ホーム野生生物ニュース動物ニュース>マレーシアで大規模な象牙の押収

野生生物ニュース

マレーシアで大規模な象牙の押収

2012年12月10日
ソーシャルブックマーク はてなブックマーク yahooブックマーク livedoor del buzzurl
ツイート ツィート
Buzz GoogleBuzz
印刷 印刷
 




大規模な押収をおこなったマレーシア税関は、象牙の出所はトーゴだと語った © Elizabeth John / TRAFFIC

【マレーシア、クアラルンプール発 2012年12月10日】

 王立マレーシア税関は、国を経由するかつてない規模の象牙を押収した。見つかった1500本の象牙は、製材用木材の山をよそおった特設の木箱に隠されていた。

 2つの貨物に分けられた木箱合計10個に隠した象牙は、トーゴのロメ港から出港して中国に向かっていた、とセランゴール州(マレーシア)の税関主任(Custom Director) Azis Yacub氏が記者発表で語った。

 この積荷は、マレー半島最大のコンテナターミナルのひとつであるクラン港の西側の港に向かう前にスペインのアルへシラスも通過していた。

 運搬のために「カシューの木製床材」と表示された、この2つの貨物は、12月7日に取り押さえられ、9日の夜に調査された。木箱の上部を開けた後、税関職員が、およそ深さ1m程の隠しスペースの中に入った象牙を発見した。

 港を拠点とするマレーシアの企業が、調査を受けている。もし起訴されるとすると、企業に対して500,000マレーシア・リンギット(およそ1,300万円)の罰金、または個人に対して最大5年の懲役、もしくは両方が科せられる。

 トーゴは、アフリカから出る象牙の主要な供給源として知られている。ETIS(トラフィックが、ワシントン条約締約国に代わって管理しているゾウ取引情報システム)にトーゴの押収記録がひとつもないにもかかわらず、報告される押収事件に頻繁に関与している。

 今回のアフリカゾウの象牙の押収は、クラン港で4度目、国内では2011年7月以来6度目である。2011年9月、2t近くの重さのある695本の象牙が、クラン港で押収された。今年の1月と昨年の12月の押収で1.4tもの象牙が差し押さえられた。1月に押収された492kgの委託貨物も、クラン港だった。押収は、ペナンやジョホールといった他の港でも起きている。暫定的に税関局は、今回の押収量を20tという膨大な数字を見積もった。

 違法な象牙の積荷の中継地点となっているマレーシアに対する懸念について、今年の7月、ワシントン条約関連会議で取り沙汰された。マレーシアは、この問題に対処するために取り組んでいる対策について報告するように求められた。

 Azis氏は、これ以上このような積荷が増えないための手掛かりとなる情報を、政府に提供するように、人々に呼びかけた。彼は、提供した情報が有効な場合、その出所の秘密は守られ、報酬が支払われることを保証した。

 「トラフィックは、その警戒心について税関局を称賛し、中継地点としてマレーシアを利用している象牙犯罪の発見に繋がる、すべての手がかりを追求することを期待する」と、トラフィックサウスイーストアジアの代表であるウィリアム・シャイードラは言う。

 「さらに、わたしたちは、押収された象牙を適切に分類し貯蔵するための適切な管理システムを強化するように当局に奨励している」と、シャイードラは加えた。

 トラフィックは、積荷の背後にあるものが解明され、審議にかけられるよう、今回のような事例を徹底的に調査するために、押収に関与したすべての国に働きかけをしている。

【追記】
トラフィックが王立マレーシア税関に確認をしたところ、クラン港で押収された象牙の最終的な総量は、2,341本-6,034.3kgであった。これは、過去最大の押収といえるが、2002年にシンガポールで押収された7.2tという記録が最大である。

2012年12月10日
ソーシャルブックマーク はてなブックマーク yahooブックマーク livedoor del buzzurl
ツイート ツィート
Buzz GoogleBuzz
印刷 印刷

関連ニュース

20170909_event_2.jpg

【セミナー開催報告】ペット取引される爬虫類
-上野動物園×WWF・トラフィクセミナー-

2017年09月25日

2017年9月9日、トラフィックは、上野動物園にて「ペット取引される爬虫類」についてのセミナーを開催しました。生息地の開発や、ペットにするための捕獲、密輸により、絶滅の危機に瀕しているカメやトカゲなどの爬虫類。これらの動物は、密輸される途中で保護されても、多くは生息地に帰ることができません。なぜでしょうか?こうした日本のペットショップで販売される爬虫類の取引の現状と問題について、専門家が解説。参加者の疑問に答えました。

©トラフィック

170830ivory.jpg

国内での象牙取引で違法事例再び
古物商ら12人が書類送検されるも不起訴に

2017年08月30日

2017年8月25日に象牙9本を違法に取引した容疑で、東京都内の古物商と従業員、その顧客ら12人が書類送検されるという事件が報道された。これは、6月20日に同じく18本の象牙を違法に取引した業者が書類送検された事件に続き、2017年で2件目の摘発となる。さらに29日には、不起訴処分となったことが明らかになった。世界では、ゾウの密猟と象牙の違法取引に歯止めをかけるため関係国が抜本的な対策に着手する中、日本国内で相次ぐ違法な象牙の取引。国内市場管理の問題点があらためて浮き彫りになっている。

©Martin Harvey / WWF

170909event.jpg

【セミナー開催のご案内】上野動物園×WWF・トラフィックセミナー
-ペット取引される爬虫類-

2017年08月23日

2017年9月9日、トラフィックは、上野動物園にて「ペット取引される爬虫類」についてのセミナーを開催します。動物園で飼育されている爬虫類の生態やペット人気の陰で絶滅の危機に瀕している種を守るための取り組みと、日本のペットショップで販売されている爬虫類の取引を巡る課題などを専門家が分かりやくお話しします。

© Michel Terrettaz / WWF

170808elephant.jpg

日本におけるインターネットでの象牙取引、最新報告書発表

2017年08月08日

2017年8月8日、トラフィックは、日本の主要eコマースサイトでの象牙取引を調査した報告書を発表した。調査の結果、オンライン店舗のほか、ネットオークションや個人向けフリマサイトでも活発な取引が行なわれる中、現状の規制に大きな課題があることが明らかになった。今回の調査で、これまで不明瞭だった、特にインターネットを通じた象牙取引の一端が明らかになったことから、日本政府にはあらためて、違法取引を許さない包括的な規制措置を求めていく。

©Martin Harvey / WWF

関連出版物

17_Online_Ivory_Trade_in_Japan_JP.jpg

日本におけるインターネットでの象牙取引 アップデート

発効:トラフィック【2017年8月】 著者:北出智美【日本語】Briefing Paper

17_Briefing_CHI-World_Rhino_Day.jpg

Chi Initiative BRIEFING PAPER World Rhino Day 2017

発行:Chi Initiative【2017年9月】 著者:TRAFFIC【英語】24pp