
ホーム>野生生物ニュース>違法事例・法執行ニュース>速報: 悪質な爬虫類の大手卸販売業者と密輸ブローカーに実刑判決
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2005年の8月以降、爬虫類の不正登録や詐欺、密輸などの容疑で相次いで関係者が起訴されていた件について、中心的な役割を果たしていた大手爬虫類卸販売業者と、爬虫類の密輸ブローカーに、2006年5月17日、18日に判決が下った。密輸ブローカーの 2人には懲役4年罰金400万円と3年300万円が求刑されていたが、それぞれ懲役3年罰金300万円、懲役2年罰金200万円の有罪判決が下った。また卸販売業者には、懲役5年とその法人に罰金200万円が求刑されていたが、被告人には懲役2年6ヵ月、法人には罰金180万円という実刑判決が下った。
判決の理由としては、計画的かつ常習的であり犯行が悪質な点や、前科などがあることや、法律や条約などを立場上よく知っていたはずであるなどが理由として述べられた。また、希少動物は弁償がきくものではないこと、社会的影響が大きいといったことが指摘された。
これまでこの事件の動向を見守ってきたトラフィックイーストアジアジャパンは、今回の警察によるねばり強い捜査が、個々の事件解明のみならず、事件同士のつながりをも明らかにし、日本でおこなわれている不正な爬虫類取引の実情を明らかしたことに賞賛を送りたい。また、この事件については、海外からも照会が寄せられており、海外からの関心の高さがうかがえる。このように、今回の結果が日本のみならず海外の野生生物の違法取引に対する捜査を助けることにもなりそうである。
トラフィックでは今回、国内最大手とも呼ばれる爬虫類卸販売業者密輸による事件へ実刑判決が下ったことを受け、この結果が悪質な密輸ブローカーや爬虫類ペット業者への警鐘となり、爬虫類をとりまく業界全体のモラルの向上につながることを期待する。
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【セミナー開催報告】ペット取引される爬虫類
-上野動物園×WWF・トラフィクセミナー-
2017年09月25日
2017年9月9日、トラフィックは、上野動物園にて「ペット取引される爬虫類」についてのセミナーを開催しました。生息地の開発や、ペットにするための捕獲、密輸により、絶滅の危機に瀕しているカメやトカゲなどの爬虫類。これらの動物は、密輸される途中で保護されても、多くは生息地に帰ることができません。なぜでしょうか?こうした日本のペットショップで販売される爬虫類の取引の現状と問題について、専門家が解説。参加者の疑問に答えました。
©トラフィック
国内での象牙取引で違法事例再び
古物商ら12人が書類送検されるも不起訴に
2017年08月30日
2017年8月25日に象牙9本を違法に取引した容疑で、東京都内の古物商と従業員、その顧客ら12人が書類送検されるという事件が報道された。これは、6月20日に同じく18本の象牙を違法に取引した業者が書類送検された事件に続き、2017年で2件目の摘発となる。さらに29日には、不起訴処分となったことが明らかになった。世界では、ゾウの密猟と象牙の違法取引に歯止めをかけるため関係国が抜本的な対策に着手する中、日本国内で相次ぐ違法な象牙の取引。国内市場管理の問題点があらためて浮き彫りになっている。
©Martin Harvey / WWF
2017年07月18日
2017年7月4日、香港税関は葵涌(クワイチョン)でコンテナに隠された7.2tの密輸象牙を押収した。年に2万頭を超えるアフリカゾウが密猟されている中で起きた今回の摘発は、過去30年で最大級の規模と見られており、象牙の違法取引をめぐる国際的な組織犯罪の深刻さを物語っている。こうした一連の野生生物の違法取引に問題に対し、各国政府は今、強く連携した取り組みを進めようとしている。合法的な象牙の国内市場を持つ日本にも、この流れに参加する積極的な姿勢と取り組みが強く求められている。
©Keiko Tsunoda
2017年07月10日
楽天株式会社が楽天市場での象牙製品の販売行為を今後認めないことが明らかになった。現在、日本国内で合法的に販売されている象牙製品は、近年のアフリカゾウの密猟とは因果関係がないとされている。しかし、トラフィックの新たな調査でも、急成長を続けるeコマースを通じた象牙取引については、法律の整備が追いつかず、対応しきれない状況が続いていることが明らかになっており、トラフィックとWWFジャパンも厳しい措置を求めていた。日本のe-コマース企業の判断としては、大規模な今回の楽天の決定が、他企業にもより厳しい対応を迫るものとなることが期待される。
©Steve Morello / WWF
関連出版物
発効:トラフィック【2017年8月】 著者:北出智美【日本語】Briefing Paper
Chi Initiative BRIEFING PAPER World Rhino Day 2017
発行:Chi Initiative【2017年9月】 著者:TRAFFIC【英語】24pp