
ホーム>野生生物ニュース>違法事例・法執行ニュース>タイ:チェックインの手荷物から生きた子トラ
【タイ、バンコク発 2010年8月26日】 8月1日、バンコクのスワンナプーム国際空港で女性のカバンから、生後2ヵ月の子トラが鎮静させた状態でぬいぐるみの間に隠されていたのが発見された。
この31歳のタイ人は、イラン行きのマーハーン航空機に乗るところだったがチェックインの際に彼女の荷物が規定サイズをオーバーしていた。
エアポート・オブ・タイランド(AOT)のスタッフがバッグをスキャンし、X線で本物のネコに似た物が映り、おかしいと疑いを持ったのだ。
そして畜産局(Livestock Development Department)と国立公園・野生生物・植物保全局(the National Parks, Wildlife and Plant Conservation Department)の職員が呼ばれ、中を調べるためにバッグを開けたところ朦朧とした状態の子トラがみつかった。
この子トラが、野生で捕まえられたものあるいは飼育繁殖されたものか、どこから来たもので、容疑者は最終的にどこに持って行くつもりだったのかなどを確認するため、捜査がおこなわれている。
この子トラは、国立公園・野生生物・植物保全局の保護センターで保護されている。子トラがどの亜種であるか調べるために、DNAのサンプルがラーチャブリー県にある Khaopratab 野生生物救護センターのトラ施設に送られる。これを調べることでどこからのものか確定する手助けとなる。
タイやアジア全域のトラの個体群は、トラの部分、製品や今回のケースのような生体としての国際的な需要に応えるための密猟や取引によって非常に脅かされている。
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トラは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは絶滅危惧種(EN)に分類、またワシントン条約の附属書Iに掲載され、国際的な商業取引が禁止されている。飼育下のトラも野生で捕獲されたトラも同様の規制の対象となる。
米国際開発庁によって支援されているASEAN野生生物法執行ネットワーク(ASEAN-WEN)は、最近バンコクのスワンナブーム国際空港で野生生物の規制に関する訓練コースを開いた。
今回の事件に関わった多くの担当者がこのコースに出席し、タイの独自の野生生物法執行ネットワークの下、緊密に協力し活動している。 「この無神経な密輸の企てを明らかにするために団結したすべての担当者を称えたい」とトラフィックサウスイーストアジアの事務局長代理のクリス・R.・シェファードは言う。
「トラフィックはこうした訓練プログラムが、空港、特に国立公園・野生生物・植物保全局による、押収、逮捕、継続警戒という形で成果を出していることを非常に嬉しく思う。」
しかしシェファードはまた、持続的な監視やさらに厳しい罰則が本当に必要であることをこの事件は示しているとも警告する。
「もし人々が、チェックインの際に生きたトラをバッグに入れて密輸しようとするのであれば、彼らは野生生物の密輸は簡単に逃げられるものだと考えているのは明らかで、処分を恐れていないのだろう。これを変えることができる唯一の方法は、野生生物の密輸をする人々に対する継続的なプレッシャーと厳しい罰則だけである。」
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