
ホーム>野生生物ニュース>違法事例・法執行ニュース>マレーシア:過去3ヵ月で3度目の大規模象牙押収事件
![]() ![]() |
【マレーシア、クアラルンプール発、2011年9月5日】
王立マレーシア税関は、マレーシア最大の港クランで、695本のゾウの牙で満たされた2つのコンテナを押収した。今回、過去3ヵ月のうちで3度目の大規模な象牙押収事件となった。
「再生工芸プラスチック」とラベリングされていたこの積荷は、タンザニアを出所とし、中国に向かうことになっていた、と税関局長補佐(Customs assistant director-general)のダトゥク・ザイヌル・アビディン・タイブ(Datuk Zainul Abidin Taib)氏は言う。
重さ 2 t 近くのこの象牙は、南京袋に詰められ、プラスチック材の下に隠されていた。これはペナンで2週間前に押収されたのと同じ手口だった、とザイヌル氏は言う。
8月21日に起きたペナンでの押収事件では、アラブ首長国連邦から運ばれてきたコンテナに664本のアフリカゾウの牙が隠されていた。「使用済みプラスチック」と申告されていたこの重さ1.5 t の象牙は、マレーシア半島の北西にあるバタワース港で押収された。
7月8日の押収事件は、野生生物・国立公園局(the Wildlife and National Parks Department)と税関局(Customs Department)が、ジョホール州の最南端のパシルグダン港で、合板として申告されていた405本のアフリカゾウの牙の入ったコンテナを押収した。
直近の押収事件について、一般からの情報なしではこの押収は不可能だった、とザイヌル氏は言う。
「一般の人々が今後も税関に協力し、タイムリーな情報を提供してくれることを期待する」と彼はトラフィックサウスイーストアジアに語った。
これまで逮捕者は出ていないが、3つの最新の事件に関しての捜査は続く、とザイヌル氏は言う。
香港やケニアやタンザニアから来た象牙の目立った押収事件の中で、マレーシアが積み替え地点としての役割を持っているとして、ここ数ヵ月間は厳しい注目を浴びている。
「マレーシアでの一連の大規模な象牙の押収事件の中で今回の事件は、心強くもあり、また残念でもある」とトラフィックサウスイーストアジアの地域事務局長のウイリアム・シャイードラ博士は言う。
マレーシアの当局が問題への対策をとることができ、また、対策をとる姿勢を見せていることは心強い。残念なのは、トラフィックが現在指摘している、マレーシアは違法な象牙の主要な積み替え国であるということが、はっきりと立証されていることだ。
シャイードラは、税関局の押収が成功したことについて称賛しながらも、マレーシアや他の関与国の両方について引き続き警戒を呼びかけた。
「違法な野生生物取引は流動的だ。象牙の密輸者達は、マレーシアの港を使うにあたって今や窮地に追い込まれているため、闇市場でのビジネス存続のために、マレーシアから他に移動する可能性がある。」
野生生物ニュース:「ゾウ取引情報システム(ETIS)の 最新報告書の日本語版がダウンロードできます」(2011年9月20日)
関連ニュース
【セミナー開催報告】ペット取引される爬虫類
-上野動物園×WWF・トラフィクセミナー-
2017年09月25日
2017年9月9日、トラフィックは、上野動物園にて「ペット取引される爬虫類」についてのセミナーを開催しました。生息地の開発や、ペットにするための捕獲、密輸により、絶滅の危機に瀕しているカメやトカゲなどの爬虫類。これらの動物は、密輸される途中で保護されても、多くは生息地に帰ることができません。なぜでしょうか?こうした日本のペットショップで販売される爬虫類の取引の現状と問題について、専門家が解説。参加者の疑問に答えました。
©トラフィック
国内での象牙取引で違法事例再び
古物商ら12人が書類送検されるも不起訴に
2017年08月30日
2017年8月25日に象牙9本を違法に取引した容疑で、東京都内の古物商と従業員、その顧客ら12人が書類送検されるという事件が報道された。これは、6月20日に同じく18本の象牙を違法に取引した業者が書類送検された事件に続き、2017年で2件目の摘発となる。さらに29日には、不起訴処分となったことが明らかになった。世界では、ゾウの密猟と象牙の違法取引に歯止めをかけるため関係国が抜本的な対策に着手する中、日本国内で相次ぐ違法な象牙の取引。国内市場管理の問題点があらためて浮き彫りになっている。
©Martin Harvey / WWF
【セミナー開催のご案内】上野動物園×WWF・トラフィックセミナー
-ペット取引される爬虫類-
2017年08月23日
2017年9月9日、トラフィックは、上野動物園にて「ペット取引される爬虫類」についてのセミナーを開催します。動物園で飼育されている爬虫類の生態やペット人気の陰で絶滅の危機に瀕している種を守るための取り組みと、日本のペットショップで販売されている爬虫類の取引を巡る課題などを専門家が分かりやくお話しします。
© Michel Terrettaz / WWF
2017年08月08日
2017年8月8日、トラフィックは、日本の主要eコマースサイトでの象牙取引を調査した報告書を発表した。調査の結果、オンライン店舗のほか、ネットオークションや個人向けフリマサイトでも活発な取引が行なわれる中、現状の規制に大きな課題があることが明らかになった。今回の調査で、これまで不明瞭だった、特にインターネットを通じた象牙取引の一端が明らかになったことから、日本政府にはあらためて、違法取引を許さない包括的な規制措置を求めていく。
©Martin Harvey / WWF
関連出版物
発効:トラフィック【2017年8月】 著者:北出智美【日本語】Briefing Paper
Chi Initiative BRIEFING PAPER World Rhino Day 2017
発行:Chi Initiative【2017年9月】 著者:TRAFFIC【英語】24pp