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【CITES-CoP17】木材に対するワシントン条約での確固たる支援

2016年10月03日
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Dalbergia retusaは他のツルサイカチ属の種と同様に
附属書Ⅱへの掲載が合意された
© Forest and Kim Starr / Creative Commons Licence CC BY 2.0

【南アフリカ共和国、ヨハネスブルグ発 2016年10月】

ヨハネスブルグで開催された各国政府が出席する世界的な会合は、商業的に取引されている木材種を保護するためのより厳しい規制を導入することを強く支持した。

「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)」の第17回締約国会議は、中央アフリカのブビンガ属 Guibourtia 3種と西アフリカのプテロカルプス・エリナケウス Pterocarpus erinaceus とともに、ツルサイカチ属 Dalbergia 全体を附属書Ⅱに掲載することを投票で決定した。

附属書Ⅱへの掲載は、対象となる種の商業的な国際取引を管理するための措置が導入されることを意味する。

ツルサイカチ属 は、種数が多く、広範囲に分布しており、多様な形態の植物から構成されている。中には、上質で珍重される木材を生み出す種があり、その中には「ローズウッド」として取引されているものや、家具製造のために使われる紅木(Hongmu)木材として中国に輸出されるものもある。現在、ワシントン条約にはツルサイカチ属の種が数種しか掲載されておらず、属全体が掲載されたとしてもツルサイカチ属の様々な種を確実に識別することが必要であるものの、全種の掲載により、類似種に関連する法執行上の課題および困難の多くをなくすのに役に立つであろう。

ブビンガ属の3種は、ブビンガという名前で国際的に取引されており、中国では紅木の木材の代替として使われている。近年、アジア、特に中国におけるブビンガの市場は急速に成長しており、著しい違法伐採および取引を示す兆候がある。トラフィックは、取引に関する調査に続き、ブビンガのワシントン条約への掲載提案の作成を手助けした。調査の結果は、生息国および関係者とともに議論された。

プテロカルプス・エリナケウスは、地元向けおよび紅木としての輸出向けの両方で広く使われている。心材は非常に高価で、一定の直径以上の樹木でしか見つけることができないため、標的にされており、この種の商業的絶滅につながるおそれがある。

「前回のワシントン条約締約国会議は、海産種が条約の主流となったことで知られているが、今回は商業的に取引がなされている木材種の番である」と、カメルーンに拠点を置くトラフィックの森林・取引オフィサーであるDenis Mahongholは述べた。

2016年10月03日
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