ホーム野生生物ニュース動物ニュース>野生生物の違法なオンライン取引対策 テクノロジー業界が参入

野生生物ニュース

野生生物の違法なオンライン取引対策 テクノロジー業界が参入

2016年09月21日
ソーシャルブックマーク はてなブックマーク yahooブックマーク livedoor del buzzurl
ツイート ツィート
Buzz GoogleBuzz
印刷 印刷

オンライン企業は、世界ゾウの日に野生生物が対象となるサイバー犯罪に対抗するため、一体となって野生生物の違法取引と闘うための方策を採択した

【米国、ワシントンD.C発 2016年8月12日】

「世界ゾウの日(8月12日)」、電子商取引とソーシャルメディアの主導的位置を占めている企業が、世界各国で横行している野生生物の違法取引を阻止するため、重要な手段を講じることとなった。

8月12日、eBay、Etsy、Gumtree、 Microsoft、 Pinterest、 Tencent、 Yahoo!Inc. の7社はWWF、トラフィックおよび、IFAW(国際動物福祉基金)と共同で、標準化された野生生物方針の枠組みを採択した。

この包括的な方針は、消費者のためのショッピングガイドラインを簡潔化することで、取引が禁止されている製品を明確にし、犯罪者によるネット上での野生生物の違法取引を容易にするような抜け穴をなくすものである。テクノロジー業界による協力は、犯罪者がサイトを転々とすることで違法行為の発覚を免れるこれまでの"モグラ叩き"のような状況を最小化することに繋がる。これらの企業は、野生生物を保護するため協力していくこととなった。

象牙目的により3年間で約10万頭のゾウが捕殺され、南アフリカ共和国でのサイの密猟は2007~2014年にかけて9300%も増加した。トラの個体数は前世紀の間に97%も減少し、現在では野生のトラは3,900頭しか残っていない。また、センザンコウはここ10年間で100万頭以上が密猟されている。

 WWFのSenior Vice President、Ginette Hemleyは「野生生物犯罪のような困難な課題に対処するためには、各自が役割を果たさなければならない。これらの企業が保全活動へ加わったことによる影響力とその範囲は画期的であり、ネット上での取引から絶滅のおそれのある種を守る一助となるだろう。問題が一夜にして解決されることはないが、野生生物の違法取引業者によるツールとしてのインターネット利用を、一掃するための大きな一歩である」と述べた。

 「ひとつのオンライン企業が方針を厳格化して抜け穴への対処を試みても、違法取引業者はモグラ叩きのように、他のサイトに移行することで妨げられずに取引を続けてきた」と、トラフィックの野生生物犯罪に関するシニアダイレクターであるクロフォード・アラン(Crawford Allan)は述べた。「主要な世界的企業がひとつになって、共有された方針とアプローチを採択することにより、野生生物の犯罪者にとっての潜在的な市場へのアクセスを縮小するだけでなく、消費者が知らぬ間に密猟の原動力となってしまうことを止めてくれるであろう」。

 「痛ましいことに、節操のない犯罪者はインターネットという力を借りて、動物の絶滅や苦難から利益を得ようとしている」と、IFAW(国際動物福祉基金)のCampaigns Manager、Peter LaFontaineは述べた。「主要なオンライン小売市場とソーシャルメディア各社が、野生生物のサイバー犯罪に対抗して自社のサイトから絶滅のおそれのある野生生物の販売を根絶しようとすることはとても心強い」。

2016年09月21日
ソーシャルブックマーク はてなブックマーク yahooブックマーク livedoor del buzzurl
ツイート ツィート
Buzz GoogleBuzz
印刷 印刷

関連ニュース

20170909_event_2.jpg

【セミナー開催報告】ペット取引される爬虫類
-上野動物園×WWF・トラフィクセミナー-

2017年09月25日

2017年9月9日、トラフィックは、上野動物園にて「ペット取引される爬虫類」についてのセミナーを開催しました。生息地の開発や、ペットにするための捕獲、密輸により、絶滅の危機に瀕しているカメやトカゲなどの爬虫類。これらの動物は、密輸される途中で保護されても、多くは生息地に帰ることができません。なぜでしょうか?こうした日本のペットショップで販売される爬虫類の取引の現状と問題について、専門家が解説。参加者の疑問に答えました。

©トラフィック

170830ivory.jpg

国内での象牙取引で違法事例再び
古物商ら12人が書類送検されるも不起訴に

2017年08月30日

2017年8月25日に象牙9本を違法に取引した容疑で、東京都内の古物商と従業員、その顧客ら12人が書類送検されるという事件が報道された。これは、6月20日に同じく18本の象牙を違法に取引した業者が書類送検された事件に続き、2017年で2件目の摘発となる。さらに29日には、不起訴処分となったことが明らかになった。世界では、ゾウの密猟と象牙の違法取引に歯止めをかけるため関係国が抜本的な対策に着手する中、日本国内で相次ぐ違法な象牙の取引。国内市場管理の問題点があらためて浮き彫りになっている。

©Martin Harvey / WWF

170909event.jpg

【セミナー開催のご案内】上野動物園×WWF・トラフィックセミナー
-ペット取引される爬虫類-

2017年08月23日

2017年9月9日、トラフィックは、上野動物園にて「ペット取引される爬虫類」についてのセミナーを開催します。動物園で飼育されている爬虫類の生態やペット人気の陰で絶滅の危機に瀕している種を守るための取り組みと、日本のペットショップで販売されている爬虫類の取引を巡る課題などを専門家が分かりやくお話しします。

© Michel Terrettaz / WWF

170808elephant.jpg

日本におけるインターネットでの象牙取引、最新報告書発表

2017年08月08日

2017年8月8日、トラフィックは、日本の主要eコマースサイトでの象牙取引を調査した報告書を発表した。調査の結果、オンライン店舗のほか、ネットオークションや個人向けフリマサイトでも活発な取引が行なわれる中、現状の規制に大きな課題があることが明らかになった。今回の調査で、これまで不明瞭だった、特にインターネットを通じた象牙取引の一端が明らかになったことから、日本政府にはあらためて、違法取引を許さない包括的な規制措置を求めていく。

©Martin Harvey / WWF

関連出版物

17_Online_Ivory_Trade_in_Japan_JP.jpg

日本におけるインターネットでの象牙取引 アップデート

発効:トラフィック【2017年8月】 著者:北出智美【日本語】Briefing Paper

17_Briefing_CHI-World_Rhino_Day.jpg

Chi Initiative BRIEFING PAPER World Rhino Day 2017

発行:Chi Initiative【2017年9月】 著者:TRAFFIC【英語】24pp

pagetop