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【セミナー開催報告】野生生物取引と私たちの暮らし
-木材の話-

2016年12月01日
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 トラフィックは、11月12日、横浜市で「野生生物取引と私たちの暮らし-木材の話-」セミナーを開催した。わたしたちの暮らしは、多くの動植物の恩恵を受けて成り立っている。木材は、そのなかでももっとも重要な資源といえ、建材、家具、楽器など様々な目的に多くの種が利用されている。特に紅木やローズウッドなど高級木材とされる樹種は過剰な需要のため違法伐採や違法取引が後を絶たない。日本は木材・木材製品の一大輸入国・消費国として、また原産国として、野生生物である植物の責任ある利用が求められている。

 セミナー前半では、トラフィックの木材プログラムリーダーであるチェン・ヒン・ケオン(CHEN Hin Keong)により、「木材取引と世界における日本の役割」という題名で、近年の木材取引の状況や違法伐採の問題、違法伐採に対処するための国際的な措置や輸入国での取り組みについて紹介した。違法伐採対策として、EU、米国、オーストラリアで違法伐採木材の市場への持ち込みを防ぐための法律が制定される一方、日本でも、「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」が今年5月に公布され、来年から施行されることになっている。日本で新たな法律が制定されたことは重要な一歩であるものの、合法性の定義や罰則、登録が自主的な制度である点などについて、課題があると指摘した。

 また、後半では、プログラムオフィサー・白石広美より、「植物とワシントン条約」と題して、ワシントン条約※を植物との関わりを紹介するとともに、今年9月24日から10月4日にかけて開催されたワシントン条約の第17回締約国会議の結果を伝えた。種数でみると、ワシントン条約に掲載されている種の8割以上が植物となっており、日本の税関でも、アロエやランなど植物の押収件数が多くなっている。また、今回の締約国会議では、「紅木」として特に中国で需要が高まっているツルサイカチ属(Dalbergia spp.)などのいわゆる「ローズウッド」と呼ばれる種が相次いで附属書Ⅱに掲載された。

 参加者からは、「加工段階・貿易段階での違法行為にはどのようなものがあるのか」、「なぜ持続可能性ではなく合法性という点に着目をするのか」など具体的な質問が出され、本テーマへの関心の高さが伺えた。

※ワシントン条約:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約


参加者(21名)へのアンケート結果

◆木材取引た森林管理について関心のあること

◆ITTOの認知度
ITTO:国際熱帯木材機関
※熱帯木材資源の保全や熱帯樹種のワシントン条約施行改善に長年取り組んできる国際機関
今回のスピーカーであるチェンは、ITTOの会議出席のために来日していた。

◆セミナーの評価

 トラフィックでは、引き続き、野生生物である植物の合法で持続可能な利用を原産国、中継国、消費国すべての関係国で推進していくと同時に、植物種のワシントン条約のより良い施行に向けた各国の取り組みを支援していく。

2016年12月01日
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