ホーム野生生物ニュース薬用動植物ニュース>薬用植物のプログラムが名誉ある賞を受賞

野生生物ニュース

薬用植物のプログラムが名誉ある賞を受賞

2011年11月10日
ソーシャルブックマーク はてなブックマーク yahooブックマーク livedoor del buzzurl
ツイート ツィート
Buzz GoogleBuzz
印刷 印刷
 
111000-2ChinaAward.jpg この五味子の実のような薬用植物の持続可能な利用に関する、WWF、トラフィック、IUCNのプロジェクトが権威ある賞を受賞した。© TRAFFIC East Asia

【2011年10月】
 中国長江上流域エコリージョンで、薬用植物の持続可能な利用を目指してWWF、トラフィック、IUCNが共同プロジェクトを実施している。このプロジェクトが中国環境保護省、EU-中国生物多様性プログラム(EU-China Biodiversity Programme (ECBP))、中国商務部、国連開発計画(UNDP)から「Outstanding Contribution Award(優れた貢献を表する賞)」を贈られた。

 WWF主導の本プロジェクト「長江上流域の生物多様性豊かな景観における伝統的な薬用植物の持続可能な管理」は、EUが資金的支援をおこなっているECBPの一環である。

 2007年に四川省、甘粛省、陜西省で始まった本プロジェクトでは、現地の薬用植物生産者へ、伝統的な中国の薬用植物を持続可能な形で野生から採取するために必要な技能を紹介、導入している。またこのプロジェクトでは、国際市場での取引につなげることも重視している。

 四川での実証プロジェクトでは、野生の薬用植物の持続可能な採集が、どのようにして製品の販売へとつながり、市場性を強化することができるかを実際に示した。野生からの採取については、WWF、IUCN、トラフィック、フェアワイルド・ファウンデーションやその他パートナーが協力して開発したフェアワイルド基準に綿密に照らし合わせて、おこなわれた。

 陜西省寧陝(ねいせん)県の秦嶺(ちんりん)長春醸造所は、2008年から持続可能な方法で採集されたナンゴミシSchisandra sphenantheraの実を購入し、果実酒を造っている。一方2009年には地域コミュニティの伝統中国医薬の共同組合が、持続可能な方法で調達したナンゴミシの実 500kg を米国を拠点とする企業に供給するという契約を結んだ。これは、国際取引のバイヤーに、持続可能な方法で調達された輸出できる品質の薬用植物を供給する協定を結んだ最初の事例となった。

 それ以来、持続可能な方法で調達された植物に対する需要は伸び続けており、2010年、2011年には数トン単位での注文があった。中国四川省の地域協同組合から製品を供給する5年の協定が結ばれた。

 「パンダに配慮した」薬用植物製品として、中国のジャイアントパンダの生息地保護を確保しながらの持続可能な形で採取された製品の市場性についても調べられた。これは、WWFドイツの支援によって2004年にトラフィックとWWFがおこなった取引に関する調査が発端となり始められたものである。

 「持続可能な植物利用のガイドラインを倫理的な市場と結びつけることは実際に可能である。それを、トラフィックがWWFおよびパートナーと共同でおこなった、中国の薬用植物供給の持続可能性を推進するためのプロジェクトが実証した。「Outstanding Contribution Award」が贈られたことで、その成功が示されたのです」とトラフィックの中国プログラムのリーダーである石建兵(ジャンビン・シ)は言う。

 購入者を薬用植物の持続可能な生産者とつなぐ、この中国プロジェクトの過去18ヵ月の取り組みから得られた経験は、トラフィックが新たにおこなっている、最終消費国である日本とインドの生産者グループをつなげる活動へと生かされることとなる。

2011年11月10日
ソーシャルブックマーク はてなブックマーク yahooブックマーク livedoor del buzzurl
ツイート ツィート
Buzz GoogleBuzz
印刷 印刷

関連ニュース

20170909_event_2.jpg

【セミナー開催報告】ペット取引される爬虫類
-上野動物園×WWF・トラフィクセミナー-

2017年09月25日

2017年9月9日、トラフィックは、上野動物園にて「ペット取引される爬虫類」についてのセミナーを開催しました。生息地の開発や、ペットにするための捕獲、密輸により、絶滅の危機に瀕しているカメやトカゲなどの爬虫類。これらの動物は、密輸される途中で保護されても、多くは生息地に帰ることができません。なぜでしょうか?こうした日本のペットショップで販売される爬虫類の取引の現状と問題について、専門家が解説。参加者の疑問に答えました。

©トラフィック

20170715c.jpg

香港で史上最大級7.2tの密輸象牙を押収

2017年07月18日

2017年7月4日、香港税関は葵涌(クワイチョン)でコンテナに隠された7.2tの密輸象牙を押収した。年に2万頭を超えるアフリカゾウが密猟されている中で起きた今回の摘発は、過去30年で最大級の規模と見られており、象牙の違法取引をめぐる国際的な組織犯罪の深刻さを物語っている。こうした一連の野生生物の違法取引に問題に対し、各国政府は今、強く連携した取り組みを進めようとしている。合法的な象牙の国内市場を持つ日本にも、この流れに参加する積極的な姿勢と取り組みが強く求められている。

©Keiko Tsunoda

170710_elephant.jpg

楽天がオンライン店舗での象牙製品販売を停止

2017年07月10日

楽天株式会社が楽天市場での象牙製品の販売行為を今後認めないことが明らかになった。現在、日本国内で合法的に販売されている象牙製品は、近年のアフリカゾウの密猟とは因果関係がないとされている。しかし、トラフィックの新たな調査でも、急成長を続けるeコマースを通じた象牙取引については、法律の整備が追いつかず、対応しきれない状況が続いていることが明らかになっており、トラフィックとWWFジャパンも厳しい措置を求めていた。日本のe-コマース企業の判断としては、大規模な今回の楽天の決定が、他企業にもより厳しい対応を迫るものとなることが期待される。

©Steve Morello / WWF

170622_elephant.jpg

日本国内での象牙取引で違法事例
古物商ら27人が書類送検 

2017年06月22日

2017年6月20日に象牙18本を違法取引した容疑で、都内の古物商と従業員、その顧客ら27人が書類送検されるという大規模な事件が報道された。世界では、ゾウの密猟と象牙の違法取引に歯止めをかけるため関係国が抜本的な対策に着手する中、日本国内の違法取引が意味するところとは何か。国内市場管理の問題点と、トラフィックとWWFジャパンが提言する国内違法象牙ゼロに向けた課題を紐解く。

@Martin Harvey / WWF

関連出版物

15_Hard_to_bear_Malaysia.jpg

Hard to Bear: An Assessment of Trade in Bear Bile and Gall Bladder in Malaysia

発行:TRAFFIC Southeast Asia【2015年6月】 著者:Lee, S.L., Burgess, E.A., Chng, S.C.L.【英語】50pp

14_Traditional_and_Wild-1.jpg

Traditional and Wild: Revitalizing traditions of sustainable wild plant harvesting in Central Europe

発行:TRAFFIC and WWF Hungary【2014年4月発行】 著者:Kristina Rodina, Anastasiya Timoshyna, Andreja Smolej,Darijan Krpan, Elena Zupanc,Éva Németh,Gabriela Ruzickova,Gergő Gáspár, József Szántai,Malgorzta Draganik, Péter Radácsi,Stanislav Novák, Szilárd Szegedi【英語】40pp