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ベトナムで大きな象牙の密輸事件発生

2010年06月14日
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100527ivoryseizure.jpg 最近東南アジアで象牙の大規模な密輸事件が起きている。©Martin Harvey / WWF-Canon

【ベトナム、ハイフォン発 2010年5月27日】
一番最近確認された押収事件では、およそ1,665kgの象牙が乾燥した海草が入ったコンテナに隠されているのが発見された。これは過去2年にその港で押収された中で5番目に大きな押収事件であり、過去1ヵ月の間に起きた3つの大きな押収事件のうちのひとつであった。

 昨日のVietnam News Agencyからの報道発表では、確認されてはいないものの、3番目の重大な象牙押収事件が発生したことを示唆した。

 1,665kgのゾウの牙は、5月12日にマレーシアからの船で到着したコンテナの中から発見された。委託貨物は一時輸入および再輸出とラベル付けされ、市街地にある会社に宛てられていた、と報道されている。税関の検査官は5月14日にコンテナを開け、367個の象牙のカットピースが乾燥海草144包みのやカタツムリの殻の入った199包みの間に隠されているのを発見した。

 担当官は、そのコンテナがどの国に向けられたものかについては明言を避けた。

 4月29日にも、同港の担当官が2,194kgの象牙を発見している。それは985個のカットピースになっており、ケニアからの乾燥海草の2つのコンテナに隠されていた。

 積荷は、ケニアのモンバサ港を出港した香港船籍の船でハイフォンに到着したと報道されている。

 税関検査官は、申告書に異常な点をみつけ、その中身をチェックするためにコンテナを開け、象牙を発見した。

 「ハイフォンの税関担当官は、警戒することがこの不正な取引を差し止めるためのカギとなることを証明している。また象牙の密輸者に対しては、彼らがベトナムに歓迎されないことをはっきり示している」とトラフィックサウスイーストアジアの事務局長のWilliam Schaedla博士は言う。

 東南アジアが持つ象牙製品の人気のある市場としての役割と、アフリカと中国の間の違法な象牙取引の経由地としての役割については詳しく調べられている。

 ゾウ取引情報システム(ETIS)は、象牙の押収事例に関する世界でももっとも大規模なデータベースである。その最新の報告によれば、中国での需要が象牙取引の重大な動因となっており、タイやベトナムは東南アジアでも懸念される国として指摘されている。

 しかし、タイもベトナムも法執行活動を強化しており、過去1年にわたって港や空港においての象牙の違法積荷の押収件数は着実に増えている。

 バンコクのスワンナブーム空港では、先月1.4 t 近くのゾウの牙が入った3つの木箱がカタール発の飛行機からみつかったのを含め、2009年から数件の大量の積荷が税関職員によって差し止められている。

 タイやベトナムは共に、空港をターゲットとしたキャンペーンに乗り出した。これは、人々の意識の向上と違法な野生生物取引を防止する取り組みを支えることを目的としている。

 「こうした法執行活動については歓迎すべきだ。しかし象牙を供給しているアフリカや、象牙を通過させている国々が同じように強い対策をとり、こうした法執行を後押しする必要がある」とトラフィックのAdvocacy and Campaigns Director のSabri Zainは言う。

 今月起きた別の事件では、ハイフォンの税関職員が5月11日に積荷を検査した際に、乾燥海草の間にセンザンコウのうろこ、およそ1,800kg、の入った84包が隠されていたのが見つかった。センザンコウは、ワシントン条約のもと国際取引が禁止されているにもかかわらず、東南アジアでは頻繁に違法取引がおこなわれている。

2010年06月14日
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