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クモノスガメの不正取引で大阪のペット店経営者逮捕

2011年08月03日
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110803pyxisarachnoides_5795.jpg クモノスガメ ©WWF-Canon / Urs Woy

 2011年7月21日に、クモノスガメPyxis arachnoidesを不正に取引したとして大阪のペットショップ「サウリア」の経営者が大阪府警生活環境課等によって逮捕された。

 この容疑者は、2009年1月から5月にかけて、「絶滅のおそれのある野生の動植物の種の保存に関する法律」(以下、「種の保存法」)で必要とされる登録票を伴わずにクモノスガメ (ワシントン条約附属書 I )5頭を、京都府、福岡県、広島県、大阪府の4人に1頭20万~30万円で販売した疑いがもたれている。クモノスガメは、2004年にワシントン条約の附属書Iに掲載されたのを受け、2005年に「種の保存法」によって国内取引が原則禁止された。今回、禁止前に取得した個体に対して発行された登録票が、その個体が死亡するなどした後に手元に残り、それが不正に使用されたという。府警はこのクモノスガメは密輸された個体である可能性もあるとして、仕入れルートを調べている。容疑者は「登録票さえあれば、ばれないと思った」「違法と分かっていた」などと供述している。

 府警によれば、容疑者は店頭およびインターネットで販売をおこなっていたという。2011年6月30日にはクモノスガメ2頭を店頭で展示したとして、同法の陳列の禁止に違反で現行犯逮捕されていた。

(時事通信、2011年7月21日http://www.jiji.com/jc/zc?key=%b4%f5%be%af%a5%ab%a5%e1&k=201107/2011072100798;産経新聞、7月21日http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110721/crm11072119570021-n1.htm;毎日新聞、7月22日http://mainichi.jp/photo/news/20110722k0000e040011000c.html、読売新聞、7月22日http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20110722-OYO1T00202.htm)*

 外国産の野生生物の不正な利用は、他国の自然、生物多様性を損なうことにつながる。さらには、種の絶滅を加速させる要因となることで、生態系、そして将来の人間の生活にとって悪い影響を及ぼす可能性がある。にもかかわらず、「種の保存法」の違反については、最高でも懲役1年罰金100万円以下であり、現在の罰則はこの問題が社会的に重要視されていないことを示している。附属書 I 掲載種の爬虫類の取引は大きな利益を生む場合があり、この罰則では抑止力としての効果が期待できないとトラフィックは考えている。また、違法取引が繰り返しおこなわれることのないよう、野生生物を扱う事業の営業を適切に管理する法的仕組みをより整備することも必要である。今回のようなケースが起きないよう、個体登録方法やトレーサビリティの厳格化を含め、今後もトラフィックは「種の保存法」や関連する法律の改正を訴えていく。

* このニュースの記事は、日本が関係する野生生物取引に関する事件が国内外で起きていることについてお知らせしているものです。事件の内容については外部の情報源からとりあげており、トラフィックはその内容の確実性、また情報源のページへのアクセスの継続性については責任を負わないことをご了承ください。
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