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香港:2 t 近くの象牙を押収

2011年09月26日
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110830hong-kong-ivory.jpg 香港税関が公開した、押収された1.9 t の象牙

【香港発、2011年8月30日】

 香港の税関担当官が29日、マレーシアから到着した輸送用コンテナの中に隠されていた象牙794個(1.9 t )を押収したことを発表した。

 積荷は工場で使用する非鉄製品として申告されていたが、港湾・海事部 (the Ports and Maritime Command) の係官による検査で、石に隠されたアフリカゾウの象牙が発見された。

 66歳の男性が逮捕され、その後の捜査が進められている。

 「香港の当局がこの重要な押収をおこなったことは称賛すべきだが、密輸ルートの一連のつながりに沿って、これらの責任者を見つけ出すためにすべての手がかりをたどるようにすることが、今まさに不可欠である」とトラフィックのゾウ・サイプログラムのコーディネーターであるトム・ミリケンは言う。

 「違法に供給される象牙が、合法的な象牙取引システム中に紛れ込んでいないか確認するために、ワシントン条約事務局が、中国の国内的な象牙取引の手続きについて再調査するようを勧告したばかりだったが、今回の事件は、中国市場向けの象牙の大規模な積荷であるようだ。」

 世界的には、象牙の違法取引は2004年以来増えており、中国の消費という主要な推進力が、アフリカのゾウの密猟という危機の背後にあると考えられる。

 香港がマレーシアからの大規模な象牙の押収をおこなったのは始めてではない。

 2009年12月には、マレーシアから運ばれてきた、「ホワイトウッド」とラベリングされたコンテナから象牙186個がみつかった。この積荷はナイジェリアを出所としていたが、昨日の積荷については出所はまだ公表されていない。

 2003年には、香港当局はまた275本、重さにして2 t 近くのゾウの牙を押収した。この積荷はタンザニアから違法に輸出され、マレーシアを経由していた。

 そして再び、先週1,000本以上のゾウの牙がタンザニアのザンジバルで押収され、こちらもどうやらマレーシアに向かう途中だったようだ。

 トラフィックは、ワシントン条約締約国に代わって違法な象牙取引の監視システムであるETIS(ゾウ取引情報システム)を運営しているが、ミリケンは、そのETISを管理している。

 ETISは、1989年以来世界中で起きた1万7,000件近くの象牙やその他のゾウ製品の押収事例に関する報告データに関する詳細情報を有している。

 香港においては、これまで23年間に計164件の象牙の押収があり、合計17 tを越える象牙が押収された。

 2009年に発表された、最新のETISの包括的な分析によれば、「マレーシアは、アフリカの象牙の経由国として一連のETIS分析の中で次第に目立つ存在となってきている。」

 マレーシアのマレーシア半島野生生物・国立公園局(Department of Wildlife and National Parks Peninsular Malaysia (PERHILITAN))は、ザンジバルの先週の押収事件に対して非常に懸念している旨、声明を出し、タンザニア当局とこの件について連絡をとった。

 「この香港の押収事件は、アフリカの象牙がアジアに違法に流れる中で、仲介役としてのマレーシアの役割をさらに浮き彫りにしている。」

 「マレーシアは、自国の名声を傷つけている国際的な象牙の密輸者に対し、今こそ厳しい態度をとる時だ。」


外部リンク:香港政府の報道発表(英語)
外部リンク:ワシントン条約常設委員会のウエブサイト(英語)

2011年09月26日
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