
ホーム>野生生物ニュース>ワシントン条約・法律ニュース>止まらない象牙の違法取引 国際的な圧力の維持の必要性
![]() |
【南アフリカ共和国、ヨハネスブルグ発 2016年9月24日】
新たな分析により、2015年も世界的な象牙取引が衰えることはなく、過去10年の始めに記録された過去最悪の水準であることが明らかになり、取引を指揮する犯罪組織を途絶させるための努力を新たにする必要性が強調された。
今週、ヨハネスブルグで会議を行う「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)」の締約国のため、ゾウ取引情報システム(ETIS)の分析が更新された。
最も注目される点は、100kg以上の大規模な生牙の貨物の押収が2015年も増加し続けたという動向であり、"大規模な重量クラスのものは、組織犯罪と関連する動きが捕らえられている部分"として、分析では懸念を示している。
「象牙取引はますます組織的犯罪の領域となりつつあり、取引の背後にいる者たちは逮捕されず、効果的な起訴にはつながらないということを示唆している。これらの動きを解体するためには、国際的に協調された執行によって対応することが求められる」と、トラフィックの事務局長であるスティーブン・ブロード(Steven Broad)は述べた。
「押収はそれぞれが無関係の出来事ではないはずである。それらから導き出された情報を集め、取引網全体においてそれに基づいて行動する必要がある」。
ワシントン条約に向けて前もって実施されたETISの分析では、2014年に国際的な象牙取引が減少したことを示す兆候が示唆され、その後の期間もその動向が確認されたのであれば、結果は意義深かったであろう。しかし、2015年およびそれ以前の新たなデータの分析により、象牙の流れへの回帰が以前のものよりも高かったことが明らかになった。
「2015年のデータは、今週のワシントン条約の締約国会議による新たな努力が必須であることを強調している。象牙の違法取引を断固として管理下に置くための努力をさらに強める必要がある」と、ブロードは述べた。
新たなデータにより、以前分析された9,899件の押収記録に1,387件が加わった。このうち、1,311件は2015年に発覚した押収であった。押収に関連する他の55件は2013年および2014年に発生したものであり、2008年から2012年のものも19件加わった。
分析はWWFの資金提供によって、ETISに集められたデータを用いて、トラフィックと独立したコンサルタントの統計学者によって実施された。
関連ニュース
【セミナー開催報告】ペット取引される爬虫類
-上野動物園×WWF・トラフィクセミナー-
2017年09月25日
2017年9月9日、トラフィックは、上野動物園にて「ペット取引される爬虫類」についてのセミナーを開催しました。生息地の開発や、ペットにするための捕獲、密輸により、絶滅の危機に瀕しているカメやトカゲなどの爬虫類。これらの動物は、密輸される途中で保護されても、多くは生息地に帰ることができません。なぜでしょうか?こうした日本のペットショップで販売される爬虫類の取引の現状と問題について、専門家が解説。参加者の疑問に答えました。
©トラフィック
国内での象牙取引で違法事例再び
古物商ら12人が書類送検されるも不起訴に
2017年08月30日
2017年8月25日に象牙9本を違法に取引した容疑で、東京都内の古物商と従業員、その顧客ら12人が書類送検されるという事件が報道された。これは、6月20日に同じく18本の象牙を違法に取引した業者が書類送検された事件に続き、2017年で2件目の摘発となる。さらに29日には、不起訴処分となったことが明らかになった。世界では、ゾウの密猟と象牙の違法取引に歯止めをかけるため関係国が抜本的な対策に着手する中、日本国内で相次ぐ違法な象牙の取引。国内市場管理の問題点があらためて浮き彫りになっている。
©Martin Harvey / WWF
【セミナー開催のご案内】上野動物園×WWF・トラフィックセミナー
-ペット取引される爬虫類-
2017年08月23日
2017年9月9日、トラフィックは、上野動物園にて「ペット取引される爬虫類」についてのセミナーを開催します。動物園で飼育されている爬虫類の生態やペット人気の陰で絶滅の危機に瀕している種を守るための取り組みと、日本のペットショップで販売されている爬虫類の取引を巡る課題などを専門家が分かりやくお話しします。
© Michel Terrettaz / WWF
2017年08月08日
2017年8月8日、トラフィックは、日本の主要eコマースサイトでの象牙取引を調査した報告書を発表した。調査の結果、オンライン店舗のほか、ネットオークションや個人向けフリマサイトでも活発な取引が行なわれる中、現状の規制に大きな課題があることが明らかになった。今回の調査で、これまで不明瞭だった、特にインターネットを通じた象牙取引の一端が明らかになったことから、日本政府にはあらためて、違法取引を許さない包括的な規制措置を求めていく。
©Martin Harvey / WWF
関連出版物
発効:トラフィック【2017年8月】 著者:北出智美【日本語】Briefing Paper
Closing Strategy:Ending Ivory Trade in Hong Kong
発行: TRAFFIC【2017年4月】 著者: Lau, W., Xu, L., Guan, J. and Xiao, Y【英語】48PP