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タイ:マダガスカル産の野生生物取引

2011年06月16日
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110616Pantherchameleon-c-M-Todd-TRAFFIC.jpg マダガスカルのヌシマンガベから来た、このパンサーカメレオンFurcifer pardalis のオスは、2010年1月にタイのスラブリ市(Saraburi city)の業者の家でみられた。©M Todd / TRAFFIC

【2011年6月16日、バンコク、タイ発】
 タイのペット業者は、マダガスカルに生息する絶滅のおそれのある爬虫類や両生類を、輸入の合法性についての疑問がありながら、地元および国際市場へ供給していることがトラフィックの新しいレポートによって明らかになった。

 バンコクおよび8つの県の32販売業者を15日間にわたってトラフィックの調査員が調査したところ、マダガスカルの爬虫類・両生類591頭を販売していたことがわかった。
 「特に心配なのは、マダガスカル固有のカメレオンの大規模な取引がおこなわれていることだ」と新レポート『Trade in Madagascar's endemic reptiles and amphibians in Thailand(タイでのマダガスカル固有の爬虫類・両生類の取引)』で述べている。

 調査員が調査したところ、16種233頭のカメレオンが市場、店舗、インターネット業者の家で売られていた。そこにはワシントン条約で国際的な商業取引が禁止されている種ロゼッタカメレオンBrookesia perarmata も含まれていた。

 レポートのよれば、マダガスカルから来たカメレオンの中には許可書をつけて合法的に取引できるものもある一方、2004年~2005年の間にタイに輸入されたうち78%、つまり3,738個体については、カザフスタンで「飼育繁殖」されたもの、またはレバノンから再輸出されたものと申告されていた。

 しかし、公式の取引データの分析をみると、カザフスタンはマダガスカルからのカメレオンの輸入はなく、またカザフスタンへのマダガスカルのカメレオンの輸出はどの国からも報告されていない。マダガスカル産のカメレオンの輸入は、明らかに飼育繁殖個体が確保できていることが必要条件であり、輸出の多くはレバノンに行き、そこからタイに再輸出される。
 「もしカザフスタンでマダガスカルのカメレオンの大規模飼育繁殖事業が本当におこなわれているのであれば、それらの繁殖ストックをどこから得ていて、輸出の多くがなぜワシントン条約締約国ではないレバノンを経由しているのだろうか」とトラフィックサウスイーストアジアの事務局長代理クリス・シェファードは言う。

 公式のデータによれば、2005年にレバノンは合法的に32頭のマダガスカル産カメレオンを輸入している。
「もっとも理論的に高い孵化率・生存率でさえも、32頭のカメレオンが、タイがここ数年でレバノンから輸入していると申告している数千頭の幼体を産み出すことは不可能である。では足りない分はどう説明できるのだろうか」とシェファードは言う。

  タイでのトラフィックの調査では、その他の種として、世界でももっとも希少なリクガメとされるホウシャガメAstrochelys radiata 100頭、クモノスガメPyxis arachnoids 数十頭、ヘサキリクガメAstrochelys yniphora 3頭がみつかっている。これらすべてがIUCNのレッドリストで近絶滅種(CR)に分類されており、ワシントン条約の下すべての国際的な商業取引は禁止されている。ホウシャガメの個体群は、2009年以降、マダガスカル南西部のかつての生息域の30%以下に縮小していると考えられている。

 WWFマダガスカルの代表であるリチャード・ヒューによれば、「マダガスカルから、主にアジア向けの、保護種の違法取引がかなりあるということはわかっている。そしてこうした状況は、現在のマダガスカルの政治的な状況によって悪化し、それが現行の法律や保護区での保全対策を弱めている。」

 トラフィックの調査からわかったのは、マダガスカルの爬虫類・両生類の取引はいったんバンコクのチャトチャック市場に集まり、そして地方の町へ広がり、インターネットでは盛んにおこなわれ、国内・国際両方の顧客に供給する業者のネットワークがあることを示唆しているということだ。

 レポートでは、タイ当局に対し、国際的な協力を通じて疑わしい出所からの輸入について捜査し、それを止めるよう要請している。また違法な爬虫類・両生類を販売する業者に対し、厳格な措置を求めている。「違法に入手した爬虫類・両生類を販売する取引業者は、法律を完全に無視し、タイの法執行活動を損なっている」とシェファードは言う。

 例えば先週、バンコクのスワンナブーム空港で800頭以上の保護されている爬虫類がタイ当局によって差し止められた。

 「空港当局によるマダガスカルのカメレオンの押収があるということは、違法取引が続いている証拠である。しかしこのレポートが実際に十分に実証しているため、市場の店や業者に定期的に訪ねることを通じてのみ、違法取引の本当の規模や野生のカメレオン個体群への潜在的な影響を明らかにできると望んでいる」とIUCN/SSCカメレオン専門家グループ長であるリチャード・ジェンキンス博士は言う。

 2013年には、タイで次回ワシントン条約締約国会議を開催される。ワシントン条約には、野生生物取引の問題について話し合うために175ヵ国の政府代表が参加することが期待される。

 

日本も他人事ではない

 日本でも、5月22日にマダガスカル産のリクガメなどを違法取引したとして逮捕者が出たことは記憶に新しい。また、過去にはタイから爬虫類やスローロリスなどを密輸し日本で摘発された事件も少なくない。東南アジアの一国タイで起きている問題ではあるが、日本も本レポートで報告されているような状況の責任の一端を担っているのである。今後もトラフィックは、外国産の野生生物の不正な取引を防ぐために、日本において、「種の保存法」や関連する法律の改正を訴えていく。

 


レポートが全文ダウンロードできます。
『Trade in Madagascar's endemic reptiles and amphibians in Thailand(タイでのマダガスカル固有の爬虫類・両生類の取引)』

詳細に関するお問い合わせは:
Elizabeth John, Senior Communications Officer, TRAFFIC Southeast Asia, Tel: ++603 7880 3940, email: jlizzjohn@yahoo.com
Richard Thomas, Communications Co-ordinator, TRAFFIC. Tel: +44 1223 279068, email: richard.thomas@traffic.org

注:
この活動への資金は、Durrell Institute of Conservation and Ecology (DICE) University of Kent およびMadagasikara Voakajyのためのダーウィン・イニシアティブの助成金「マダガスカルのカメレオンの取引と保全」によって支援を受けている。

2011年06月16日
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