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フェアワイルド基準がボスニア・ヘルツェゴビナでその真価を発揮

2009年09月08日
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ボスニア・ヘルツェゴビナで実施されているラムソンの公平で持続可能な採集の試験的プロジェクトがうまくいったことが立証された。© Sladjana Bundalo
  ボスニア・ヘルツェゴビナで実施されているラムソンの公平で持続可能な採集の試験的プロジェクトがうまくいったことが立証された。 © Sladjana Bundalo
 

【ボスニア・ヘルツェゴビナ発 2009年8月12日】
持続可能な管理に関する専門家が、薬用・アロマティック植物の野生からの持続可能な採取に関する新しい基準に対し力強い承認を与えた。ボスニア・ヘルツェゴビナでは、18ヵ月に及ぶラムソン(クマニンニク)Allium ursinum 採集に関する試験的プロジェクトを実施していた。

 ヨーロッパの南東部に位置するボスニア・ヘルツェゴビナはヨーロッパで採集される薬用・アロマティック植物の主要な供給国である。

 スルプスカ共和国の東部のヴラセニツァでおこなわれているラムソンのプロジェクトは、公平さと薬用・アロマティック植物の持続可能な採取のための新しいフェアワイルド基準の実施を実地で試している6つのプロジェクトのうちのひとつです。

 環境省、森林・水管理および農業省、地元の森林当局、薬用植物の採集者や生産会社、学術機関、NGOからの参加者を含む20人の専門家が先月Vlasic Mountainに集まり、18ヵ月の間にプロジェクトがうまくいったかどうかについて話し合った。

 彼らは、プロジェクトは極めて優れた成功を収めたと結論付け、これも地域の森林当局や資源管理当局、科学機関および、フェアワイルド基準の実施や継続的な種のモニタリングを全面的に支援してくれているElmar d.o.o.のような企業、といった利害関係者との強い協力関係のおかげだとした。

 「私達は、ボスニア・ヘルツェゴビナのラムソンのプロジェクトが南東ヨーロッパにおいて広く再現される手本となる手法として役立つことを望んでいる」とトラフィックヨーロッパの薬用植物担当オフィサーのアナスタシヤ・ティモシャイナは言う。

 会議の参加者は、フェアワイルド基準は薬用・アロマティック植物種の持続可能な採取や管理を実現する有効な方法であることを言及した。特にカレープランツHelichrysum italicum やキバナリンドウ Gentiana lutea といった保護の問題を抱えている、より多くの種に対して基準の原則を実施することを勧めた。

 彼らはまた、ボスニア・ヘルツェゴビナの国内規制に持続可能な採集と管理の原則を盛り込むよう提案し、その地域の非木材林産物に関する法律を見直している関連の政府担当者や、企業や科学機関との間で引き続き話し合いをおこなっていくよう勧めている。

 トラフィック、WWF、IUCNは薬用・アロマティック植物の持続可能な利用と管理の仕組みをさらに推し進めていく南東ヨーロッパでの活動を続けていきたいと考えている。

 新しいフェアワイルド基準は、既存のフェアワイルド基準と、近年トラフィックやその他の団体によって開発されたISSC-MAPを組み合わせたものから立案された。その過程はドイツ連邦自然保護庁(BfN)による資金提供が大きい。

 ラムソンやそのほかの試験的な実施プロジェクトは、ドイツ経済協力・開発省(BMZ)の支援によって行われている。

 

**************************************************

■詳細に関するお問い合わせ

Anastasiya Timoshyna, Medicinal Plants Officer, TRAFFIC Europe-Central European Project Office, Anastasiya.timoshyna@wwf.hu

Sladjana Bundalo, Consultant, TRAFFIC Europe, zsratkovic@yahoo.co.u

 
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