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ニシキヘビ、ロリス、サルがバンコク空港で押収される

2012年07月11日
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ロリス12頭、ニシキヘビ11頭とマーモセット1頭が入っていた
スーツケースを当局が公開 ©TRAFFIC

【タイ、バンコク発 2012年7月11日】

 ロリス類は、野生生物の密売業者のかっこうの標的になっているようだ。11日に12頭がスワンナプーム国際空港で旅行者のスーツケースから見つかったほか、東南アジア地域周辺の市場で、押収が、急増している。

 タイ最大で最も多忙なバンコク空港の当局は、クウェート行きの旅行者のスーツケースの中で布袋に詰め込まれたロリス類を見つけた。彼女のカバンには、ニシキヘビ類11頭とマーモセット1頭も入っていた。

 空港の荷物検査カウンターのオフィサーが、女性のカバンのX線画像が奇妙であることを発見し、開封要求をした際に、その動物たちを見つけた。

 かわいらしい垂れ気味の大きな目を持つスローロリスは、ペットとして東南アジアだけではなく、世界的に需要が高い。その取引は、2007年に定められた国際商業取引禁止にもかかわらず、継続されている。→2012年4月

 地元の日刊誌は、ビーチサイドリゾートの町パトン(プーケット島)のタイ警察が、2人の男を逮捕し、ロリス類3頭を差し押さえた、と報告した。彼らは、観光客にロリスとの記念写真を勧めていた。

 ロリス類が生息する国々の強い法的保護や、ワシントン条約上の保護にもかかわらず、執行力の弱さと法律を恐れない人々のせいで、多くの市場やインターネット上のペット販売サイトで、公然と売られている。

 タイは、スローロリスの違法取引が懸念事項である東南アジアの中で唯一の国ではない。先月、トラフィックの調査官はインドネシアのジャカルタの2カ所の市場で、絶滅のおそれのあるジャワスローロリス Nycticebus javanicus 3頭を含む55頭のスローロリス類の販売を目撃した。13頭がバリトー(Barito)市場で、ジャティネガラ(Jati Negara)市場では42頭以上が目撃された。

 タイでは、2011年10月から今年の7月までに、当局が野生生物の密売業者から12,332頭の野生動物を救済し、犯罪行為に結びついた野生生物取引に関わった13人を逮捕したと、国立公園・野生動植物保全局(National Parks, Wildlife and Plant Conservation Department)の事務局長代理 Theerapat Prayulsit氏は見積る。

 Theerapat Prayulsit氏は記者会見で、ロリス類が発見されたように、救済した動物のリストには、トラ、センザンコウ類、マーモセット類、ヘビ類、カメ類、クマ類、鳥類、霊長類が含まれると語った。

 国外へロリス類を密輸しようとして拘束された女性は、王立タイ警察の自然資源・環境犯罪抑制部局(Natural Resources and Environmental Crime Suppression Division)による尋問を受けるために拘留された。

 「トラフィックは、この押収におけるタイ当局を称える。更に、警戒を忘れないことも要請する。より広いレベルで、とどまるところを知らないスローロリスの需要を抑えるために、東南アジアのいたるところで更に遂行しなければならない」と、トラフィックサウスイーストアジアの地域事務局長のウィリアム・シャイードラは言う。

 「効果的な執行と起訴が、このような種の保護に対して極めて重要である。大多数が公然と販売されている事実は、当局の役割として責任不足を表している」。

 「よりよい調整と市場の閉鎖をおこなわなければ、ロリス類は違法な野生生物取引によって存続を脅かされているその他の多くの種と同じ道をたどることになるだろう」。

2012年07月11日
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