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中国:センザンコウの巨大規模の押収事件

2010年07月27日
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100713_pangolin_EW_TRAFFIC.jpg 以前の大きなセンザンコウの密輸事件のように、
うろこをはがされたセンザンコウは輸送前に
冷凍されていた。© EW / TRAFFIC

【2010年7月13日 中国、北京】

 中国、広東省の税関職員が、珠海の高欄島にて、ある漁船を止めて船内を捜索したところ7.8 t の冷凍されたセンザンコウと1,800 kg のうろこを発見した。

 アジアのセンザンコウの国際取引はワシントン条約のもと禁止されている。アジアのセンザンコウ4種のうち2種がIUCNのレッドリストでEN(絶滅危惧種)に分類されている。

 6月5日の深夜に、広東省江門の税関のパトロールボートが川島海域を巡回中、疑わしい漁船を発見し、翌朝未明にその船に乗船し、それぞれ1~10kgの重さの冷凍センザンコウが2,090体と、センザンコウのうろこ92ケースを発見した。

 中国国籍の5人とマレーシア国籍のひとりの乗組員が逮捕され、彼らは珠海の香洲港から東南アジアまで違法な貨物を受け取るために船を航海するのに雇われたと主張している。

 マレーシア人の乗組員は、密輸品を受け取るために海上での落ち合い場所について衛星電話で指示を受けたと話している。密輸者は高栏島沖で別の船に貨物を積み替える前に差し押さえられた。

 「衛星電話や海上での貨物の積み替えは、野生生物犯罪に関与する組織犯罪集団が使う巧妙な手口を示している」とトラフィックのアジア太平洋地域のコーディネーター、ジェームス・コンプトンは言う。

 中国当局はこの押収に関して、その地域で活動している法執行機関、インターポール、世界税関機構(WCO)、ASEAN野生生物法執行ネットワーク、そしてワシントン条約担当者などと情報共有をおこなっており、マレーシアの自然資源・環境省(Ministry of Natural Resources and Environment)に合同捜査に関する協力を求めている。

 「広東税関が、東南アジアと中国の間で活動している野生生物の密輸者に対するこうした重要な活動をおこなったことは喜ばしいことだ」とトラフィックの中国プログラムのダイレクター徐宏発教授は言う。

 「そうした野生生物犯罪を組織し、陰で操り、実行させる者たちに、違法活動に対する報いを受けさせるようにするために、トラフィックは、法執行機関同士の国際協力を支援する用意はいつでもできている。」

 中国国営の新華社通信が報じたところによれば、中国税関の職員は2007年から2010年6月終わりの間に、中国において絶滅のおそれのある種の密輸に関連した全292件を捜査し、全体で、重さ26.63 t になる38,599個の動物の体の部分、さらに55 t 以上になる2,753の希少な植物を押収した。

2010年07月27日
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