
ホーム>野生生物ニュース>違法事例・法執行ニュース>タイ:バッグ3つを野生生物でいっぱいにした密輸未遂犯
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【タイ、バンコク発 2011年2月10日】
バンコクのチャトチャック・マーケットで野生生物を買いまくった男性が2月9日、スワンナブーム国際空港で当局に拘束された。この男性は、生きたヘビ、リクガメ、リス、クモ、トカゲ、さらにオウムを3つのスーツケースに入れて国外に持ち出そうとしたという。
通常空港でおこなわれるスキャンによる荷物検査の過程で、このインドネシア人の3つの黒いバッグの中に動物が整然と詰め込まれている画像が映し出され、止められた。
怪しい物に気づいたタイの空港担当官から通報を受けた国立公園・野生生物・植物保全局(National Parks, Wildlife and Plant Conservation Department)の担当官がバッグをチェックし、容疑者を拘束した。
34歳のこの男性は、インドホシガメ88頭、エロンガータリクガメ33頭、ホウシャガメ7頭、マタマタ6頭、タイコガシラスッポン4頭、アルダブラゾウガメ3頭、スッポンモドキ1頭および、世界でもっとも希少なリクガメと言われるヘサキリクガメ1頭を、バッグに詰め込んでいた。
これらと一緒に、ボールニシキヘビ34頭、ボアコンストリクター2頭にミルクヘビやコーンスネーク、キングヘビが数頭そしてシシバナヘビ1頭が詰め込まれていた。
またさらに、それぞれをプラスチック容器に入れたバブーンスパイダー18 匹およびリス類22頭、ヨウム1羽もスーツケースに入れられていた。
インドネシアのスラバヤから来たこの容疑者は、これら動物はチャトチャック・マーケットで購入したと当局に認めている。容疑者は密輸品が見つかった際、国に帰るためにエアアジアの航空機に搭乗する予定だった。
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彼は警察の留置所に拘置されているが、「野生生物保存・保護法(the Wildlife Preservation and Protection Act) B.E. 2535」のセクション19、23、24の下、起訴されることが予想される。彼はまた「動物伝染病法(the Animal Epidemics Act)B.E. 2499」 および「税関法(the Customs Act)B.E. 2469」についても起訴される可能性がある。
この差し止めについてトラフィックの地域事務局長のウィリアム・シャイードラはコメントし、タイ空港当局の努力に感謝すると共に、こんなに多くの保護動物がオープンに購入できることについて憤りをあらわにしている。
「そうした押収事件が起きると、注意を怠らなかった数人の法執行担当者を褒めることはできる。空港当局も称賛できる。しかしひとつ本当に疑問なのは、野生生物保護オフィスおよび自然犯罪警察オフィス双方からそう離れていないチャトチャック・マーケットがどうしてこんな違法な大量販売を続けることができるのだろうか。」
「実のところ、効果的に違法な野生生物取引に取り組んでいると主張している国として、この状況はまったくもって容認しがたい。」
チャトチャックは、世界的にも希少な種が取引されている市場にとっての中核的存在となっている。当局に対して多くの報告があるにもかかわらず、毎週末、違法な取引が公然と続けられている。
販売している種の多くが違法に入手されたものだとトラフィックのスタッフに公然と話す小売店や、国内法やワシントン条約に違反してどうやって国外に持ち出すかをアドバイスしてくれる店すらある。
タイからの希少なリクガメの違法取引は、この週のはじめにも注目を集めており、英国当局がタイから英国のコベントリの区分け所に空輸されてきた小包に入ったインドホシガメ8頭を押収したと報告している。
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