
ハーブ、漢方薬、お香、アロマ、スパイス、健康食品、植物成分の入った化粧品など、私たちの身の周りは植物から作られたものであふれています。
そのなかには、野生から採集された植物が含まれていることもあります。皆さん、お気づきでしょうか。
フェアワイルドは、私たちが野生の植物を持続可能な形で利用するための仕組みです。採集や取引、利用の際に守るべき「基準」と、その基準を満たした原料・製品のための「認証制度」を提供しています。
フェアワイルド・ファウンデーションはフェアワイルドのコンセプトを実施するために2008年に設立されました。3つの考え方「生態学的(植物の保全)」、「社会的(フェアトレードと労働条件)」、「経済的(持続可能なビジネス)」を融合したコンセプトに基づいて運営されています。
フェアワイルドは、野生から採集される植物の持続可能な利用と、将来にわたる植物種の存続を確保すると同時に、地域の伝統や文化を尊重し、現地の採集者などかかわるすべての人々の暮らしを公正にサポートすることを目指しています。
■ 原産地と消費地を結ぶフェアワイルドのしくみ
自然の生育地域から採集される植物、菌類(キノコなど)や地衣類、またはそれらからできる製品。
右記のものは含まない
フェアワイルドは、野生の植物の採集やその製品の購買などの過程において満たすべき基準を以下の11の原則に従って設けています。
インドのカルナータカでは、フェアワイルドの前身である採集基準のISSC-MAPの導入により、インドの伝統的な薬や香料に使われるアイランサス・トライファイザ Ailanthus triphysa の木の皮を剥いだり木を切り倒したりすることなく、植物にとってダメージの少ない工夫された手法で樹液を採集することが、プロジェクト地域で普及しました。
©Arpana Bassapa/TRAFFIC:樹皮に切込みを入れる新しい方法での樹液採集
動画
インドのカルナ-タカでの
薬用植物の持続可能な採集(英語)
カザフスタンの北部など周辺3ヶ国を含むカザフステップエコリージョンでは、この地域の重要な野生資源であるカンゾウ Glycyrrhiza glabra の生産にフェアワイルド基準が活用されました。カザフスタンでは認証も取得し、ロゴマークのついた製品が市場に流通しています。
Beri-Jan Ottens/Klaus Duerbeck:カンゾウの品質について議論している(写真はアフガニスタン)
中国では、長江上流地域の持続可能な生活を進める活動のひとつとして、ナンゴミシ Schisandra sphenanthera などの薬用植物を採集する地元の人々へのトレーニングが実施されました。トレーニングを受けた採集者による持続可能な採集が開始され、またこのプロジェクトによって、持続可能な取引関係が米国のバイヤーと結ばれています。
©WWF China:トレーニング実施に向け、生産者の組合を組織する採集者たち
【野生生物ニュース】長江上流域に人々の暮らしと野生の薬用植物をたずねて
ブラジルでは、アマゾナス州の女性の協同組合と天然化粧品の企業が、日焼け止めに使われるミリチーヤシ Mauritia flexuosa やエッセンシャルオイルに使われるアニバ・カネリラ Aniba canelilla などいくつかの種について、持続可能に採集された製品のマーケティングで協力し合うことになりました。このプロジェクトの中でフェアワイルド基準を試験的に導入しました。
AVIVE:採集された果実を丁寧に仕分けする
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薬用動植物に関する資料
2011年9月発行(在庫あり)
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