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日本固有種のワシントン条約掲載提案 初の取り組み

2012年10月05日
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121005pressre_lease.jpg 動物園に保護されたリュウキュウヤマガメ
ⓒトラフィックイーストアジアジャパン

  日本の南西諸島には、世界でもそこにしか生息しない様々な固有の生き物が生息している。野生動植物の取引のモニタリングや調査をおこなうトラフィックは、2011年12月から2012年3月にかけて中国における南西諸島に固有の爬虫類5種の市場調査をおこなった。その結果、香港の市場などで、調査対象とした5種のうち4種の販売を確認したほか、中国語のオンライン販売でも3種の取引がみられた。中には、日本産、野生から捕獲された個体などとうたっているものも見られた。本調査で中国での販売が確認された種のうちの一つが、リュウキュウヤマガメ Geoemyda japonica であった。 

 販売が確認された種は、天然記念物として捕獲や移動が禁止され、日本国内では手厚く保護されている種である。にもかかわらず、こうして日本固有種が海外で販売されている現状を鑑み、トラフィックは調査結果をまとめ、ワシントン条約への掲載の検討を含めて日本の固有種の保全や取引の管理を強化するよう、提言をまとめた。

 

報告書:『 Trade in Japanese Endemic Reptiles in China and Recommendations for Species Conservation (英語)』

 

 環境省は上記の調査結果を受けて、2013年3月におこなわれる第16回ワシントン条約締約国会議(CITES COP16)でリュウキュウヤマガメをあらたに附属書に掲載することを検討課題とする提案書を提出した。この提案は、日本が1980年にワシントン条約の締約国になって以来、初めて日本が提出するアップリスト提案*となる。この会議で検討の議題に挙げられ、3分の2の賛成があれば附属書掲載が決定する。

 ワシントン条約へのアップリスト提案は、日本が生物多様性保全に向けて一歩前向きに動き出したということを表している。3種類ある附属書のどれに掲載するともっとも効果的か、掲載のための基準を満たすかどうか、などについてはさらなる分析が必要であるが、トラフィックイーストアジアジャパンは、この積極的な動きを歓迎する。

 *今まで掲載されていなかった種の附属書への新規掲載や、附属書IIIからII、IIからIなど、より監視や規制が強化される方向への附属書掲載提案のこと。
 

 

 

2012年10月05日
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