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中国、インド、ネパールが協力して野生動植物の違法な越境取引に取り組む

2006年07月13日
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060627Tigercoverimage.jpg ©Chris R. Shepherd/TRAFFIC South East Asia

【2006年6月27日 中国、北京発】
野生動植物の個体や製品の違法取引は、その規模や収益は莫大であると考えられる。これら違法取引に対する法的抑止力や一致しての取り組みがあるにもかかわらず、これら違法取引は広くおこなわれ続けている。懸念が高まるアジアの国境での野生動植物の違法取引に取り組むため、トラフィック、WWF-UKそして英国外務省は中国、インドそしてネパールの主な政府代表者を結集させた。これは、彼らが共に協力し、中国国境地域という主要な野生生物取引のホットスポットで起こる違法取引に対抗すべく協力体制を強化する方法を模索するためである。

中国、インド、そしてネパールはすべてワシントン条約の締約国であり、かつ野生動植物取引問題に取り組むための法的な制度をもっている。しかし、それらの違法取引はさらに組織化されていて、野生生物やその製品に対する需要は高まっており、密輸者は積荷を輸送するためのより高度なシステムを持っている。増加する国際的な需要により引き起こされるこの憂慮すべき傾向に対抗するため、いますぐ3ヵ国すべてが、運送会社のような民間の関係者との協力と同様に、国境での執行や、地域レベルでの支援、政策分析などの取り組みを強化していく必要がある。

6月22日のワークショップで、インド、ネパールそして中国の代表者らが、それぞれの国での野生生物取引に関係する問題についての概要を説明した。さらに、トラフィックやコンサベーション・インターナショナル(CI)、IFAW(International Fund for Animal Welfare)そしてWCS(Wildlife Conservation Society)を含む中国で活動しているNGOは、中国での彼らの野生生物取引プログラムについて話し合った。トラフィックは、執行能力の強化や国境での協力体制に焦点をあて、その地域でのアジア産大型ネコ種イニシアチブを紹介した。アジア産大型ネコ種やそれらの部分の取引の継続、特にトラやトラの部分の取引が、漢方薬や皮の取引市場に流れ込んでいる特別な問題として注目された。そのほか、この地域で問題とされた種には、サイ、ゾウ、そしてチベットアンテロープがあった。

「違法取引を抑えるためにやらなければならない仕事はたくさんある。国境を越えた協力体制の強化、法執行努力の改善、そして伝達や情報共有のための活動的なネットワークの設立などがある」とトラフィックイーストアジア地域事務局長のクレッグ・カークパトリック博士はいう。

「しかし、多国間のフォーラムで野生生物取引に対する多様な見解が公開され、共有されることは、正しい方向へ進むための極めて前向きな歩みである。そして主要3ヵ国による政治的意思、協力的なやり方そして主要3ヵ国が共有する政治的な意思や共同アプローチを実証するものでもある。中国、インド、そしてネパールは今、アジアのこの主要な野生生物取引ホットスポットを通過し続ける違法取引に対し高まる懸念に、至急かつ効果的に取り組んでいかなくてはならない。」

2006年07月13日
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