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アフリカ東部・南部 違法な木材取引を食い止める画期的な宣言

2015年10月07日
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【南アフリカ共和国、ダーバン発 2015年9月9日】

 ケニア、タンザニア、ウガンダ、マダガスカルおよびモザンビークの国家森林当局は9月9日、アフリカ東部・南部における違法な木材取引に対抗するための歴史的な宣言を共同で発表した。森林減少の要因増大に対処する意義のある一歩を踏み出した。

 ザンジバル宣言(Zanzibar Declararion)は、南アフリカ共和国のダーバンで開催された世界の林業界の代表者たちが集まる最大規模の会議のひとつである「第14回世界林業会議」のサイドイベントの場において発表された。このサイドイベントは、トラフィック、WWFおよび南部アフリカ開発共同体(Southern African Development Community :SADC)が主催した。

 「ザンジバル宣言は、犯罪者に利益をもたらし、地域の自然資源を枯渇させる違法かつ持続不可能な木材取引を削減するための関係5カ国による確約である」と、トラフィック東アフリカオフィスのプログラム・コーディネーターJulie Thomson(ジュリー・トムソン)は述べた。

 木材およびその他林産物の地域内・地域間違法取引は、タンザニア、ケニア、ウガンダ、マダカスカル、ザンビア、モザンビーク、マラウイ、さらにはアフリカの"グリーン・ハート"と呼ばれるアフリカ西部・中部にまで広がっている。

 Tanzania Natural Resource Forum(タンザニア自然資源フォーラム)とEast African Wild Life Society(東アフリカ野生生物協会)がおこなった2012年の調査によれば、タンザニアとケニア間の違法な越境取引が原因で、ケニアは年間約1千万ドル(およそ12億円)を失っている。これと類似した政府の報告書によると、このような違法取引で、タンザニアには毎年およそ833万ドル(およそ10億円)の損失がある。2007年に発表したトラフィックの調査結果では、違法な木材取引によるタンザニアのロイヤリティ損失総額を2004年から2005年の1年で5千800万ドル(およそ70億円)と見積もった。 

 「WWFは、木材およびその他林産物の違法取引に関するザンジバル宣言を歓迎する。アフリカ地域におけるこのような合意は、はじめてである。この宣言は、極めて重要な局面で出された。木材の違法取引は、驚くべき速さで広がりつつあり、政府によるこの新しい決意は、地域レベルでのこのような取引を減らす努力を大きく後押しするものになるだろう」と、WWF Coastal East Africa Initiative (WWF東アフリカ沿岸部イニシアティブ)の地域プログラム代表のGeofrey Mwanjela(ジェフリー・ムワンジェラ)は述べた。

 違法な木材取引の憂慮すべき広がりは、違法行為を規制する現行の国および地域メカニズムの有効性に疑問を投げかけている。

 「国の森林当局と地域における税関当局との間の不適切な協力関係によって、違法行為を規制する現行の国および地域メカニズムが阻害されている。そういった理由から、WWFは、木材およびその他林産物の違法な取引を大幅に減少させるため、思い切った一歩を踏み出せるように森林当局への支援を提供している」と、ムワンジェラは述べた。

 国連環境計画(UNEP)によると、世界的に50~90%の木が違法に伐採または取引され、毎年300~1千億ドル(およそ3兆6千億~12兆円)の損失があると推定される。

 「私たちの地域では、森林はかつてないほどの速さで減少し続けています」と話したTanzania Forest Service(タンザニア林業局)の最高執行官(Chief Executive Officer)のJuma S. Mgoo(ジュムア・S・ングー)氏は、新しい戦略が必要だったと続け「失った分を徐々に取り戻すためです...そうしなければ、子どもたちやその子どもたちが享受するものが何もなくなってしまうでしょう」と述べた。

 この日の発表は、地域的・国際的パートナーや市民社会団体のみならず、森林セクターや国内の森林当局の主要利害関係者らを交えておこなった長期にわたる交渉の結果である。トラフィックとWWFはここ3年の間、一連のEast Africa Timber Trade Stakeholders' Forums(東アフリカ木材取引ステークホルダーフォーラム)を主催している。

2015年10月07日
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