ホーム野生生物ニュースワシントン条約・法律ニュース>水産種がことごとく否決されたワシントン条約会議

野生生物ニュース

水産種がことごとく否決されたワシントン条約会議

2010年03月26日
ソーシャルブックマーク はてなブックマーク yahooブックマーク livedoor del buzzurl
ツイート ツィート
Buzz GoogleBuzz
印刷 印刷
 
100325_PostABTMediaScrum.jpg 大西洋クロマグロについて話合われている会議場の外で待ち受けるマスメディア©James Compton / TRAFFIC

【カタール、ドーハ発 2010年3月25日】
 ワシントン条約の会議が終了した。大西洋クロマグロや宝石サンゴ、数種のサメ類といった海の生物種の保護を強化するための提案が次々と否決され、2週間の交渉の日々が終了した。

 海産種の取引問題は、3年に1度開かれるワシントン条約締約国会議において必要な支持を得ることができなかった。

 「ワシントン条約に参加した多くの政府が海産種の決定を下す際に政治的利益を支持し科学的な事実を無視したことははずべきことである。会議を席巻したこの問題は、再びこれからの会議でも出てくるだろう」とWWFの種プログラムを統括しているカルロス・ドゥリューは言う。「もしワシントン条約が政治的な考慮を脇に置くことができず、科学的な根拠に従うことができないのなら、保護の意味や海産種の持続可能な利用や沿岸域の暮らしに対する影響が心配だ。」

 宝石サンゴ、サメ、特に絶滅のおそれのある大西洋クロマグロを含めた注目を浴びる海産種についての失敗にも関わらず、各国政府はサイやトラ、メガネモチノウオに関するよりより保護策を施行するという改善をおこなうことができた。

 海産種では、ニシネズミザメは最初は可決されたものの、会議の最終日に覆り、否決された。  「残念ではあるが、提案された大西洋クロマグロの国際取引の禁止について否決されたことは、失敗ではなくチャンスだと考えられるべきだ」とWWF地中海オフィスの水産プログラムを統括しているセルジ・トゥデラは言う。「大西洋クロマグロ漁業を管理している地域漁業管理機関の加盟国の責任において、何年もかけておそるおそるやってきたことに対して賢明な勇気を出し、この絶滅のおそれのある魚に対する科学的に適切な回復計画を実行する時だ。」

 トゥデラは「ドーハの会議は、大西洋クロマグロの個体群の回復にとってターニングポイントとなるだろう」と言う。

 「いつか、このワシントン条約の会議が、各国政府が大西洋クロマグロを保護するために団結し、産業界からの圧力に屈することをやめる決断をした転機としてみられることを願う」とトゥデラは言う。「新たな保護賛成派の取り組みは、パリで11月に開催される次のICCAT会議に向けて進み始めた。」

 「ICCATやその他の地域漁業管理機関は今こそ期待に沿った結果を出すべきである。世界がそれを見ているだろう」とトラフィックの事務局長であるスティーブン・ブロードは言う。

 宝飾品取引のために過剰に漁獲され、しかし生息域の多くの場所では大幅に過剰漁獲されているベニサンゴやモモイロサンゴなどの宝石サンゴについては、条約内でのさらに強力な保護が受けられるよう働きかけていた2度目のワシントン条約会議においても否決された。


象牙の問題もいまだ解決されないまま

 タンザニアとザンビアのゾウ個体群への取引規制を緩和することで、政府所有の象牙在庫の一回限りの販売が認められるという提案がそれぞれ出されていたが、それについては会議で否決された。

 「アフリカの国々は、象牙の問題をどう扱うかについて、1989年来、もっとも意見の一致には遠いようだ」とトラフィックの事務局長、スティーブン・ブロードは言う。

 「ジレンマは残ったままだ。アフリカでは、合法的な出所からの象牙が政府の在庫として毎年何トンも積み上がっている。しかしアフリカはこの資源をどうすべきかについて意見が割れたままとなっている。」


トラとサイはワシントン条約の支援を得られることに

 中国を含むトラの生息国は、トラやその他の大型のネコ科の種の野生の個体群を脅かしている違法取引に関する差し迫った問題に取り組むことに前向きであることに対しては力強い全会一致に達した。

 ワシントン条約に参加した各国政府は、引き続きトラの部分や派生物の取引のためのトラ牧場に対しては反対の立場をとっている。

 さらに、サイの個体群がいる国々は、法執行の強化、警備官のトレーニング、国境管理の強化、サイ個体群の監視の改善、ベトナムなどの消費国での普及啓発キャンペーンの実施、および密猟や違法取引の増加の背後にある組織的な犯罪シンジケートの一掃などに力を入れることに合意した。


執行活動の後押し

 法執行活動に取り組むためにさらに財源をあてることについても、ワシントン条約の予算に関する議論の中で合意された。そして近年組織された International Consortium on Combating Wildlife Crime (ICCWC)は、ワシントン条約事務局、インターポール、国連薬物犯罪事務所、世界銀行、世界税関機構によって構成されており、この共同体は野生生物犯罪に法の裁きをうけさせるための数々の共同事業に従事してきた。

 「ワシントン条約の取引ルールは、もし適切に執行されれば、保護と経済的な利益をもたらすことができる。だが、大抵はそうでないことが多い」とスティーブン・ブロードは言う。「この会議で発表されたワシントン条約遵守や野生生物取引に関する法執行への新しい取り組みは、正しい道への極めて重要なステップである。」


■詳細に関するお問い合わせ
Ian Morrison, Media Officer, WWF International, tel: +41 22 364 9554, mobile: +41 79 874 6853 imorrison@wwfint.org
Dr Richard Thomas, Global communications coordinator, TRAFFIC, richard.thomas@traffic.org

2010年03月26日
ソーシャルブックマーク はてなブックマーク yahooブックマーク livedoor del buzzurl
ツイート ツィート
Buzz GoogleBuzz
印刷 印刷

関連ニュース

110526Batagur_baska.jpg

数百万円のリクガメ取引でペットショップ経営者逮捕

2011年05月26日

5月22日に、取引が禁止されているカメ類を売買したとして「種の保存法」違反で、都内のペットショップの経営者、および購入者である埼玉県の会社役員の2人が逮捕された。

©TRAFFIC East Asia-Japan (撮影協力:野毛山動物園)

110513bear-cub-s.jpg

タイ:旅行バッグから生きたヒョウ、クマ、サルがみつかる

2011年05月24日

4頭の子ヒョウ、1頭の子グマ、1頭のテナガザルの赤ちゃんと1頭のマーモセット、合わせて7頭の幼い動物が、36歳の容疑者のバッグに、生きた状態で詰め込まれていたのが発見された。

© Panjit Tansom

110519ivory_elephant.jpg

国内の大手象牙印材販売会社による違法取引:日本の重い責任

2011年05月19日

警視庁は2011年5月11日に、象牙の生牙の国内取引の際に必要な登録をせずに売買したとして、大手象牙印材販売会社の元会社役員ら4人を、種の保存法違反(譲り渡し等の禁止など)の疑いで逮捕した。

©Martin Harvey / WWF-Canon

110519bear-in-cage.jpg

アジアの課題:クマノイ取引

2011年05月19日

東南アジア中心としたアジアのクマノイ(クマの胆嚢、ユウタンとも呼ばれる)取引に関するレポート『Pills, Powders, Vials & Flakes: The bear biletrade in Asia(アジアのクマノイ取引)』を発表。

© TRAFFIC Southeast Asia

関連出版物

tj-wildlifetrade-2010-j.jpg

日本語/英語版『私たちの暮らしを支える世界の生物多様性-日本の野生生物取引のいま-』

発行:トラフィックイーストアジアジャパン 【2010年10月発行】 著者:石原明子、金成かほる、齊藤つぐみ、高橋そよ 【日本語/英語】 56pp.

TJ-wildlifesymposium-2010.jpg

『ルーツをたどれ!ワイルドライフ-世界の生物多様性と日本の法体制-』開催報告書

発行:トラフィックイーストアジアジャパン【2010年3月発行】 【日本語】47pp.※2009年11月開催のシンポジウムの開催報告書

pagetop