
ホーム>野生生物ニュース>違法事例・法執行ニュース>米国 新たな象牙取引規制を発表
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【米国、ワシントンDC発 2016年6月3日】
象牙の国内取引における新たな規制が、米国魚類野生生物局(USFWS)により確定された。規制は、国内の象牙取引において「ほぼ全面禁止」を実施するために、象牙の商業取引の特定の分野への禁止事項を追加する。
厳格な基準を満たした楽器などいくつかの限定的な例外があるが、全ての商業目的の輸出、州間の販売は、100年以上前の骨董品であると証明されたものに限って許可されることとなる。また、販売については州内であっても、1990年に施行されたワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保全に関する条約:CITES)の象牙取引禁止措置以前のものと、売り手が証明できるものに限って許可される。すでに象牙の商業目的の輸入と未加工象牙の取引を禁止する規制については施行されている。
ワシントン条約は、象牙の輸出入を統制する厳格な法を持つことになっている180カ国以上の国家間の合意である。
本対策は、直接的な違法輸入の証拠なしに法執行が難しいため、象牙製品の国内販売において法的強制力がないと見なされていた現在の米国国内法を強化することを目指している。
こうした最近の動向は、ゾウやその他の象徴的な動物の継続的な密猟を防止し、国際的な野生生物犯罪に対処するための、米国政府の決意の表れである。
象牙の世界的な闇市場を潤すために毎年3万頭ものアフリカゾウが、アフリカ全土で捕殺されている。
「これらの強固な新しい法を導入することによって、米国政府は野生生物犯罪に対処するために国際的な取り組みの最前線に立ち、ゾウの保護を支援することへの確固たるリーダーシップや誓約、そして決意を明確に示している」と、トラフィックの野生生物犯罪シニアダイレクターで、米国野生生物違法取引諮問委員会(US Advisory Council on Wildlife Trafficking)のメンバーであるクロフォード・アラン(Crawford Allan)は述べた。
新しい規則は、北京での持続可能な経済における米中対話の直前に発表された。2015年米中は、両国の国内市場における「ほぼ全面禁止」に同意し、象牙取引に対処する上で緊密に協力することに合意した。
※最終的な規則は象牙のほとんどの商取引を禁止しているが、楽器、家具の一部、銃器など、既に製造されたもので象牙の使用量は200g未満であり、他の厳格な基準を満たすものについて限定した個別の例外を設けている。他にも米国の絶滅危惧種保護法(ESA)で定義される骨董品も、法令の禁止を免除される。この規則は、アフリカゾウの象牙に限定されており、セイウチやクジラ、マンモスのような他の種由来の牙を規制するものではない。
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