ワシントン条締約国は、装飾品等に利用されるベニサンゴやモモイロサンゴといった宝石サンゴを附属書掲載しなかった。©James Compton / TRAFFIC |
ワシントン条約に参加する政府は21日、国際的な宝飾品取引に供給するために過剰に漁獲されているベニサンゴやモモイロサンゴなどに対するさらなる保護策を施行することに反対の票を投じた。
ワシントン条約に参加する政府は、サンゴ科全種Corallidae spp. を附属書 II に掲載するという米国とEUの提案に反対した。
附属書 II へ掲載されることで、各国はこれらのサンゴの国際取引が持続可能で規制された形でおこなわれるよう対策をとることが求められる。
「トラフィックとWWFは、ベニサンゴやモモイロサンゴなどが附属書に掲載されないという決定に対して非常に残念に思っている」とトラフィックカナダのアーニー・クーパーは言う。
「取引管理の対策がとられなければ、現在の宝石サンゴの過剰漁獲は変わらず続いていくだろう。」
「サンゴ科Corallidaeは世界中に30種以上が生息する。これらの種は地中海や西太平洋で漁獲され、主に宝飾品やその他装飾美術品の製造に利用される。」
「漁獲や加工をおこなっている主要な地域は、イタリア、日本、台湾などである。米国はベニサンゴやモモイロサンゴなどの最大の市場である。
多くの種が過剰漁獲によって脅かされていることが知られている。トラフィックやWWFによれば、ワシントン条約の下でのサンゴ科Corallidaeの取引規制が、これら価値の高いサンゴ種のよりよい管理を支援する重要なセーフガードを提供するであろう明白なケースである。
「これはワシントン条約に参加する政府にとっては、残念なことであった。なぜならワシントン条約は、条約による海産種の保護に反対する既得権益に立ち向かう能力を完全に欠いているわけではないことを見せるチャンスであったからだ。」
中国はすでに中国の海域で見られる4種の宝石サンゴを附属書 III に掲載している。こうした掲載は、適切な書類審査がともなった場合のみ、取引がおこなわれることを求めている。これにより、各国は国際取引の状態を監視し、評価できるようになる。
しかし、サンゴの識別が、取引規制の施行にとっては深刻な障害となっていると考える国々もある。
「サンゴの識別の話を出すことは、ただこの問題を混乱させ煙に巻くことになる」とアーニーは言う。彼はサンゴの識別を可能にするマニュアルを完成させようとしており、最近サンゴの製品の識別にDNAを用いる方法について発表した。
「この日の決定は、事実を十分に検討したというよりむしろ利己主義的な採択であった。商業的なロビー活動が成功した。サンゴの保護の先行きは不透明である」とアーニーは言う。
「ベニサンゴやモモイロサンゴなどは、30~50 t が、宝飾品や装飾品としての消費者の需要に見合うよう毎年漁獲される。米国だけでも2001年から2008年の間にベニサンゴやモモイロサンゴなどを2,800万個輸入している。
イタリアやフランスやスペインの沿岸域のベニサンゴCorallium rubrum の個体群は、もはや商業的には成り立たず、一方西太平洋においては、その個体群が発見されて5年以内には獲り尽くされ、採取場所は新しく発見された個体群に移行しつつある。
ベニサンゴの個体群は、そのサイズにおいては劇的に小さくなってきている。地中海においては、高さ50cmにおよぶベニサンゴのコロニーはかつて普通だったが、現在は、漁獲域のコロニーの90%以上は高さわずか3~5cmしかなく、半分以下は性的に未成熟である。
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