
![]() (左から):Ignatius N Makumba氏(ザンビア)、 Joseph Hailwa氏(ナミビア)、 Domingos Nazaré da Cruz Veloso氏(アンゴラ) |
【ナミビア、ウィントフック発 2015年8月7日】
ナミビア、アンゴラおよびザンビアが初めて協調しておこなった森林管理と木材取引に関するワークショップは、期限を定めた行動計画を共同で進めていくことで合意し、閉幕した。
3カ国の政府代表と、同行した職員は、ナミビアの森林省が主催したワークショップの開催期間中に会合をおこなった。このワークショップは、SASSCAL:Southern African Science Service Centre for Climate Change and Adaptive Land Management(気候変動および順応的土地管理に関する南部アフリカ科学サービス・センター)による木材プロジェクトの下、IRDNC:Integrated Rural Development and Nature Conservation(地域開発および自然保護総合トラスト)とトラフィックが支援した。
「ナミビア、アンゴラおよびザンビアで見られる木材種が、過剰伐採や、違法かつ無規制の取引の対象になっているという拡大する懸念に取り組む森林行動計画の策定を、トラフィックは歓迎する」と、トラフィックのシニア・プログラム・オフィサーであるMarkus Burgener(マーカス・バーグナー)は述べた。
Pterocarpus angolensis(キアート)、Baikaiea plurijuga(ザンベジチーク)、Guibourtia coleosperma(ローズウッド)をはじめとする価値の高い種は、建築資材として国内で利用されるが、切り出された木材の大半は製材品用としてアジアや南アフリカの市場へ流れている。越境取引の性質上、合法かつ持続可能なものとして上記のような種の取引を保証するためには、3カ国が協力して違法取引などの問題に取り組むことが欠かせない。
会合は森林管理と木材取引に関わる主要な問題を確認し、課題に対処するための共同行動計画を策定することを目指していた。情報の共有と率直な議論を通して、次のような点を含む主な問題点が明らかとなった-国家間の意思疎通の不十分さ、森林法規に対する意識の欠如、限定的な情報やデータの共有、能力資源の不足、そして法律と政策の隔たりである。
このような問題点を確認した上で、協調しておこなう森林管理と木材取引に関する覚書の作成を含む期限を定めた行動計画を3カ国共同で作り上げた。行動計画に盛り込まれたその他の重要事項は、文書の統一化、情報やデータの共有の強化、規制遵守を向上させるための越境地域協力などである。また、3カ国すべてにおいて、過剰伐採や木材の違法取引に効果的に対処する能力開発の必要性にも対応する。
3カ国の代表者たちは、行動計画実施の経過を監視するための年一度のワークショップ開催を要請した。南部アフリカ開発共同体(SADC:Southern African Development Community)加盟国の行動計画への参加拡大の意向も踏まえての要請でもある。
今回のワークショップは、明確に打ち出された行動計画の策定と3カ国の森林当局の代表者同士の関係強化の双方に結果を残した。
「これらの成果は、問題となっている地域の森林地帯の保全に強固な基盤を築いてくれる」と、バーグナーは述べた。
SASSCALとは:
Southern African Science Service Centre for Climate Change and Adaptive Land Management(気候変動と順応的土地管理に関する南部アフリカ科学サービス・センター)は、アンゴラ、ボツワナ、ナミビア、南アフリカ共和国、ザンビアおよびドイツが、地球規模の変化に対応するべく合同で取り組んでいるイニシアティブである。このセンターの役割は、気候変動および持続可能な土地管理に適応していくための地域における問題や原因を探る研究をおこない、その地域に住む人々の暮らしを改善してアフリカの知識基盤の社会構築に役立つよう、すべての意思決定者と関係者に対し根拠にもとづいた助言をおこなうことにある。
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