2人はリクガメだけでなく、47頭のアカトマトガエル Dyscophus antongilii やカメレオン数頭も隠し持っていた。
今回の事件は、この1ヵ月に起きた希少なリクガメのマレーシアへの密輸事件としては、2度目の事件である。6月始めには、クアラルンプール国際空港の税関職員がホウシャガメ285頭とクモノスガメPyxis arachnoids 14頭、ヘサキリクガメ1頭を発見したが、引き取り手のない荷物であったこともあり、この事件ではだれも逮捕されていない。
2件で押収された爬虫類や両生類は野生生物・国立公園局(Department of Wildlife and National Parks(Perhilitan))に引き渡された。
PerhilitanのDatuk Abd. Rasid Samsudin長官が記者に伝えたところによれば、2人の容疑者は今月発効したマレーシアの「絶滅のおそれのある種の国際取引に関する法律 2008(Malaysia’s International Trade in Endangered Species Act 2008)」のSection 10(A)の下、取り調べがおこなわれているという。
本法のこの条項では、もし指定されている種を許可書なしに輸入または輸出し、有罪判決を受けた者には最大100万リンギの罰金または7年の実刑またはその両方が課せられることになっている。
これらの事件は東南アジアとマダガスカルにおける犯罪的要素が繋がっていることがわかる。特に取引の中心的中継地点となっている国際空港においては、こう したシンジケートの活動を停止させるために、ASEAN-WEN(ASEAN野生生物法執行ネットワーク)内の執行機関同士が協力するよう、トラフィック サウスイーストアジアは強く求めている。
東南アジアにおいてマダガスカルのリクガメの取引の背後にいる黒幕を探し出す捜査が開始されるはずだ。こうした人たちや、これら違法な動物を飼い続ける人たちがマダガスカルの野生生物を絶滅に追いやっているのだ。
今回のマダガスカルのリクガメに関する二度目の押収事件は、今月におこなわれたもうひとつの押収事件に引き続きPerhilitanの法執行活動の成果である。
「マレーシアの法執行官たちがおこなった野生生物犯罪に対する取り締まりは称賛されるべきである」とトラフィックのアジア太平洋プログラムの事務局長ジェームス・コンプトンは言う。
「こうした努力は違法取引に関与する人々に対して強い抑止効果のある警告となる。違法取引は世界的な問題であり、効果的な法執行活動によってより体系的な方法による取り組みがおこなわれている。
7月11日には、Perhilitanの野生生物犯罪ユニット(WCU)がセランゴール州の蚤の市の店舗を捜索し、5個のトラの爪、2羽のサイチョウのくちばし、サンバーやホエジカ類の角、ニシキヘビやコブラの皮で作られたバッグや靴や象牙で作られた96品など野生生物製品が押収された。
7月13日には、WCUとマレーシア警察がクアラルンプールの自動車工場を捜索し、600羽を越える鳥を発見した。その多くは地域の法律または/かつ国際条約の下保護されている。この中には、3羽のキガシラヒヨドリPycnonotus zeylanicus、1羽のルリコンゴウAra ararauna、3羽のヤシオウムProbosciger aterrimus、ひとつがいのジュウニセンフウチョウSeleucidis melanoleucus が含まれていた。
警察が木曜日にこの事件について発表し、報道陣に伝えたところによると、この事件に関与した2人の男性はいまだ捕まっていないという。
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