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熱帯産の硬木であるメルバウは、その濃い赤褐色の色が、内装やパネル、寄せ張りの床板、家具、ベニヤ、飾り物や珍しい品などの材料として人気がある。11月17日~18日におこなわれた、この価値の高い木材の持続可能な国際取引について議論するトラフィックサウスイーストアジア主催の国際ワークショップで、このメルバウが注目を集めた。
ワシントン条約事務局、各国のワシントン条約管理当局・科学当局、国際組織、取引業者団体、研究機関を代表して、オーストラリア、中国、ドイツ、インドネシア、マレーシア、ニュージーランド、パプアニューギニア、シンガポール、タイからの参加者が、シンガポールに集まり、行き過ぎた伐採や、過剰な採取につながる持続可能でない取引に関する懸念について話し合った。
メルバウはタシロマメ属Intsia に属する種を含む樹種の名前である。数種は取引の対象とされており、その中には、オーストラリア、カンボジア、インドネシア、マダガスカル、マレーシア、ミャンマー、パプアニューギニア、ソロモン諸島、タイ、ベトナムなどに広く分布しているタシロマメI. bijuga や、 インド、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、パプアニューギニア、フィリピン、タイに分布しているI. palembanica などが含まれる。
しかし、メルバウや他の熱帯産の種の採取について、報告は充分でなく、適切なデータの不足が、持続可能でない森林管理をしばしば助長している。このワークショップは、このような現状を変えることを目的としたものである。トラフィックによるメルバウ取引調査の結果が発表され、参加者は森林管理法と、持続可能な形でメルバウの需要を満たす方法について話し合った。
「このワークショップが、原産国から最終利用者までのすべての取引チェーンを通じて、メルバウを取引する産業に内在する懸念に対し実践的かつ経済的な解決策を生み出す、とトラフィックは確信している」とトラフィックサウスイーストアジアの代表であるアズリナ・アブドラは語る。
公式な統計によると、2006年、インドネシア、マレーシア、パプアニューギニアは計282,282 m ³ のメルバウを輸出している。オーストラリアはインドネシアのメルバウの主要な輸入国となっており、一方でマレーシアからのメルバウはEUへ、パプアニューギニアのメルバウは主に中国やインドへ輸出されている。インドネシア、マレーシアの両国は現在、丸太の輸出を禁止している。
生物学者でありドイツの科学当局の植物担当者でもあるHajo Schmitz-Kretschmerは、「ワシントン条約はアフロルモシアPericopsis elata、 オオバマホガニーSwietenia macrophylla、ラミン Gonystylus spp. などのいくつかの木材の種における持続可能でない取引に取り組んできた。メルバウはその次の種となりうる」と、語る。
前述のトラフィックによるメルバウの取引の分析については、今回のワークショップにおける議事録とともに、2009年始めに出版される予定である。
このワークショップは、ドイツのワシントン条約科学当局であるドイツ連邦自然保護庁の資金提供を受け開催された。
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■詳細に関するお問い合わせ
TONG Pei Sin, TRAFFIC Southeast Asia, Regional Forest Trade
Officer
Tel. +60 (0) 3 7880 3940, email:
tongps@myjaring.net
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