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野生植物の持続可能な利用と保全 愛知目標の達成に不可欠

2014年11月18日
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©K. Kanari

【韓国発 2014年10月】

 韓国の平昌で開催された生物多様性条約第12回締約国会議(CBD-CoP12)の幕開けに当たり発表された新しい報告書『植物保全に関する報告書2014年版(Plant Conservation Report 2014)』で、世界の植物保全に対する16の目標のうちいくつかは、2020年までには達成できない見通しであることがわかった。

 『植物保全に関する報告書2014年版』は、野生植物が世界経済と地域社会の双方にもたらす価値について解説するとともに、世界の植物保全状況の評価についても、世界植物保全戦略(Global Strategy for Plant Conservation:GSPC)の中間評価で集約された情報を基に示している。

 現在のところ達成される見込みがある唯一のGSPCの目標は、2020年までに"既知の植物のオンライン・データベース"を構築することを掲げる、「目標1」である。その他の目標に関しては、進展はあるものの、期限までに達成する見込みは低いものと見られている。

 GSPCの16の目標は2002年時に生物多様性条約(CBD)の締約国の承認を受け、その後2010年に改訂された。これらの目標はGSPCの進捗状況を測るための枠組みとしての役割を果たす。

 CBDのテクニカル・シリーズの一部として発行された本報告書は「生物多様性戦略計画2011-2020」の中間評価の一端を担い、『地球規模生物多様性概況(Global Biodiversity Outlook:GBO)第4版』用に収集された情報を基にしている。

 報告書の結果は、植物園自然保護国際機構(Botanic Gardens Conservation International:BGCI)、CBD事務局、トラフィック、韓国国立樹木園(Korea National Arboretum)、南アフリカ国立生物多様性研究所(South African National Biodiversity Institute:SANBI)主催のサイドイベントで取り上げられた。

 本報告書によると、最も重要な野生植物製品は木材であり、2003年から2007年の間に森林から伐採された木材は年間1千億ドル(およそ10兆円)を上回る価値であった。その他の重要な野生植物製品は、薪(2005年時点で70億ドル〈およそ7千億円〉)、食品、薬(2012年の薬用植物の世界の輸出総額は22億ドル〈およそ2千200億円〉)、そして化粧品に用いる原料である。

 しかしながら、無規制かつ持続不可能な野生植物の利用は植物の個体群に深刻な打撃を与え、一部では種の存続さえも脅かしている。生息地の消失、環境汚染、侵入種や気候変動などの複数の要因が重なる中で植物の多様性への脅威が増していることも背景にある。

 植物の分布や保全状況に関する情報不足が、生息域内・域外両方での効果的な保全対策を妨げていると指摘され、少なくとも全植物種の5分の1が絶滅の危機に瀕していると報告されている。同時に、世界の多くの場所で植物保全に必要な植物学上のキャパシティや資金が不足している。

 「トラフィックはこの貴重な評価内容を歓迎する一方で、2020年までに達成の見込みがないとされる大部分のGSPCの目標の進展具合について深く懸念している。中でも特に、野生植物の生息域内保全および持続可能な利用に関連した目標に向けた達成状況は大きな懸念材料である」と、トラフィックの薬用植物プログラムリーダー、アナスタシア・ティモシャイナは言う。

 トラフィックはCBDで発言をおこない、締約国に対して植物保全への取り組み強化を呼びかけた。特に植物の多様性に重要な地域の特定、絶滅のおそれのある植物種の生息域内での保全(GSPC目標5および7で、愛知目標の目標11に関連)、さらに野生から採集した植物を素にした製品全てにおいて持続可能な調達を実践するための一層の努力(GSPC目標12で、愛知目標の目標4に関連)の必要性を呼びかけた。

 フェアワイルド基準(FairWild Standard)は『植物保全に関する報告書2014年版』の中で、持続可能な採集と公正な取引における具体的なベストプラクティス(優良事例)のガイダンスとして取り上げられた。また、EU中国環境ガバナンスプログラム(European Union-China Environmental Governance Programme)のもと、中国伝統医療(Traditional Chinese Medicine: TCM)業界でガイダンスとして実際に用いられた事例が併せて紹介されている。

 この事例の関連活動では、持続可能な採集と取引の優良事例である本基準を湖南省と浙江省のTCM製造業者・取引業者がそれぞれの事業の中で試験的に実践し、さらにはTCM業界における環境ガバナンスの改善について、広く部門をまたいだ議論の場の設立も達成されている。

 さらにトラフィックは、CBDで各国が策定と実施を求められている「生物多様性国家戦略及び行動計画(National Biodiversity Strategies and Action Plans:NBSAPs)」に関しては、各国がNBSAPの中に関連するGSPC目標を盛り込むこと、また国別報告書ではGSPC目標の達成に向けた進展状況の報告をおこなうことの重要性について強調した。

 『植物保全に関する報告書2014年版』によると、とりわけ植物の重要性についての認識不足と効果的な保全のための援助が十分に行き届いていないことが目標の進展を妨げているとしている。報告書の作成者たちは、国家および国際レベルで植物保全活動を活性化させるため、専門家の助言を最大限活用し、関係組織と更なる連携を深めるよう政府に呼びかけている。

 会議では議論の後、いくつかの勧告を受けて本報告書の結果がCBD締約国に承認された。これらの勧告の中には、「植物保全に向けたグローバル・パートナーシップ(Global Partnership for Plant Conservation: GPPC)」のメンバーと協力先団体に対して、植物保全における保全活動の能力開発支援の継続、技術的・科学的連携や共同研究の促進、さらに農業・健康・食料および環境関連の機関における部門間の連携の促進と支援を求めることなどが含まれた。

 会期中に議論された「生物多様性と人々の健康(Biodiversity and Human Health)」に関わる議題は、野生植物を採集してできる製品の持続可能な利用および野生植物の生息域内保全の両方でとりわけ重要視されるものである。

 トラフィックは薬用・アロマティック植物の持続可能な採集と公正な取引を支援する活動をおこなっている。これらの活動内容を解説するため、上述の中国のTCM業界との連携活動を含めた4つの事例をCBD会議場で紹介した。

 Case Study: FairWild Standard and online Why Go Wild toolkit (PDF, 400 KB)
 Case Study: Traditional Chinese medicine in China (PDF, 200 KB)
 Case Study: Community work in Viet Nam (PDF, 400 KB)
 Case Study: Developing Ayurvedic trade chain from India to Europe (PDF, 250 KB)


CBDでのトラッフィックの植物保全と持続可能な利用に関する情報提供は、EU中国環境ガバナンスプログラムの支援でおこなわれた。

この報告書作成は、EU(欧州連合)の資金援助を受けたものである。
調査・報告書の内容についてはトラフィックが全責任を負い、EUの立場に何ら影響を与えるものではない。

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