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中国 ワシントン条約施行のためのサイドイベント開催

2016年09月26日
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トラフィックの事務局長スティーブン・ブロードが
サイドイベント開始のスピーチを行った

【南アフリカ共和国、ヨハネスブルグ発 2016年9月26日】

 「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)」の第17回締約国会議が始まり、中国代表団は、条約の施行のために中国で実施した最近の取り組みを紹介するための展示を公開した。

 ワシントン条約締約国会議のサイドイベントの中で、国家林業局(SFA)の副局長であり、中国代表団長でもあるLiu Dongsheng氏により、展示が発表された。この展示は、立法機関、組織再編、取引管理、法執行および監視、能力開発、一般市民の参加、中国当局による国際的な協働に関する概要を説明したポスターが特色となっている。

 Liu Dongsheng氏は、「写真展示の目的は、国際社会による中国への理解を高めるとともに、取引規制の強化と持続可能な発展の支援に向けたワシントン条約の施行を後押しすることである」と述べた。

 「ワシントン条約は、資源の保全と持続可能な利用を調整するための重要な仕組みである。すべての締約国が、保全の努力に責任を負い、各国の取り組みと実行を尊重した場合に限り、野生生物の保護のレベルを改善することができる」

 「原産国、中継国、消費国は、供給および消費の両側面から、違法取引網全体と闘うために、効果的な措置を講じ、ともに協力しなければならない。そうすることで、野生生物犯罪を根本的に防止することができる。原産国の人々の生計を改善し、持続的な経済成長を促すことによってのみ、我々は絶滅のおそれのある種の生存のために健全な環境を作り出すことができる」。

 ワシントン条約の事務局長であるジョン・スキャンロン(John Scanlon)氏は、過去6年の任期中に、中国が目覚ましい実績を見せたことを称賛した。代表団に対し「中国は、ワシントン条約の取り組みを真剣に引き受け、違法取引に対処するめの厳粛な措置を講じ、合法で持続可能な取引に向けても取り組んでいる」と語った。

 このサイドイベントは、トラフィックとWWFが、ヨハネスブルグのサントン・コンベンション・センターで共同開催したものであり、ワシントン条約の締約国の代表団や国際機関、メディア等120人以上が出席した。

 「この展示が示すように、中国は近年、野生生物取引の問題への対処において、大きな進歩を遂げた。象牙の国内市場を閉鎖するという意向すら示している」と、トラフィックの事務局長であるスティーブン・ブロード(Steven Broad)は述べた。

 「我々は、中国当局がこの国内の象牙禁止をできる限り早く施行するよう促している。もしこれが効果的に施行された場合には、世界のゾウを保護する努力の中で、重要な突破口となるであろう」。

 アフリカにおけるゾウの密猟は、2011年にピークに達したとみられ、アフリカ大陸全体で、毎年約20,000頭のゾウが違法に捕殺され続けている。これは、主にアジア、特に中国での象牙需要に応えるためのものである。

 トラフィックは、中国において、政府当局と幅広い課題に取り組んでおり、効果的な法執行を通じた野生生物の違法取引を防ぐこと、消費者行動の変革の努力を通じて市場需要を抑制することを目的としている。消費者行動の変革の取り組みについては、展示でも反映されている。

 世界的に、WWFとトラフィックは、野生生物の取引網のすべての要所を対象とすることにより、密猟危機と闘うための世界的な緊急の取り組みを協働して支援している。

2016年09月26日
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