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希少動物の取扱いに、より厳重な登録制度を要望

2005年10月17日
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051017G_radiata.gifホウシャガメ©TRAFFIC East Asia-Japan
【トラフィックイーストアジアジャパン発  2005年10月17日】 

 最近、国内の街中や野山で、海外から持ち込まれた動物が相次いで発見されている。いずれもペットで飼育され、野外に逃げたものとみられ、人とペットの問 題について注目されている。密輸など不正な出所の動物の販売もそのひとつである。10月17日、ト ラフィックイーストアジアジャパンは、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)*の改正を環境省に要望した。現在 の種の保存法は、多発している野生動植物の国内不正取引を取り締まるには不十分であることを指摘し、法改正の必要性を訴えた。このたびの要望は、去る10 月12日に警視庁が摘発した爬虫類業者の違反内容から問題を提起したものである。

 10月12日、警視庁の生活環境課と世田谷署、中野署は、爬虫類業者ら3人を逮捕した。彼らは、ワシントン条約附属書Ⅰ掲載種のマダ ガスカルホシガメ(ホウシャガメ)(学名:Geochelone radiata )24頭を、国内で繁殖させた個体だと偽り、不正に登録を受けたものである。また、今回の被疑者のなかには、国内で取引が規制されているワニの一種マレー ガビアル(学名:Tomistoma schlegelii)を不正登録したとして 、今年8月17日に警視庁が逮捕した爬虫類の卸売業界の中心的な人物も含まれている。またこの人物は、1989年に野生動物を密輸し、関税法違反で逮捕さ れている。

 種の保存法は、ワシントン条約で国際的に取引が禁止されている種の国内取引を禁止している。ただし、繁殖個体は環境省の登録を受けて 販売が可能である。今回の事件は、この免除規定を巧みに利用して繁殖個体として登録を受けたものである。過去にもさまざまな違反事例があり、このままでは 種の保存法による国内規制は実効性を失いかねない。
そのため、トラフィックは以下の提案をおこなった。

●個体の登録について
  ・繁殖個体については、施設を登録することを義務付ける。
  ・登録時にはマイクロチップ等の個体識別ができるものを個体につける。
  ・環境省は生きた個体の登録について情報を公開する。

●生物の多様性を重視し、違法な野生生物取引を排除する社会づくりのひとつとして、罰則を厳しくする。

●輸入業者、販売業者は登録制にする。

●環境省は、登録機関に対して種の生息状況や繁殖技術についての知識向上を徹底するよう、指導する。

●「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」や「動物の愛護及び管理に関する法律」の執行状況や問題点などの情報交換をはかる。


*種の保存法は、国内外の絶滅のおそれのある野生動植物の保護を目的とした法律。ワシントン条約附属書Iの種を国際希少野生動植物種に 指定し、売買等を原則禁止している。

添付資料:マダガ スカルホウシャガメと日本のリクガメ輸入に関する資料(PDFファイル)

■ この件に関するお問い合せ先:
トラフィック イーストアジア ジャパン 石原明子(tel. 03-3769-1716)

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