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-韓国開催の生物多様性サミット閉幕-

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進展見えたが、未だ遠い道のり
-韓国開催の生物多様性サミット閉幕-

2014年11月20日
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【韓国、平昌発 2014年10月】

 韓国の平昌で開催された生物多様性条約第12回締約国会議(CBD-CoP12)において、194カ国の加盟国(2014年10月時点)と3000を超える代表団による2週間の協議は閉幕したが、このサミットの成果については見解が分かれているとトラフィックは見ている。

 「新しい持続可能な開発目標への生物多様性の統合の呼びかけと、持続可能な利用を支援する多くの重要な技術的決定をトラフィックは歓迎する。しかしながら、現在横行している無規制かつ持続不可能な野生動植物の利用を防ぐためには、各国政府からの十分な経済・技術支援が不可欠である」と、CBDのトラフィック代表団を率いるローランド・メリッシュ(Roland Melisch)は言う。

 トラフィック代表団は、CBD-CoP12の開催前と会期中、植物多様性の持続可能な利用と保全、持続可能な野生生物管理、ブッシュミート(野生動物の肉)の利用、生物多様性と健康、および愛知目標達成に向けた努力を阻害する野生生物の違法取引など、生物多様性の持続可能な利用とその施策に対し、技術的見解と政策的助言を提供した。

 またトラフィックは、陸上生態系と海洋生態系双方に関わる「生物多様性国家戦略及び行動計画(National Biodiversity Strategies and Action Plans:NBSAPs)」に、上記の課題を盛り込むことを目指した能力開発の支援もおこなった。

 「トラフィックは、愛知目標を達成するためNBSAPsを遂行するCBD締約国を支援する用意がある」とメリッシュは言う。

 この会議から得られた主な成果に対するトラフィックの評価は次の通り:

地球規模生物多様性概況レポート
 2020年までに達成すべき20の愛知目標を含むCBDの戦略計画は、2010年名古屋で各国の政府から承認された。この戦略計画は、野生動植物の持続不可能で違法な利用によって引き起こされ、今なお続いている生物多様性の損失に取り組む唯一の世界的統一指針として示されており、また持続可能なレベルでの採集・捕獲および取引にもとづいた生物多様性の保全への貢献と、人間の福利の向上も目指している。しかしながら、平昌でおこなわれたCoP12で発表された『地球規模生物多様性概況第4版(GBO-4)』では、多くの国々がこの計画の目標達成にはまだほど遠いことが明らかとなった。政府が生物多様性の現況に改善をもたらすために世界規模で承認された戦略計画を達成しようとするならば、大胆で素早くかつ刷新的な行動が早急に必要であると、GBO-4に貢献したトラフィックは確信している。CoP12で締約国は、付随するNBSAPsを含む「生物多様性戦略計画2011-2020」の完全履行を確実にするため、包括的かつ緊急的な措置が必要との強い要請を受けた。

閣僚宣言-カンウォン宣言(Gangwon Declaration)
 CBD-CoP12で採択されたカンウォン宣言(Gangwon Declaration)では、各国の政府が満場一致で、今後の持続可能な開発目標に生物多様性を盛り込む新たな開発アジェンダを提唱した。トラフィックはこの進展を愛知目標達成の一助になるものと歓迎する。また、ポスト2015年開発アジェンダでも強調されている世界的な優先事項、すなわち貧困と飢餓を減らすこと、人々の健康の促進、エネルギー・食糧・水の持続可能な供給の確保といった課題をより明確にすることに大いに貢献するとして歓迎している。さらに、生物多様性を持続可能な開発目標に盛り込むことは、生物多様性が政策決定の主流を担う大きな機会を与えられることでもある。

植物多様性の持続可能な利用と保全
 『植物保全に関する報告書2014年版(Plant Conservation Report 2014)』は、植物多様性のおかれている状況と多様性への圧力、また、締約国による世界植物保全戦略(Global Strategy for Plant Conservation:GSPC)の目標達成に向けた進展に関し、GBO-4を反映したものになっている。CoP12で発表された報告書によって、世界経済と地域社会の双方における野生植物の価値がGBO-4よりもはるかに詳細に明らかにされた。また報告書では世界中の保全状況も評価されている。

 トラフィックは、幾つものGSPC目標、とりわけ生息域内保全と野生植物の持続可能な利用に関する目標に向けた進展の度合いについて深い懸念を持っている。しかし、GSPCおよびツールキットがCBDの戦略計画において重要なツールとしての役割を担っていると引き続き認識されていること、および植物保全における能力開発支援を継続するという締約国の決定をトラフィックは歓迎している。

持続可能な野生生物管理とブッシュミート
 トラフィックは、締約国会議によるこの一連の活動に対し2008年以来相当量の情報を提供し、インドのハイデラバードで開催されたCBD-CoP11の会期終了間際に設立された野生生物資源の持続可能な利用と保全のための実質的な指示と計画をおこなう有志のパートナーシップによる国際的団体である、「Collaborative Partnership on Sustainable Wildlife Management:CPW(持続可能な野生生物管理に関する共同パートナーシップ)」にも創設メンバーとして参加してきた。統一化された持続可能な野生生物管理プログラムの進展と実施において、締約国を支援するための持続可能な野生生物管理の役割に関する技術ガイダンスの作成をCPW と協力しておこなうようCBD事務局に指示する決定について、トラフィックは非常に前向きな動きと捉えている。

 この決定は締約国と関係機関に対し、国と地域レベルでのブッシュミートの効果的なトレーサビリティ、モニタリングおよび管理システムを構築し、実施するため、また、ブッシュミートの消費と取引方法に関するバイオセキュリティを強化するため、国と地域の野生生物監視システムの開発支援を目的とした途上国への経済・技術支援を要請するものでもある。さらに、ブッシュミートも含めた持続可能な野生生物管理において、CBDとワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約:CITES)間の相乗効果を高めるため、両条約の各国担当者の協力体制の強化が求められた。

 トラフィックが特に歓迎するのは、締約国に規制制度の構築、改定もしくは更新することを推奨していることである。ワシントン条約や他の国際的義務を相互支援する形で、生活上必要な利用と違法な狩猟を識別し、野生種の標本や製品の国内取引と国際取引とを区別するためであり、そうすることで
  ・生活上必要との理由から野生生物資源を利用している国や人々が処罰されることを防ぐ
  ・野生生物の持続可能な管理に関する権利と義務を行使する先住民と地域住民の能力を強化する
  ・ブッシュミートの持続不可能な消費を助長する仕組みを解明し、必要に応じて改革する
このような取り組みが、愛知目標の達成に向けた努力を大いに妨げている過剰な採集・捕獲や違法な野生生物の取引を抑制する重要な一歩であることは間違いないとトラフィックは確信している。

生物多様性と健康
 既に情報収集がおこなわれ、引き続き作業がおこなわれている『Connecting Global Priorities: Biodiversity and Human Health(世界的優先事項とのつながり:生物多様性と人々の健康)』報告書の草案を、トラフィックは歓迎する。CBD事務局と世界保健機関(WHO)が地域ごとの能力開発ワークショップの開催地域を増やすこと、生物多様性と健康のつながり(相互作用)を築くことなど、引き続き協力し対応するという決定もトラフィックは高く評価している。人畜共通感染症、とりわけ、野生動物の肉を介しての感染症に対する認識、野生の生物多様性から得る薬用資源の減少に対する認識などを高める必要がある中、両機関の協力はこれ以上ないほど必要とされている。トラフィックは、生物多様性と健康に関する相互作用の成果が、CBD事務局よりWHO第68回総会の場で示されることを歓迎しており、一次医療や日々の暮らしにおける薬用植物の重要性への一層の高い認識が示されることを望んでいた。CoP12の決定は、現在共同作成団体によりおこなわれている薬用植物の保全に関する"世界保健機関(WHO)/国際自然保護連合(IUCN)/世界自然保護基金(WWF)/トラフィックのガイドライン"の見直しを歓迎し、ガイドラインが使用可能になれば締約国および関係機関が速やかにこれを導入するよう強く奨励するものである。

生物多様性国家戦略及び行動計画
 生物多様性戦略計画2011-2020に沿った「生物多様性国家戦略及び行動計画(NBSAPs)」の見直し、更新および改訂をまだおこなっていない締約国は、2015年10月までに国家レベルで指標を策定し、報告書第5版を提出するようCoP12で求められた。CoP12では、これにかかる支援や能力開発の提供の呼びかけもおこなわれた。トラフィックはこれを歓迎しており、この呼びかけが会議の戦略計画の達成を成功に導く重要な要素となり、国家レベルでCBDの3つの目標を一体化し本流に据えると見ている。

資金と資源動員
 世界中で生物多様性の危機が高まっているという認識で締約国は一致しているものの、生物多様性の劣化を食い止めることや、地球上の動植物の多様性とそれに依存している人々の暮らしを守ることへの対応にはまだ不十分さが残るとトラフィックは考えている。GBO-4で示された情報や愛知目標に必要とされる援助に関するハイレベルパネルの結果から生まれた要求に応えるには、目標レベルはほど遠いものであった。しかしながら、次の3つの点で前向きな意図も感じられた。ひとつは、各国のNBSAPsの経済的援助における格差を減らすため様々な筋から国内の財源を動員することで全ての締約国が同意したこと。二つめは、生物多様性への国際資金フローを倍増することを途上国が公約したこと。三つめは、資源動員に関し能力開発に一層の努力をするという締約国による合意を取り付けたことである。

海洋と沿岸の生物多様性
 CBD-CoP12の締約国は、国の管轄外の海域を含む世界にまたがる海洋の150以上の「生態学的及び生物学的に重要な海域 (EBSAs)」を追加承認した。次の重要なステップでは、愛知目標の下で合意したように、締約国はこのEBSAsに含まれる生物多様性と生態系を維持するための持続可能な管理体制を構築する必要があるとトラフィックは提言した。

遺伝資源へのアクセスと利益配分-名古屋議定書
 遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分、管理された利用を確保することを目指したCBD上の国際合意である名古屋議定書が2014年10月12日に発効したことをトラフィックは歓迎した。この議定書は2010年日本の名古屋で開催されたCBD-CoP10の会期中に採択された。議定書の発効は、2015年までに満たすべき愛知目標の目標16の達成により近づくものであるとするものの、名古屋議定書を現場で実施するためにあらゆるレベルにおいて適正な法的措置、行政措置および政策措置を進展させるよう、トラフィックは引き続き締約国に求めていく。また、名古屋議定書に批准していない締約国に、可能な限り議定書の条項を広く網羅することを目指すために国内の手続きを進め、議定書を支持するようトラフィックは一層の働きかけをおこなっていく。

先住民及び地域住民:認識度と伝統的知識
 CoP12は"先住民及び地域住民(Indigenous and local communities :ILCs)"によって長期にわたり要求され、国連"先住民問題に関する常設フォーラム"で推奨されている「先住民及び地域住民-indigenous people and local communities(CBD第8条のj)」という用語を締約国会議での今後の決定と二次文献で使用することについに合意した。トラフィックは条件付きでこの決定を歓迎している。なお今回の決定は、過去のいかなる決定にも影響を与えるものではなく、あるいは条約の条文の意味を変更するものでもない。

 また、先住民と地域住民が、地域基盤のモニタリングを通して、開発やデータの収集と分析において、いかに効果的に参加できうるかを検討するようCoP12が締約国とILCsに呼びかけたことをトラフィックは歓迎している。そして、愛知目標の指標の全体的なモニタリングに対して、ILCsの地域基盤のモニタリングや情報システムがどのように貢献できるのか、さらに調査することも促された。生物多様性の慣習的におこなわれている持続可能な利用に関する行動計画も承認され、地域計画や協定の文書化や策定、および地域の保全域の登録を進展させるためILCsに対する支援の要請がなされた。


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