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ワシントン条約事務局がキャビアの取引に関する義務を果たすよう、輸入国と輸出国によびかけた

2006年01月10日
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060104credit_Vitaly_Loyanich.jpg© Vitaly Loyanich

【ケンブリッジ、英国発 2006年1月4日 】「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(以下、ワシントン条約)の事務局は昨日、輸出国 がその輸出や漁獲割当が持続可能であると示すまで2006年の輸出割当を出さないと発表した。条約事務局はまた、輸出国と輸入国の両方が、いかなるキャビ アの取引も合法的で持続可能であることを確保するという、前年に合意したワシントン条約の義務を果たすよう強く主張した。

 「チョウザメの製品を、共有個体群(shared stock)から輸出したいと考える国々は、提案する漁獲や輸出の割当量が現在の個体数を反映しており、持続可能なものだと示さなければならない」とワシ ントン条約の事務局長Willem Wijnstekersは言う。事務局はまた、カスピ海や黒海/ドナウ川や黒龍江省/アムール川を取り囲むチョウザメの輸出国が提出した情報によれば、共有の漁場に生息する多くのチョウザメ種が深刻な個体数減少に陥っていることに懸念を表明した。

 トラフィックもまた、ワシントン条約事務局が表明した同様の懸念を抱いている。そして輸出国に対し、ワシントン条約において事前に合意されているすべての対策を効果的に実施し、科学にもとづいた管理の高い基準を適用していくよう強く訴えている。これらは、資源量の科学的調査にもとづいた漁獲や輸出の割当量を合同で設定することや、地域的な保全戦略を発展させ、違法漁獲に対抗する取り組みを強化し、国内取引を規制し、キャビアの国際統一ラベリング・システムを施行することを含んでいる。

 またトラフィックとしては、カスピ海でのチョウザメ漁だけではなくユーラシア海盆全域に注意が向けられたということは、喜ばしいこと だある。ワシントン条約の対策は、心配されている10種のユーラシア個体群すべてや、アムール川、アゾフ海、黒海、カスピ海の関係生息国すべてに対し、今 後効果的に施行されることを期待する。

 トラフィックはまた、チョウザメの生息国で国内的に取引・消費されるキャビアの管理の欠如についても懸念を抱いている。そしてチョウ ザメ製品の国内取引に対する管理を強化するよう強く訴える。

 条約事務局はまた、欧州連合(EU)のような輸入国に対しては、すべての輸入が合法的な出所からとられたものであることを確保し、国 内の加工・再包装工場の登録システムを設置し、再包装され国内で販売されるキャビアのラベリングに関する規則を施行することも含めた義務を果たすよう強く 促す。

 トラフィックはまた、多くの主要な輸入国がいまだこれらの対策を導入していないことについては事務局同様、懸念を抱いている。トラ フィックは先月キャビアの違法取引が盛んであることを憂慮し、西ヨーロッパの政府が、キャビアの取引や識別に対する国際統一ラベリング・システムの施行を おこなうためのワシントン条約の必要条件を満たすのが遅いことを指摘したプレスリリースを発表した。

 キャビアのラベリング・システムを施行するための新しいEU規則は、2006年の初めに効力を発する。そしてトラフィックは、ヨー ロッパのキャビアの輸入者、輸出者、卸業者や小売業者に新しいラベリングの必要条件を知るよう強く訴える。トラフィックはまた、スイスのようなヨーロッパ の他の輸入国もラベリングの必要条件を実施するよう強く訴える。トラフィックは業界向けのキャビアのラベリング・システムの実施についてのガイド Guide on the Caviar Labelling System implementationを作成した。以下でダウンロードできる。(日本語版

 キャビアのラベリングシステムを効果的に実施することにより、ヨーロッパの消費者が購入するキャビアは合法的に取得・取引されてお り、チョウザメ種を絶滅に追い立てる違法取引に手を貸していないということに確信をもてるのである。



◆詳細に関するお問い合わせ
Maija Sirola, Communications Co-ordinator, TRAFFIC International.

2006年01月10日
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©TRAFFIC

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