ホーム野生生物ニュース水産物ニュース>脅威にさらされるサメ

野生生物ニュース

脅威にさらされるサメ

2007年03月15日
ソーシャルブックマーク はてなブックマーク yahooブックマーク livedoor del buzzurl
ツイート ツィート
Buzz GoogleBuzz
印刷 印刷
 
070222shark.jpg アオザメ© IUCN

【英国、オックスフォード発 2007年2月22日】
 過剰漁獲により海洋性のサメの個体数が減っており、数種が国際自然保護連合(IUCN)の絶滅のおそれがある種のリスト(レッドリスト)に追加される。

 「外洋性のサメは動作が素早く、力強く、分布域が広いという特徴により、漁業による圧力に対して抵抗力があるとよく誤解される」とIUCNの種の保存委員会(SSC)サメ専門家グループ(SSG)の共同議長であるサラ・ファウラー氏は言う。

 しかしサメはほとんどの種は成長が遅く、成熟するのに時間がかかり、繁殖力が低く、過剰漁獲の影響を受けやすい。

 地中海に生息するニシネズミザメとアオザメはひどく過剰漁獲されており、欧州連合(EU)は今年6月にオランダで開かれるワシントン条約締約国会議においてニシネズミザメを附属書に掲載することを提案した。

 外洋性のサメは遠洋でのマグロやメカジキの漁でよく混獲されており、サメの肉を扱う新しい市場が開拓され、高価なヒレの需要が高まっているのでますます注目されるようになっている。サメのフィンニング(サメのヒレだけを切って捨てる)はほとんどの公海で禁止されているが、それに対する有効な法執行はおこなわれていない。ヒレだけを切り取られたサメの身体はよく海に捨てられ、しかも生きたままということが多い。アジアでのごちそうであるフカヒレスープの材料としてヒレが珍重されているアカシュモクザメ は近危急種(Near Threatened = LR/ntまたはNT)から絶滅危惧種(Endangered = EN)に引き上げられた。

 「国際的な漁業委員会が、影響を受けやすい種の漁獲を制限し、ヒレだけを切り取る浪費的な行為に対する規制を強めることが急務だ」とSSGの副議長 と the Shark Alliance のPolicy Directorであるソニア・フォーダム氏は言う。

 鎌状の長い尾を持つことで知られるオナガザメ類は3種すべてが危急種(Vulnerable= VU)に分類された。ほかにも商業的にも釣りを楽しむ人にもよく捕獲されるアオザメは近危急種から危急種に格上げされた。世界でもっとも個体数が多く、漁獲量も多い外洋性のサメであるヨシキリザメについては、北大西洋で50~70%減少していることに科学者たちは注目しており、この種を保護する対策がとられていないことを危惧すると表明したにもかかわらず、近危急種のままである。

 このサメの記載が改定されたレッドリストは、IUCNのサメ専門家グループが招集した国際的な専門家のワークショップの直後に発表された。このワークショップは、Lenfest Ocean Series Programmeから資金提供を受けて開催された。ワークショップには、英国、米国、カナダ、EU、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、クロアチア、エクアドルの政府機関、大学、NGO、民間団体から専門家が出席した。

2007年03月15日
ソーシャルブックマーク はてなブックマーク yahooブックマーク livedoor del buzzurl
ツイート ツィート
Buzz GoogleBuzz
印刷 印刷
関連キーワード サメ レッドリスト 食用

関連ニュース

20170909_event_2.jpg

【セミナー開催報告】ペット取引される爬虫類
-上野動物園×WWF・トラフィクセミナー-

2017年09月25日

2017年9月9日、トラフィックは、上野動物園にて「ペット取引される爬虫類」についてのセミナーを開催しました。生息地の開発や、ペットにするための捕獲、密輸により、絶滅の危機に瀕しているカメやトカゲなどの爬虫類。これらの動物は、密輸される途中で保護されても、多くは生息地に帰ることができません。なぜでしょうか?こうした日本のペットショップで販売される爬虫類の取引の現状と問題について、専門家が解説。参加者の疑問に答えました。

©トラフィック

170830ivory.jpg

国内での象牙取引で違法事例再び
古物商ら12人が書類送検されるも不起訴に

2017年08月30日

2017年8月25日に象牙9本を違法に取引した容疑で、東京都内の古物商と従業員、その顧客ら12人が書類送検されるという事件が報道された。これは、6月20日に同じく18本の象牙を違法に取引した業者が書類送検された事件に続き、2017年で2件目の摘発となる。さらに29日には、不起訴処分となったことが明らかになった。世界では、ゾウの密猟と象牙の違法取引に歯止めをかけるため関係国が抜本的な対策に着手する中、日本国内で相次ぐ違法な象牙の取引。国内市場管理の問題点があらためて浮き彫りになっている。

©Martin Harvey / WWF

170909event.jpg

【セミナー開催のご案内】上野動物園×WWF・トラフィックセミナー
-ペット取引される爬虫類-

2017年08月23日

2017年9月9日、トラフィックは、上野動物園にて「ペット取引される爬虫類」についてのセミナーを開催します。動物園で飼育されている爬虫類の生態やペット人気の陰で絶滅の危機に瀕している種を守るための取り組みと、日本のペットショップで販売されている爬虫類の取引を巡る課題などを専門家が分かりやくお話しします。

© Michel Terrettaz / WWF

170808elephant.jpg

日本におけるインターネットでの象牙取引、最新報告書発表

2017年08月08日

2017年8月8日、トラフィックは、日本の主要eコマースサイトでの象牙取引を調査した報告書を発表した。調査の結果、オンライン店舗のほか、ネットオークションや個人向けフリマサイトでも活発な取引が行なわれる中、現状の規制に大きな課題があることが明らかになった。今回の調査で、これまで不明瞭だった、特にインターネットを通じた象牙取引の一端が明らかになったことから、日本政府にはあらためて、違法取引を許さない包括的な規制措置を求めていく。

©Martin Harvey / WWF

関連出版物

17_SBT_Market_in_China.jpg

The Southern Bluefin Tuna Market in China

発行:TRAFFIC Hong Kong【2017年6月】 著者:Joyce Wu【英語】50pp

17_The_Shark_and_Ray_Trade_in_Singapore.jpg

The Shark and Ray Trade in Singapore

発行:TRAFFIC,Malaysia【2017年5月】 著者:Boon Pei Ya【英語】59pp