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旧正月に食べないほうがいい5つの食べ物

2007年02月16日
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  070216sharkfin.jpg 香港で1kgあたり475ドル相当で売られているフカヒレ©WWF-Canon / Meg GAWLER

【中国、北京発】旧正月が近づくにつれ、贅沢をこらした食事が待ち遠しいですか? トラフィックによれば、例えばフカヒレやナマコ、アワビといった特定の食べ物を避けることまたはその出所に注意することで、地球の自然資源へ悪影響を与えないようにできるし、イノシシ年を罪悪感なくすごすことができるという。

 「それには、あなたが消費しているものは何か、またそれが動植物や環境に与える影響について、注意を向けることです」とトラフィック香港のティモシー・ラムは言う。

 「どの動植物種が過剰採取の圧力を受けているか意識していない人もいる。わたしたちは持続可能ではない取引や消費の需要によって野生生物や環境が脅かされているということにもとづいてアドバイスしている。」

 WWF香港のエリック・ボームは加えて、「これら多くの種にとって、これらの製品の出所が持続可能かつ証明できるまで、それらを避けるべきである。それらに対する脅威が高まっている。」


アワビ-購入する際は気をつけて。 この高級珍味は人気があるものの、注意が必要。アワビは南アフリカで資源量が急に落ち込んできている。南アフリカではそのほとんどが香港を主要輸入国とする東アジアに輸出している。南アフリカではPerlemoenとして知られているが、その肉は珍重され、旧正月の間には1 kg あたり1,000米ドルまでの値で売れる。違法な採取や取引が依然として続いているため、その種の存続に深刻な影響を与える可能性があり、結果的に合法的な漁獲の停止や、何百もの失業者を生む結果になりかねない。南アフリカは、アワビの密漁や違法取引の最悪の事態を目の当たりにしているものの、このチャレンジに直面している国は南アフリカだけではない。合法的な出所のアワビを扱っているかどうか、それがどの国から来たかに限らず、買う前に供給業者に聞いてみてください。

フカヒレ-購入するなら細心の注意を。 フカヒレ・スープは大事な行事をたたえるために、2000年以上も使われてきた珍味である。80ヵ国以上がフカヒレの取引にかかわっており、香港がその中心地である。世界には400種以上のサメがおり、83種が世界的または地域的に近絶滅種(CR=Critically Endangered)、絶滅危惧種(EN=Endangered) 、危急種(VU=Vulnerable)のいずれかに掲載されている。1千万のサメ類が毎年混獲または直接ヒレや肉をとるために漁獲されている。ヒレを切り取り、たいてい残りは海に投げ捨てられるフィニングは、広くおこなわれている。フカヒレの国際取引は、成長が遅く、脆弱なサメ類の個体群に深刻な圧力を与えている。もし漁獲が管理のないまま継続されたら、サメ類の個体群は限界量を越えてさら減少していくだろうと科学者は懸念している。

ナマコ-購入するなら細心の注意を。 何世紀もの間、ナマコはとりわけ東アジアでは人気のある食材であった。1980年代、食材としてのナマコの国際取引は劇的に増加した。当時ほとんどIsostichopus fuscus の1種のみが占めていたエクアドルの漁獲が注目を浴びた。1991年までに、エクアドル本島に沿っておこなわれていたナマコの漁場は枯渇し、ガラパゴス諸島の個体群に漁獲が集中した。エクアドルからのナマコの輸出は、この産物の世界取引に占める割合はわずかだが、この漁獲はガラパゴス諸島の独特の生態系に影響を与えるほどの脅威である。ナマコはまた、世界の他の多くの国々から東アジアに輸送される。それらは、管理がほとんどあるいはまったく実施されていない発展途上国を原産とする場合が圧倒的に多い。一般に、ナマコは過剰に漁獲されやすく、世界中でもっと高度なレベルの管理が必要とされる。

髪菜(ファーツァイ)Flagelliform nostoc-買ってはいけない。 食べた人は裕福になれると信じられていて、何世紀もの間スープや様々な料理で食されてきた黒い、髪の毛状の藻類。「髪菜」は広東語で「リッチになる」と同様に聞こえ、この採集は、中国の数百万エーカーの草原を砂漠に変えた。髪菜は草本の根の上に育つが、採集者はそれをとるため、再び生え変わるのに10年かかる草を引き抜く。そうこうしているうちに、草が生えていた土地は、風にさらされ、結果砂漠化することになる。450gの髪菜を集めるために、約4エーカーの草地が被害を受ける。中国は、2000年に髪菜の販売を禁止した。このため市場で手に入る髪菜は違法である。しかし、人工の髪菜が市場で手に入り、いい代替品となっている。

絶滅のおそれのある種を含有成分として含んでいる滋養強壮剤-購入するなら細心の注意を。 野生の人参、淡水ガメ、タツノオトシゴ類、サイガ、センザンコウ類、トカゲ類、トラ等、を含んでいる強壮剤が、しばしば毎年旧正月に消費される。これらすべての種は、過剰に利用されたり、管理のない状態で取引されている。例えば、世界中に残存する野生の人参 Panax spp. はわずかであり、多くの野生の人参種は近絶滅種(CR)である。市場にあるほとんどの人参は栽培されたものであるし、野生から合法的に採取されているものも多いが、非持続可能で違法な市場はいまだ存在している。アジアの淡水ガメは文字通り絶滅するまで食べ尽くされていて、4分の3が現在存続を脅かされており、半分以上が絶滅危惧種(EN)だと考えられている。推定2,400万匹のタツノオトシゴ類が毎年野生から採取され、漢方薬に使われたり、生きたまま観賞用取引のため販売されている。33種のタツノオトシゴ類の取引は、ワシントン条約で規制されている。世界にはたった約5,000頭のトラしか残っておらず、トラの製品の国際取引はすべて違法である。したがって、トラの骨の入ったお酒や強壮剤については厳しく禁じられている。

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