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CITES COP14: ヨーロッパウナギに希望の光

2007年06月13日
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070611eelkabayaki.jpg うなぎの蒲焼
©F. Muto / TRAFFIC

【オランダ、ハーグ 2007年6月11日】

 ヨーロッパウナギAnguilla anguillaの将来に明るい見通しが見え始めた。第14回ワシントン条約締約国会議(COP14)に出席した政府代表らが、この魚種を条約の附属書 II へ掲載しようとするEUからの提案を認めた。附属書 II の掲載種は厳格な条件のもとで取引が許可される。

 「本日の決定はヨーロッパウナギにとって朗報であり、大きな自然保護の成果である」と、野生生物取引をモニターするネットワークであるトラフィックのステファニー・リンゲットはいう。

 「EUの提案が受け入れられたことは、この種の利用や取引がしっかり管理され、合法におこなわれることを確実にする助けになるだろう。それはこの種の存続に不可欠である。」

 WWFとトラフィックによると、ヨーロッパウナギは、ほとんどの地域で個体数が減少してきており、種の存続がおびやかされている。

 ヨーロッパウナギは、その肉が主にヨーロッパや東アジアの一部地域で消費されるために過剰に漁獲されている。また人間による影響が、湖や川、汽水域などヨーロッパウナギの生息域を減少させたり汚染したりしている、とWWF、トラフィックは考えている。

 「ヨーロッパをはじめ北アフリカなどヨーロッパウナギが生息する他の国々では、この種の生息状況を悪化させるすべての環境問題に取り組むために緊急措置をとることが重要だ」とリンゲットは言う。

 ヨーロッパ南部での組織化された犯罪集団が絡んだ違法取引や、ヨーロッパからアジア(特に中国と日本)向けに養殖用の生きた若いウナギをかなりの量を国際取引していることが、この種にとってのさらなる懸案事項であると、以前のトラフィックのレポートでも示している。

 ヨーロッパウナギは、寿命が長い大型の魚である。その一生のほとんどを淡水で過ごすが、成魚は繁殖のために、大西洋のサルガッソー海まで移動する。そして1年かけて、若い個体はヨーロッパまでたどりつくのである。


◆ 詳細に関するお問い合わせ

Richard Thomas,
Communications Coordinator at TRAFFIC International,
t +31 634163625 richard.thomas@trafficint.org

Joanna Benn,
Communications Manager, WWF Global Species Programme,
t +31 634 163140 jbenn@wwfspecies.org

Olivier van Bogaert,
WWF International's Press Office,
t +41 794773572 ovanbogaert@wwfint.org

 

トラフィックイーストアジアジャパンの第14回ワシントン条約締約国会議のページはこちら

2007年06月13日
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