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爬虫類 フィリピンへ返還

2012年08月01日
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香港で押収された後に、フィリピンに返還された100頭以上の爬虫類の中に、アミメニシキヘビ Python reticulatus
がいた ©Kadoorie Farm and Botanic Garden

【マレーシア、クアラルンプール発 2012年8月1日】

 2回目の摘発である、この密輸をおこなった違反者が6週間の実刑判決を執行されている一方、香港で差し押さえられた100頭をこえる絶滅のおそれのある爬虫類が本日、生息国であるフィリピンへ向けて飛び立った。

 爬虫類は6月に、22歳の男性のカバンから発見された。中には、フィリピンヤマガメ Siebenrockiella leytensis 43頭、マレーハコガメ Cuora amboinensis 46頭、ミンダナオ・ミズオオトカゲ(Mindanao Water Monitor Lizards)19頭、アミメニシキヘビ Python reticulatus1頭が含まれていた。

 フィリピンヤマガメは、IUCNのレッドリストで近絶滅種(CR)に分類されている。

 違反者の男性は、6月14日に香港の国際空港の到着ロビーで取り押さえられ、漁農自然護理署(AFCD:Agriculture, Fisheries and Conservation Department)によって「絶滅のおそれのある動植物の保護条例(Protection of Endangered Species of Animals and Plants Ordinance)」の下、起訴された。

 法の下、男性は最大500万香港ドル(およそ5,040万円)の罰金と懲役2年の刑罰を受けることになる。

 漁農自然護理署の絶滅危惧種保護官(Endangered Species Protection Officer)Alfred Wong氏は、同じ男性が今年の2月に似たような違法行為で起訴されていた、とトラフィックに語った。

 前回男性は、フィリピンヤマガメ20頭を含む60頭の爬虫類と共にフィリピンからやって来て拘束され、8,000香港ドル(およそ83,000円)の罰金を科せられた。

 「当局がこの密輸者の逮捕を喜ばしく思っている一方、与えられた刑罰が、より意義のある抑止力となるような厳しいものではなかったことは嘆かわしいことである」と、トラフィックサウスイーストアジアの事務局長代行クリス・シェファードは言う。

 「このような犯罪者は、多くの場合において、取り返しのつかない罪を犯している。フィリピンヤマガメのような種は、野生では絶滅に近い状態であり、だからこそ密猟や密輸、違法な売買が終わることを保障するために、あらゆる努力が成される必要がある」。

 嘉道理農場曁植物園(KFBG:Kadoorie Farm and Botanic Garden)は、両方の事件において、爬虫類たちを一時的に保管し、ケアをして、漁農自然護理署(AFCD)を支援した。

 保護したすべての動物は、ワシントン条約の附属書IIに掲載されている。フィリピンヤマガメとミンダナオ・ミズオオトカゲ(Mindanao Water Monitor Lizards)は、フィリピンのみに生息する固有種である。

 香港を発った後、ほとんどの爬虫類は、野生復帰させる前にフィリピン環境自然資源省(Department of Environment and Natural Resources of the Philippines)の野生生物保護区局(Protected Areas and Wildlife Bureau)のレスキューセンターに預けられるだろう。パラワン州の固有種である、生き残った39頭のフィリピンヤマガメは、検疫のためカタラ財団へ引き継ぎをする、プエルト・プリンセサ市の持続可能な開発パラワン委員会スタッフ(Palawan Council for Sustainable Development Staff)に引き渡されるだろう。 返還にかかる費用は、フィリピン政府が負担する。

2012年08月01日
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