
ホーム>野生生物ニュース>ワシントン条約・法律ニュース>【CITES-CoP16】会議情報:希少なカメ 日本の先例に
【タイ、バンコク発 2013年3月8日】
日本は、南西諸島にある3つの小さな島にしか生息しないリュウキュウヤマガメ Geoemyda japonica を保護するために、世界の政府に支援を求めている。
リュウキュウヤマガメが、中国本土、香港の市場、そしてオンライン上で販売が確認され、国際的な取引の可能性を示している、という調査結果を受けて、ワシントン条約の附属書Ⅱへの掲載を日本政府が提案した。この議題が話し合われる第16回ワシントン条約締約国会議(CITES-CoP16)は、現在タイのバンコクで開催されている。国内の種の附属書掲載提案は、日本にとってはじめてのことである。
生息地である日本では法律の下、リュウキュウヤマガメは「天然記念物」に指定され、文化庁長官の許可なしには、捕獲、移動、取引はできない。
しかし、日本以外の国でのペット取引の中で、この種が確認されたことで、違法な活動がおこなわれた可能性が示されることとなった。ワシントン条約締約国政府が、日本の掲載提案を支持することを選ぶなら、滞在的な違法国際取引に立ち向かって、リュウキュウヤマガメのより良い保護が進むことになる。
この日本からの提案は、アジアのペット取引において、日本で保護されている固有の爬虫類種を少数確認し、警笛を鳴らすこととなったトラフィックの市場調査につづいて作成された。
ほかにもヤエヤマセマルハコガメ Cuora flavomarginata evelynae 、キシノウエトカゲ Plestiodon kishinouyei 、クロイワトカゲモドキ Goniurosaurus kuroiwae の販売が確認された。すべて日本固有の爬虫類である。
カメ2種とクロイワトカゲモドキは、中国語のウエブサイト上でも販売が見られた。いくつかの個体は、日本の国内規制に直接違反する「野生捕獲」と示されていた。
報告書のダウンロードはこちらから:
『 Trade in Japanese Endemic Reptiles in China and Recommendations for Species Conservation (英語)』
報告書の主な提言は、日本政府に向け、ワシントン条約附属書へ爬虫類を掲載するための提案提出の利点を検討すること、とされていた。
「リュウキュウヤマガメを附属書に掲載する提案は、はじめの小さな一歩ですが、日本にとっては意義深い重要な一歩です」と、トラフィックイーストアジアジャパンのプログラムオフィサーであり、報告書の共著者である金成かほるは言う。
「この提案が、国際的に取引される野生生物種の保全に今後より一層重きをおくという、日本の意志を意味することを願っています」。
3月8日の、CoP16の第 I 委員会(Committee I)では、日本が提案しているリュウキュウヤマガメを含む15種のイシガメ科のカメ類に関する提案をはじめ、多くのカメ類の掲載が採択された。
最終的な結果は、CoP16最後の全体会議により議決される。
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