
![]() WWFブースでのイベントの様子 ![]() 「賢人」のひとり、張毅氏 ![]() ケニアの賢人、アンドリュー氏 ![]() ブラジルの賢人、タシュカ氏 ![]() |
【名古屋発 2010年10月20日】
生物多様性条約COP10に関連したイベントとして、トラフィックが開催している「地球の薬箱を救え!Saving Plants that Save Lives」。10月19日に名古屋学院大学でおこなったイベントに続き、今回はCOP10会場近くのWWFブース内に3人の「賢人」をお招きし、同様のセミナーを実施しました。
今度はWWFブースにて!2回目のセミナーを開催
2010 年10月21日、生物多様性条約(CBD)COP10の会場に隣接した、生物多様性交流フェアの会場内にある、WWFブースで、19日に続く2回目となるトラフィックのイベント「地球の薬箱を救え!Saving Plants that Save Lives」を開催しました。ご参加いただいた方は述べ30人あまり。ブース内が手狭になるほどの盛況となりました。
まずは、日本のトラフィックのスタッフから、薬用植物の持続可能な利用を後押しする「フェアワイルド」の考え方について簡単に解説。
その後、中国で伝統医療を用いた治療を行なっている医師の張毅さん、ケニアの先住民族イヤク族のリーダー、アンドリュー氏、ブラジルの先住民族ヤワナワ族のチーフ、タシュカ氏の順に、3人の「賢人」たちが、それぞれの地域における薬用植物の利用や採集について解説しました。
中国語から英語への通訳はトラフィック中国のスタッフが、英語から日本語への通訳は日本のトラフィックのスタッフが交代で担当しました。
危機にさらされる資源と知識
賢人の皆さんはいずれも、自分たちが長い間、必要な時に必要な分だけ、大切に使ってきた、地域の自然の恵みである薬用植物と、その利用法にまつわる伝統の知識が、外部からやってきた人々によって、自分たちに何の断りもなく持ち出されていること、そして、そこから大きな利益を得たり、地域の薬用植物を過剰利用しようとしていることに、深く胸を痛めています。
しかし、それは決して、知識や資源を自分たちの地域だけに留めておきたいと、考えているということではありません。
賢人たちはいずれも、「自然の恵みを世界中にシェアして、賢く利用しながら、皆で健康に生きていきたい」、というメッセージを発しておられました。
自然との共存を実現し、それを当たり前に暮らしてきた人たちの知恵や、自然に対する畏敬の念を持った接し方に、私たちがどれだけ学べるかが、これからの生物多様性の保全を実現できるかどうかの、ひとつの鍵になっています。
賢人たちの心の声に学ぼう
このセミナーはでは、ブースの会場がこぢんまりとして、スピーカーとお客さまの距離が近かったこともあり、とても深刻な問題を扱っているにも関わらず、終始とてもアットホームな雰囲気で進みました。
また、会場から寄せられた質問もとても多く、薬用植物の問題に限らず、森林保護から地球温暖化の問題まで、内容も多岐にわたり、賢人たちもそんな反応を楽しみながら、和気あいあいと意見交換に臨んでいらっしゃいました。
はるばる遠い国から日本まで、薬用植物の置かれた現状を伝えに来てくれた賢人たちの心からの声に、私たち日本人は、消費者としてどう応えるべきなのか。今日をきっかけに、多くの方々がこの問題を考えてくださることを期待します。
ネット中継を実施しました!
このセミナーの内容はネットで中継いたしました。動画でご覧いただけます。
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