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マレーガビアルの不正登録で、爬虫類業界の中心人物が逮捕
![]() ©TRAFFIC East Asia-Japan |
2005年8月17日、警視庁の生活環境課と世田谷署、中野署は、国内で取引が規制されているマレーガビアルを、取引のために不正登録したとして動物卸売業「レップジャパン」社長や動物園「草津熱帯圏」園長ら3人を逮捕した。
マレーガビアルは「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」で、国際希少野生動植物種とされている。ただし、飼育繁殖した個体や条約適用以前のものについては、環境省に登録し取引することが可能である。そのため、3人は共謀し、登録機関である自然環境研究センターに対し、マレーガビアルは密輸等ほかの方法で入手したものにもかかわらず、「草津熱帯圏」で繁殖に成功した個体であるという虚偽の登録申請をおこなった。この容疑者らは、他にもリクガメなどについても調べが続けられている。
これまでにもリクガメやワニなど爬虫類の違法取引は後をたたず、今回のように事件として明らかになるものはほんの氷山の一角と考えられる。
また、今回逮捕されたひとりは爬虫類の卸売業界の中心的な人物である。この人物は1989年にもシロテナガザルやベンガルヤマネコを密輸しようとしたとして関税法違反で逮捕されている。また1991年にもマツカサトカゲを密輸しようとして、オーストラリアで逮捕されている。
絶滅のおそれのある野生動物を違法に取引しているのは、今回のような卸業者だったり、輸入者、ペットショップ経営者、マニアである。本来彼らはこれら野生動物が直面している厳しい生息状況のよき理解者であり、保護に積極的に関わるべき人々である。
野生動物の保護に対し理解を示し、協力的な関係者もいる。しかし残念なことに、このような事件が続くと、爬虫類ペット業界は腐敗していると言わざるを得ない。爬虫類を取り扱う業界全体のモラルの向上を切に願う。
また、環境省および自然研究センターは登録を審査するときには安易な登録を避けるべきである。そのため繁殖施設を視察したり専門家に確認するなど慎重に対応すべきである。
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発効:トラフィック【2017年8月】 著者:北出智美【日本語】Briefing Paper
Chi Initiative BRIEFING PAPER World Rhino Day 2017
発行:Chi Initiative【2017年9月】 著者:TRAFFIC【英語】24pp